表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロス・フェイト  作者: うみち
第一章 世界終末1
5/21

自己紹介

「まあいいじゃねえか! そうだ、これから一緒に戦うんなら、お互いの名前くらい知っとかないとな。俺はケイト・バベッジだ! よろしくな!」


 ケイトは皆の方を振り向いて、元気良く言った。


「確かに、アンタの言うとおりだな。アタシはナキ、よろしく」


「えっと、ハインケルです。よろしくお願いします」


「マ、マンチニール、です」


「順応が早いね、そうじゃなきゃここには呼ばれないか。私はレミリアだ、そこの少年が言っていたように、偉大な魔女だから、そこんとこよろしく」


「……立花渚」


 渚はそう言ってそっぽを向く。


「アッハハ! 無愛想だね! で、そこの君は?」


 レミリアは高笑いして、虚無僧に尋ねる。


「拙僧は名を捨てている。好きに呼ぶがいい」


「そいつ、自分の名前言いたくねえんだってさ」


「いや、そうじゃないでしょ。本当に名前が無いの、この人は」


「どう言う意味だ?」


 ケイトは不思議そうに渚に尋ねる。


「出家する時には自分の友人とか家族、私財なんかを捨てなきゃいけないの、もちろん名前もね。だから、この人に名前が無いのは本当」


「へえ、物知りなんだな、渚は!」


 渚はケイトを睨んで、諦めたように溜息をつく。


「まあ、一応小説家志望だからね。で、なんて呼べばいいわけ、虚無僧さん?」


「貴殿らの呼びやすいように呼べばいい。呼び名にこだわりがあるわけでもない」


「あっそ、なら虚無さんって呼ぶわね」


「好きにしろ」


「さて、みんな自己紹介が済んだところで、あいつが言ったように夜まで休んだほうがいい。こっちの夜は、君たち

の想像を超えるものだからね」


 レミリアは両手を叩くと六人にそう言った。


「そういえば、部屋があるって言ってたけど、どこにあるんだ? ノーデンスちゃんは何も言わずに消えちゃったけど」


「あ、それなら僕が案内できます。皆さんがここに来る前に、僕とマンチニールさんでこのお城を散策したんです。

その時にそれぞれの部屋を見つけましたから」


「そっか! それじゃ、早速案内してもらおうかな!」


「は、はい」


 ハインケルは立ち上がって扉まで近寄り、広間を出る。他の者達もハインケルに続けて広間を後にする。


「レミリア、だっけ? 聞きたいことがあんだけど」


 最後にナキが部屋を出ようとして、扉の前で立ち止まりそう言った。


「なんだい?」


「アンタも他の世界から連れて来られたのか?」


「ああ、そうだよ」


「なら、どうしてノーデンスのことを知ってたんだ? この世界の事にも詳しいみたいだし、明らかに他の連中とは違う。何なんだアンタ?」


 ナキは殺気の篭った目でレミリアを見る。


「まあ、疑われるのは当然か。確かに私は君達とは少しばかり事情が違う」


 レミリアはナキの前に降り立つと、真っ直ぐ目を見て言葉を継ぐ。


「けど、私は君達の味方だ、これだけは断言できる。私自身の事情で話せないことが多い。まだ疑惑は晴れないだろうが、信じて欲しい」


 ナキは数秒レミリアを見つめ、そうか、と言い残して広間を後にした。


「だから私は他の連中と合わせない方がいいって言ったんだ。余計な問題が生じるからね」


 レミリアは大きく伸びをして、中央の水晶玉を見つめる。


「まあ、そっちも切羽詰まってるのは理解してるよ。……今度は私の番かもね、ノーデンス」


 レミリアはポツリと呟いて、広間を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ