幼き友
9年の歳月を経た、もはや顔も、記憶もおぼろげな幼き友。君が過した2ヶ月の短い日々にわたしは一度も映らなかったろうが、わたしの友は君をあんまり大切に思っていた。わたしは人間があんなに泣くものだと初めて知ったのだ。幼き友へ、君が逝って9年になる。9年の歳月で、誰も彼も君のことを言わなくなったが…わたしは今でも、なぜか君のことを思い出すのだ。
幼き友へ
ああ とうに逝ってしまったわたしの幼き友
其処はどんな昏き場所だろうか
顔も知らぬまま逝ってしまった幼き友
笑い草にするつもりは無かった
ああ とうに逝ってしまった幼き友
其処はどんな昏き場所だろうか
顔も知らぬまま泉下の客となった幼き友
できればわたしは代わりたかった
周りはとうに君を忘れて 柳の下の花束も枯れ果てたが
川は同じように流れて 蔦は絡んでいる