4.first team
初めて、ファンミーティングに友達の伝手で行ってきました。
自身もファンだったのでとても楽しめました。でも、もう行かないだろうとも感じています。
私はひっそり応援していきたいと思います。
あの場所に行くファンの皆様尊敬しています。私は色々やられました。
ただ楽しかったです。
「おっ!ゼロ君やん。なんか運命を感じるやんよ」
僕はため息をつきながら、声主のほうを見て声をかけた。
「にぃ姉、よりによってにぃ姉かよ。」
「なぁに姉ちゃんじゃ不満なわけかい。」
「いや、身内ならやりやすい。だだ...」
「ただ..?」
「レベルマッチングが酷くなりそう。」
レベルマッチングとは、プレイヤーの勝率や職タイプ、プレイ時間等を考慮して、敵プレイヤーと大きな差がですぎないようにマッチングするシステムのことだ。
このことから考えると、にぃ姉はPvsPのトップランカーである。僕自身もトップの連中とは戦えるだけの力がある。そうすると、相手は初心者たちには優しくはない相手が待っていると予想できる。
正直、三人組のことを考えるとにぃ姉は最悪のチームメイトだと考えてしまった。
そうこう考えている間に、三人組とにぃ姉は自己紹介を済ませ、仲良く談話していた。
「初心者かいな、姉ちゃんに任しとけ。」
グットポーズしてかっこよく振る舞うにぃ姉の姿に6つの目が輝いていた。
「あっ!そうそうゼロ君はどっちで行くの?」
にぃ姉はこちらを見て話しかけてくる。
「オブサーバー。」
端的に答え、にぃ姉は残念がった。
「そっちかー、久々にゼロ君のあの姿見たかったのになぁ。」
そうこうして準備が整った。後は、残り30秒を切ったタイマーを見て試合に備えた。
『5vs5 start』
これを合図に僕たちはフィールドに飛ばされた。
今回のフィールドは森林ステージ。多くの木々が生い茂り視界を閉ざす。山や川の流れる地形があり、高度差がある。初陣にしては優しくない地形である。
「カジュアル5vs5」は残基0のデスマッチである。時間内に敵チーム全滅もしくは敵チームより残り人数が多ければ勝利になる単純なルールである。
こちらのチームの編成は
ゼロ :オブサーバー
にぃ姉 :アタッカー
ミカン :チャージャー
カズ :アタッカー
ハヤブサ :ディフェンダー
となっている。
敵チームは不明である。
これがDOGの特徴である。
圧倒的なほど情報が少ないのだ。相手が誰なのか、どんな職なのか、どこにいるのか分からないのだ。
ゆえにスタート直後、両チームは情報収集を開始する。より多くの情報を手に入れることが勝利の鍵となる。
そこで重要になってくるのが、収集能力に秀でた職である。今回は、僕の職であるオブサーバーになる。
そのため、僕はいち早くチームのもとを離れ座標の高い山を目指した。
僕たちのチーム編成は明らかに応用の効かない攻撃的な編成である。
4人が戦闘をメインとした職業であるからこそ相手が守りに入る前に攻める速攻だ。
これが今回の作戦となる。
そこで重要なのはやはり情報、いち早く敵を見つけて速攻を仕掛ける。そのため僕はスタート直後走り出した。
僕以外の4人は別ルートを進む。そのルートは僕の索敵が後になるところだ。1人ですべてを索敵するのは不可能に近い。頑張ってできたとしても時間がかかってしまう。そのため4人には対応できないところを人力で索敵をしてもらっている。
そこで敵チームと出会えば作戦通り速攻をかけ、出会わなくても索敵時間を軽減できる。
すごく単純な作戦だがこの作戦ができたのは、にぃ姉のおかげである。
初陣である3人やその他のプレイヤーではこの作戦は成立しないだろう。
人力での索敵はリスクが大きすぎぎるからだ。
いつ敵と出会うか分からない中神経を尖らせて進む。そして、すでに敵が仕掛けているかもしれない罠に目を向けなければならない。地図がないため、今自分がどこいるのかわからなくなってしまう可能性はある。
また、敵がいるいない、罠があるないと分かっていれば進むのは容易である。しかし、いるかもしれない、あるかもしれないと考えてしまうと人は途端に前に進むことができなくなってしまう。
それに対抗できるのは経験しかない。
トッププレイヤーであるにぃ姉がいるからこそたてられた作戦なのである。
そうこうしているうちに僕は山の中腹に着く。
そして技能を発動させる。
『監視する瞳』
オブサーバー専用の索敵に特化した技能である。
操作可能な小型の飛行型機会を飛ばし、その機械に意識を乗り移させ索敵する能力である。最大3機まで同時に飛ばすことができそれぞれに意識を乗り移し索敵する。操作者から一定距離以上離れることができないのと、操作中は意識を乗り移らせているため無防備である欠点はあるが、それを補うほどの索敵能力がある。
技能とはその職に与えられた特殊能力である。
DOGは基本的にcasterと呼ばれる球を使用し戦闘する。casterを生成し、casterを投げて敵にダメージを与える。ただそこに技能の要素が加えられ、単純なcasterの投げ合いから戦略が生まれる。
技能駆使することで状況を打開していくのだ。
しばらく索敵して人影を発見する。
見える範囲で3人、職はアタッカー、チャージャー、コネクター。
彼らの進行方向は、丁度味方の4人がいる。
、 直ぐに本体に意識を戻し、オブサーバーの唯一の戦闘手段であるハンドガンに手をかけ上空に2発の弾を撃った。実際は僕が持っているのは近距離特化の6発装填のマグナムリボルバーであるが...
それと弾というのはcasterを変化させた姿である。casterは職によって形状をさせるものがある。その一つとしてオブサーバーは銃弾に変化させることができる。casterの生成能力は平均的であるが十分に戦う力はある。
上空に2発撃ったのは仲間に敵の場所を知らせるためだ。
1発は作戦中止
2発は前方に敵あり
3発は後方敵あり
4発は射撃音の対角線上に敵あり
その銃撃を聞き敵味方問わず、行動を始めた。
にぃ姉達は走り出し、敵チームは銃撃音のもとに進みだすだろう。
結果的に、にぃ姉達は僕の見つけた3人に奇襲をかけることに成功するだろう。
そして、僕の前には敵チームの残り2人が立っているはずだ。
ありがとうございます。
次回は決着まで行くと思います。
気長に待ってて欲しいです。