ファナティックフロイライン
摂氏二五℃、湿度四八パーセント。雲一つ無い青空の下で、彼は雨に降られた。
赤い雨。
人通りのない路地裏に、硝煙の雲から、血と、肉片と、脳漿の雨が降り注ぎ、制服姿の少年を紅に染めあげた。
地べたにへたり込んだ彼が見る先に立つのは、仕立ての良い、上品そうな白いワンピースの少女。しかし、その両手には彼女には不似合いの黒光りする二丁のゴツいSMG。
足下に転がる、四つの“元”男を作り出した破壊の利器だ。
絹糸のようなサラサラの金糸に、海より深く、空より高い碧眼。それが血と肉片と脳漿にまみれて赤く染まる。だが、艶然と微笑む彼女の頬は上気し、その瞳は淫蕩に濡れ、太股の内側を溢れた淫液で汚れていた。
そんな少女に、彼は見惚れてしまった。
こんな惨劇の場だというのに、彼は彼女を美しいとすら思ったのだ。
「……ふふ、良いですわねあなた。この状況で“勃つ”なんて♪」
「え? あっ?!」
少女の視線の先に気づいて、少年はそそり立つ己のモノを隠した。が、その首根っこが捕まれた。
「ちょうど良いですわ♪ そこのホテルでわたくしにぶち込みなさい☆」
「え?」
そうして、彼は場末のホテルに引きずり込まれていった。その日、少年は少女の手によって“男”になった。