第1話 エピローグ
「6時間を越える激闘も、終わりが近づいて参りました! なんとこの試合5度目のタイブレイク突入です!」
「凄い試合になりましたね! 是非、九条選手には勝手ほしい!!」
「もしこのセットをとれば、日本人初のグランドスラム優勝になります。」
「頑張れ九条! あ、いよいよ最後のタイブレイクが始まるようです!!」
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(苦しい。暑い。しんどい。こいつタフすぎだろ。。。。)
【九条比呂】は、未だに熱さが残るコートに戻りながら、そんなことを考えていた。
膝も、腰も、肩も、肘も、手首も休めと訴えている。本音を言えば、今すぐ風呂に入ってベットに飛び込みたい気分だった。
(でも、負けねえぞ。。)
比呂は相手を睨みつけ、そのまま観客席のほうへ視線を移した。その先には、姉、父、母が座っている。
残念ながら恋人は座っていなかった。
(母さん、ちょっと老けてきた? でも年齢考えれば若いほうか。)
そんな見当違いのことを考えながら、ベースラインまで到着した。
(そんな心配そうな顔するなって。俺は大丈夫さ)
(それにしても、あのときもう苦しいことも痛いこともやめにするって誓ったのにな)
(やっぱり俺はバカなんだろうな。でも。。。)
力を抜く。トスを上げる。地面からラケットへ力が伝わり、ボールの後ろを叩き潰す。
(今! 俺は! 最高に楽しいぜ!!)
「九条選手の素晴らしいフラットサーブがセンターに突き刺さりました!サービスエースです!
これで1-0 !」
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