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チャールズはヤマンソと呼んだ巨人に向かって叫ぶと、青白い炎の炎弾を飛ばす。だが、ヤマンソは右腕で炎弾を全て搔き消し、そのままチャールズを鷲掴みにする。すると、一瞬でチャールズを赤色の炎が包み込んだ。
「ぐおおおおおおおおおおおおお!」
チャールズは炎に体を焼かれる痛みで絶叫するが、数秒で真っ黒に炭化し、ボロボロに崩れ落ちてしまった。
「おいおい、どうなってんだよこれ!」
ケイトは動揺しながら、ヤマンソに向かって銃を向ける。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
ヤマンソはケイトを見ると、咆哮を轟かせて拳を振り上げ、ケイトとサムに向かって振り下ろす。
「うおあ!」
サムは右側に走って拳を躱し、ケイトは蒸気を噴出させ、後方に倒れ込みながら躱す。だが、地面に倒れた衝撃で靴のソール部分が破損してしまい、蒸気が上手く噴出されなくなってしまった。
「くっ……」
ヤマンソは再び拳を振り上げる。ケイトはフラつきながら立ち上がり、どうにか逃げようとするが、ヤマンソの拳は無慈悲にもケイト目掛けて振り下ろされる。
「クッソ、まだ死んでたまるかよ」
ケイトは爆弾を投げ、蒸気が噴出した隙を突いて振り下ろされた拳を躱す。
「サム、頼むぞ!」
ケイトは走り寄ってきたサムにポーチから取り出した冷却爆弾を咥えさせる。そのままサムは右に、ケイトは左に円を描くように走り出す。ヤマンソの気を逸らす為に、サムは銃を乱射する。
「今だ、サム!」
ケイトの声を聞き、サムは咥えていた爆弾をヤマンソに向かって投げる。ケイトは投げられた爆弾に向けて銃を放つ。爆弾に銃弾が直撃し、極低温の蒸気が一気に噴出され、床や壁に霜が付き、ヤマンソの身体を凍てつかせる。
「喰らえ!」
ケイトはすかさず銃を乱射し、凍りついたヤマンソの身体を撃ち砕いた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
ヤマンソの苦悶の咆哮が響く。
「やったか⁉︎ ぐっ!」
ケイトは銃を撃ち終えると、よろめきながら膝をつく。
数秒後、魔法陣が発光し、身体を砕かれたヤマンソを吸い込んでいく。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!」
ヤマンソは吸い込まれる直前に、ケイトに向かって巨大な炎弾を飛ばして、魔法陣の中に吸い込まれていった。
「ここまでかよ……」
体力を使い果たしたケイトが、死を覚悟した時だった。
全速力で走り寄ってきたサムが、ケイトを突き飛ばし、巨大な炎弾に飲み込まれた。
「うわ! うっ、サム! サム!」
ケイトは体を起こしてサムの方を見るが、すでにサムの姿はなく、真っ黒な灰だけが残されていた。




