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水球師の日常  作者: 桃花
4/17

#4

総会後、兄貴が倒れたと言っていたので実家に顔を出すことにした。独り立ちしてから実家には言っていないので、1年ぶりだ。手ぶらで帰るのもどうかなと思い八百屋によって果物を買う。昔は、スーパーと言う便利なものがあり一年中果物や野菜が売られていたらしいが、自然環境が変わってしまった為にその技術を使って食物を作ることが困難になってしまったらしく今は、時期の物しか取れないし販売できない。雨季になると作物が取れなくなるので、保存食が多く食卓に上る。ばあ様たちはよく昔を懐かしんで教えてくれていた。

「胃に優しいものが欲しいのだが」店員に声をかけるとそうですね。と言いつつ缶詰めの桃を出してくる。他の果物はすべて乾燥フルーツだそうな

「これなら胃にやさしいと思いますよ」おすすめしてくるのでそれを2個ほど購入してから実家を目指す。

 実家は住宅地にある集合住宅の一つだ。フィールドを管理していると言っても所詮お役所仕事だから収入もそんなに多くない。自宅を所有しているのはお金持ちだけだ。ほとんどの国民はその収入に合った集合住宅に住んでいる。海面上昇とかのせいで住める土地が少ないというのも理由の一つだろう。チャイムを押すと「鍵かかってないよ」とインターフォン越しに不用心な事を言う兄。ドアノブを回すといった通り鍵がかかってない。

「お邪魔します」そういい玄関に入ると出迎えが頭を下げている。うちはそんな人を雇うだけの収入が無はずだが?そう思いながら出迎えをジロジロ見ると見覚えがある感じがある。スーツ姿であるが筋肉質なのがわかる男性とキリリと乱れが無い髪型と淡い金髪・・・

無言でその前を通り今に行くとソファーで読書をして寛いでいる兄が見える。倒れたと言っていたが顔色は良いのでほっとする。

「元気そうで何より。これ土産の桃缶。開けて食べて」テーブルに置くと本から目線をこちらに移してくれる。

「ありがと。玄関の二人は無視してきたの?」コーヒーを飲みながら聞いてきた。

「コーヒーは胃に悪いよ。ってかそんな高級品どこで手に入れてきたの?」聞きながら台所に侵入して缶詰めを開けてお皿に乗せて持っていく。自分用のお茶を片手に持って。

「ああ。本家の総一郎さんが見舞いの品でくれたんだよ。胃炎で倒れた人間にこのチョイスはどうかかと思ったが、今はいいチョイスだと思うよ。久しぶりにお前のお茶以外を口にした」笑いながら言っているが、私作成のお茶は激務ようだと言って渡した記憶があるが・・・

「そんなに忙しいの?」心配して聞くとコップを置き首を振る

「書類や外交は全然忙しくない。忙しかったのは大地の水分調節。昔は優希が色々やってくれてたし簡易式で農家さんが自分たちで調節していたこともあったけど去年はそうじゃなかっただろ。雇った人間が仕事が出来ない癖に偉そうな人間で他の職員との軋轢がな・・・」大変だった呟きながら顔をしかめている。あー水分調節の人ってそんな人多いよね。陣を形成するのも大変だし魔力の調節して吸い上げスピードを考えないと崩れたりするからね。

「そうなんだ。ああ。今時期はどの野菜をどこで作付するとかの書類が来て大変な時期じゃなかったっけ?早めに作付するものもあるから今から動き始めないと乾季大変じゃない?」自分で買った桃をかじりながら聞いてみる。学生の時に実地経験が不足・実験のためにおじさんたちにお願いしてフィールドの水分調整をさせて貰っていたことがあるのでこの時期の忙しさはわかっているつもりである。遊んでて良いの?遠まわしに聞いてみると

「大丈夫なはずはありません。支障が出始めています。さっさと復帰してください」兄貴に食いついているのは明華さん。さすが従事長。書類関係の溜まり具合は把握しているんですね。

「そういわれても1か月の自宅療養を言いつかっているんだよ」言いながらサイドテーブルから出す診断書。それを見せつけられて唸っている明華さん。

「そうだ。総会はどうなった。あの子は、夜用の奴隷落ちしたのは知っているけど。婚約者候補は?」

興味なさげに聞いてくる兄。兄の中では妹は私だけらしく、妹は後妻さんの連れ子。たんなる同居者という認識らしい。血がつながってないって言ってもその扱いはどうよ?と前に聞いたら「あんなの妹じゃない」と言い捨てたことがあった。

「私が当主。外交とかはほかの人に任せても良いっと許可をもらってきました。婚約者は東の次女に決まったよ」面倒だよね。書類関係は少しは出来るけど兄みたいに出来無いな。誰かいい人いない?と聞くと

「優希が行くなら俺も行くよ。書類関係は俺の方がわかっているし効率だっていい。優希は外で水分調節してくれればいいよ。その合間に簡単に処理できる仕事から徐々に慣れていけばいいし。外交だって俺と一緒に出れば問題ないだろう」一人で背負うことなんてないんだよ。頭を撫でながら言ってくれる。水分調節ってそんなに人手が足りないんですか?

「お前みたいに微妙な調節できるのが少なくてな。簡易だって使い捨てだから発行が追いつかない。お前が作った陣だからお前が書かないときちんと発動しないみたいなんだ」困るだろ?まあ。今回はお前が来るから少し待ってとお願いしているから今年はどうにかなるけどね。

「外に出るなら討伐隊を出すことが出来る。フィールド内の小道までお前なら行くから大きな害獣を駆除できるな。メイン道路ではなく小道の出没率が高くて困っていたんだ。小物なら個人の討伐を雇ってと言うことが出来るがな」そう言うのは博昭さん。兄を見て何のこと?と聞いてみる。

「討伐隊は、優希についていろんな場所に行っていたから大型害獣を早めに討伐出来たけど去年は違ったからね。それに調節部隊は、細い道や小さなところに行きたがら無かったから不満が多くて困っていたんだ。来年には優希が復帰するからと言って我慢してもらったけど」

「は?去年の時点で決まっていたの?」恐る恐る聞いてみると

「そうだ。うちが管理しているフィールドは小さな農家さんが多いからね。その代りいろんな種類の野菜を作ってもらっていたんだが。そこがわからなかったみたいだ。専門に優希をと言う声が去年多かったな。独り立ちして水球師になったんですよ。と説明すると肩を落としていたり呼び戻してくれと嘆願書を出す人たちもいてね」人気者だよ。

「いや。そんなこと言われてもね。北専門に雇っていなかったけ?」いたよね。昔見た気がするけど・・・

「いたよ。あれが、我儘言って全員やめて行ってしまってね。今年は優希が復帰するから来てくれ。とお願いしたらすぐに頷いてくれたけど」愛されているね。そんな妹を持てて俺はうれしいよ。にこやかに話してくれる兄。腹黒すぎないか?

「優希様はすぐに無理をするから他の方々が心配してるんですよ。それで、熟練の方が来てくれる。素晴らしい人材です」才女のいい笑顔をもらいましたが、なんかうれしくない。納得いかない顔をすると

「優希がフィールドに出てると聞いて肝を冷やした人間が何人いると思っている」説教モードになっている博昭さん。何故?ちゃんと生活出来てましたよ。

「討伐隊たちはお前の体力のなさを知っているからな。どこかで倒れてないかと心配したり、怪我して泣いてないかと心配しているやつらが多い。有給を使ってお前の仕事ぶりを確認しに行った奴らもいる。陰ながら手伝うと言い出したやつもいたがお前の成長の妨げになると言って我慢して憔悴して帰ってきたものが多量にいるので精神衛生的に近くにいてもらった方がな」そんなこと言われても・・・

「そんなことで、連れ戻し決定?」

「そんなことって。かなり大切なことだぞ。安心して仕事が出来る環境。うさぎの波状攻撃ぐらいで死にそうになるなんてありえないからな。その映像を見て皆ハラハラしていたんだぞ」

「はあ?映像ってなんですか。そんな高等技術使って何しているんですか。技術の無駄遣いじゃないですか」本当に何をしているのやら。

「仕事中のお前を俺らが見守っていたら偶然見た調節の者が勉強になると一緒に観察するようになったな。お前はちょいちょい陣を使っているだろ?それが勉強になるとか陣を書き写していたぞ」

「いや。それ盗撮だから。何しているの?国の役人が盗撮とか」兄を睨むと

「それで勉強になっているから止めるに止められ無い状況だったんだ。最低限のプライバシーだけは護ように言いつけていたから大丈夫だ。先月の豪雨なんて徹夜で見守り隊が出来てたな。仕事に支障が無いようにと言いつけていたが」どうだったんだ?

「討伐隊は雨季には訓練のみなので問題なかったですし。水分調節の者は勉強になるとノートと本を持って発狂していましたよ。こんな風に使えるのか!!って騒いでた」兄に答えたのは博昭さん。

「いや。どれを陣に組むかなんてその時の気分と状態で変更をするから」勉強にならないでしょ?

「それが不思議だと言っていた。水の調節だって違うだろ毎回」いつも護衛でついて回っていたのでばれていたらしい。

「違うよ。その土壌に合った水分調整をしないと作物が育たないでしょ?簡易も毎年作付するもので調節してたし。そんなこと以前の人たちはいつもしていたじゃない」何が不思議?教わった通りやっていただけなんだけど。

「そうか。熟練さんたちと仲良かったからな。明後日くらいに挨拶にいって溜まったものを整理するか。俺が処理している間、外に遊びに行っていいぞ。ついでに調節とかするんだろうから」にやにやしている兄。人の行動パターンなど読み切っているんでしょう。本当にやばかったら手伝うけど今は季節の変わり目だから調節なんてそんなに出来ない。ちょっと大目に含んでいるところから吸収するだけだからな。場所によって早めに作付すると言っても今時期はしないだろうから。

「明後日か。引っ越しの準備とかしないと。一か月決めの部屋借りたばかりなんですけど」面倒だ。そう呟く。

「乾季になればあっちに行きっぱなしだから俺の荷物も本家に預ける。この家も手放すことになるだろうな。別に思い出なんてないから大丈夫だろう」あっさり言う兄。この家は、お母さんの趣味で借りていたもだ。乾季には父について行ってたし雨季には本家で過ごしていた私たちには思い出は無い。

「私の荷物も本家でいいの?そんなに荷物は無いけど」

「本家には了承を受けている。そもそもお前が本家で過ごしていない事もあちらでは理解できないという反応だっだからな」本家は理解できないとコーヒーを飲み干している兄。ご苦労様です

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