2.目が覚めた
次に起きた時は夜だった。
前回と違って視界がぼやけている事もなく少し安心した。
室内には誰もいない様だ。
窓から月明かりがさしているので辺りを見回すと、自分が寝ているベッドと小さな机と椅子しかないシンプルな部屋だった。
自分の家ではない。それは理解した。
今の自分の状態は?
手を毛布から出して上げてみる。
普通に動く。爪を切ったのは昨日だったはずと思いながら、若干爪がのびてしまっているのに気がついた。
私は何日も寝ていたのだろうか?
一度起きた時に何かを飲ませてくれた人は、誰だったのだろう?
そうは思うが、夜に起きて行き、他人を起こしてしまうことは気が引ける。
小さな窓から漏れる明かりをぼんやり眺めながら、ゆっくりと体が動くことを確認していると、自分がクリーム色の丈の長いシャツのようなものを着ている事に気がついた。
私の服ではない。
ということは、着替えまでされているらしい。
少し恥ずかしい様な気がするが、意識無かったからしょうがない。大丈夫。見られて恥ずかしい下着は着ていなかったはず。
ベッドからそろそろ出て立ち上がってみる。
ふらついたりはしない様だ。
唯一の明かりである窓に寄る。
そういえば、この家には灯りが無いな。
山小屋の様な所なのかと考えるつつ、少し高い位置にある窓を覗く。
雲ひとつ無い夜空に満天の星が瞬き、
空にでている月が、やけに大きく美しく輝いて見えた。




