始まり
ボクの名前は浅間のぞみ。
この春高校一年生になる十五歳。
ボクと言っているが男ではない。
ボクはれっきとした女の子だ。
それも、とびっきりの美少女のね。
どのぐらいの美少女か簡単に説明すると、中学生の頃に 『学園のマドンナ』 と呼ばれたぐらいの美少女だ。
もちろんモテモテ。そのことで困った時期もあったものだ。
ラブレターも大量に貰ったし、告白しに来た男子も何人いたか分からない。
大げさと言われるかもしれないが、実際そのぐらいモテた。
どうだいすごいでしょ♪
と、自慢話はこのぐらいにして (読者が退屈しないように) そろそろ本題を説明しよう。
ボクは今電車に乗って三重県に向かっている。
東京から一人で電車を乗り継いで向かのはちょっと不安だったけど、特に迷うことや乗り間違いもなくスムーズに目的地に近づいていく。
それこそ、まったく張り合いのないほど順調に、ね……。
『次は津駅~。次は津駅~』
そうこう考えているうちに電車のアナウンスで、もうじき目的駅に到着することを教えてくれる。
「おっと、そろそろか……」
網棚に置いてあった鞄を降ろし、降車する準備をする。
ボクは大丈夫だけど、乗車中は荷物が手元に無い状態が続くため、降車の際に網棚の荷物の存在を忘れるおそれがある。
ですので、読者の皆さんも荷物を持って電車に乗った場合はご注意下さい。
電車が駅にキーーーと止まると、音楽で駅に到着したことを伝える。
すると、お客さんがざぁ~と降りていく。
津駅は大きな駅のため降りるお客さんも多い。
「ちょっと道草でもするか……」
本当はさっさと目的地に向かえばいいのだが、津駅を探索してみることにした。
ボクは好奇心が強いのだ! ……と便宜上そう言っておいたが。
本当は光君に会うのを緊張してしまい、緊張をほぐすための気晴らしと言っていい。
そもそもボクが三重県に来た理由は光君に会うことだ。
てか、それ以外に目的は何一つ無い。
え? 光って誰かって?
聞きたい?
そうか、聞きたいか。
では教えてあげるわ♪
光君……それはボクの初恋の人さ。
詳しい話はまた次回で。