1.頭いたい
(あっ… 頭痛い)
意識が覚醒するにしたがって頭がガンガンしてくる。
眼を開けたが、なんだかピントが合わないのか真っ白な光の中に居るようにしか見えない。
「…おかーさーん。……なんか…スゴい頭いたい」
小さな声しか出なかった。
流石に下の階に居るはずの母にこれでは聞こえなかろうと、もう一度声を出そうとしたら、近くから声をかけられた。
「***?」
聞いたことの無い声に、眉を寄せる。
誰だろう?オレンジ色の影が近づいて来た。
「********?」
声を掛けられ、力強い腕に身体を起こされた。その状態でストローの様な物を口に入れられる。
「**。*****」
(今、何て言った?)
「**。**********。」
(あれ?日本語じゃ……ない?)
ボーッと考えていると、一度口に入れられた物が取り除かれ、クッションらしき物を背中にあてられた。今度は頭を少し後ろに倒され、また口に同じものを入れられた。そこから液体が流れ込んで来る。
苦くて甘い液体だった。
少しだった為すぐに飲み込むと追加を注がれる。
何回かに分けて飲まされたあと、知らない誰かは私の頭をくしゃりと撫でると、私をまた寝かせ一声かけてそのまま部屋から出ていったようだ。
多分、知らない人だと思いながら、私はそのまま意識を手放した。




