レポート肆
そうこうしている間に第一章は終わった。
わたしがこの目で見ないうちに。
わたしがこの体で体験しないうちに。
終わってしまい、解決してしまった。目覚めてから知る恐ろしい事態。
歯車はまた元の通りにはめ込まれて回り始めた。
その色は最初より多少は変化した。質も前より良いものになった。
だけども役割が同じであるならば前と変わらない。ただ耐久性が増しただけだ。
のちのちこの歯車が、周りの鉄くずを取り込んで大きな歯車になろうが、関係ない。
今は何も変わっていないのだから。
失望した。失念した。
変化などただのひとつも起こりはしなかった。
退屈と平穏と停滞を引き換えにしてそれらはどこかへ行ってしまった。
……レポートにあるまじき書き方をしてしまった。
これはおそらく日記に近い。
だから今からはなるべく堅苦しく細々と書き記すことに努めよう。
大丈夫。あとで編集すればいい。いつになるかは分からないけれど、編集すれば跡形もない。
だから、ちょっと文はめちゃくちゃになってしまうが。
今回の結果
・国木瑞架→記憶を取り戻す。いなくなる。
・田中秀樹→記憶を取り戻す。隠される。
・鳴識遥→生徒を守る。守れない。
・花積智美→何も知らない野次馬。わめくだけ。モブ。
・藍澤蒼介→全部知っている野次馬。モブ。
……果たして書く意味があるのか分からないが、一応次のこともデータとして書き留めておく。
その場の様子も情報の一つである。何よりわたしのストッパーを外し、未知の領域へと誘い込んだ『謎』そのものだ。
これからまた、以前のレポートと資料を見返して情報を整理する。
その上でこいつの一挙一動はどうしてもヒントになってしまう。
・奴→さっきからずっと笑っている。
【第?章 終】




