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田園奇譚  作者: のすけ
8/8

それにしてもなぜ、今頃になって急にこんなことを思い出したのでしょうか。



あの日、家族が夜になっても帰宅しない私を心配して探していたところ、

森の中で倒れている私を発見したそうです。


その当時の私は朦朧(もうろう)としていて、状況をうまく話せず、記憶も曖昧(あいまい)でした。



同じ日に、指名手配中だった殺人犯がその森の中の木に縄をかけて、

首を(くく)って死んでいるのが見つかったのです。

私の精神状態については、

森で殺人犯の首吊り死体を見てしまったショックによるものだろうと言われました。


それにしても奇妙なのは、

花井先生についての記憶がみんなの中から消えてしまったように、

これまで誰も先生の消息を尋ねることもして来なかった事です。


それとみんなとの噂に登っていた、異形の犬を連れたあの美貌の男性。


花井先生にハデスと呼ばれていましたが、

先生のお話から察するに婚約者であったのでしょう。


あの時は恐怖と驚きで心が凍りついたようでしたが、

今こうして思い出すと、

花井先生が現れた時のあの男性と犬の様子は微笑ましくさえ思えます。

ああして愛する人を探し歩いていたのでしょう。



しかしながら花井先生とは、一体誰だったのでしょうか。

お名前も本名であったとは思えませんが、

本当のお名前すら、今もわかりません。


これらはすべて、今はもう80歳になろうという私に不意に蘇った、

鮮やかで不思議な記憶なのです。




拙著をお読みいただきありがとうございました。これは「星を見る蛇と灰色のピスターシュ」のパロディーのような感じで書きました。

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