センパイ。
どうして、後二年早く産んでくれなかったの?
どうして、後二年遅く生まれてこなかったの?
その言葉は私の頭から離れる事はその時、一度も無かった・・・
私の好きな人は、学校のセンパイ。
その人は三年生。私は一年。
どうやっても越えられない壁がありすぎる。
でも、それでも、私はセンパイの事を好きになってしまった・・・
私がセンパイを好きになったのは、体育大会の行進の時だった。
それはほんの少しの時間だったかも知れないけど、私にとってはとても長く思えた。
その人は生徒会の会計をしている。
だから昨年度優勝の私の団から行進しているのが見えたのだ。
体育大会が終わると、またいつもの生活が私を待っていた。
三年生は三階で、一年は一階。
三階に行く事はめったに無いし、センぱいが一階の廊下を通るのも移動教室以外ほとんど無い。
それに、センパイは私の教室からは遠い階段を使うから私の教室の前を通る事は無い。
こんなことで、センパイを見る回数が徐々に減っていった。
そんな時、また合唱会という行事がやってきた。
センパイは指揮をしていた。
背中しか見ることは出来なかったけど、とってもうれしかった。
三月の卒業式当日
『これで、第××回卒業式を終わりにします。』
終わった。
もうセンパイは中学に来ない。
だから神様、最後の最後に私の願いを叶えて下さい!!
どうか、センパイがあの場所にいてくれますように!!
私はホームルームが終わったと同時に教室を飛び出した。
私が向かったのは、屋上!
『ガチャ』
重い鉄の扉が開いて、私の目には夕陽とその夕陽の中にいる一人の男の人の影が映った。
【来てくれたんだ。。神様、ありがとうございます!!】
その人は私が呼んだ人、そう・・・センパイなのだ。
私は今日の朝、センパイの下駄箱に手紙を入れといたのだ。
『今日の放課後、屋上に来て下さい。』
と書いて。
私は涙をこらえてセンパイに話し始めた。
「せ、センパイ、今日は来てくれてありがとうございます。」
私はセンパイに向かって頭を下げた。
「今日来て貰ったのは、センパイに言いたい事があったからです。
センパイは今日で学校を卒業するして、もう学校には来ないので、最後に言わせて下さい。
私はセンパイの事が好きです!!付き合ってとは言わないので、名札、下さい!!」
私は溢れる涙を拭くこと無く、両手を差し伸べて頭を下げた。
私の顔の下には、涙の後が出来ていた。
「はい。」
センパイは恥ずかしそうな顔をして、私の両手に名札とハンカチを置いてくれた。
「えっ?」
ハンカチを置かれた意味が解らなく、変な声を出してしまった。
「涙、拭きな。」
そう言ってセンパイは屋上から出て行った。
私は夕陽が沈むのを見つめながら、涙を流しながら、片手に名札、片手にセンパイのハンカチを持ちながら、ただ呆然と立っていた。
二年早く生まれてくれたから。
二年遅く生まれてこれたから。
私は今、こうして幸せを掴む事が出来た。
最後に、センパイ、
ありがとう
なんか、意味が分からないんですけど・・・
ある人にはこれが誰だか分かるかも・・・
嵩凪アリナ