表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おくりもの  作者: かっぷ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/26

第十七話:決戦は金曜日

 街頭に、真っ青の募金箱を持って立ち並ぶ人々。そこへ財布から小銭を取り出した通りすがりの人が、善意の募金を行っては去って行く。

 某テレビ局の大規模チャリティー企画『愛が宇宙を救う』が、今まさに開催中なのだ。

 テレビの生放送も開始され、日本各地で青色のTシャツを着たスタッフが、明るく朗らかに感動を伝えようと走り回る。


「おし、勝ちに行くぞ!」


 そして今日は、昴の裁判が行われる日でもあった。

 健太郎はシワ一つ無いスーツに身を包み、気迫漲る表情で裁判所前に立つ。


「頑張ってね、お父さん! 応援してるから!」


 彼の背後には、緊張の面持ちで父へ声援を贈る鈴音の姿。手には何故か、真新しい大学ノートが握られている。


「ああ、心配すんな鈴音。って、裁判は俺に任せておけば大丈夫だけどよ。お前も予定通りに動けよな? そっちの方が心配だぜ」


 おどけたように言った健太郎に対し、真剣な眼差しを返す鈴音。その生気溢れる目には、一ヶ月前の無気力な少女の面影は、無い。


「大丈夫、私だって……絶対に負けないから!」

「よっしゃ、その意気だ」


 愛娘に別れを告げて、裁判所へと踏み込む健太郎。長い廊下を抜けた先、被告人の控え室に、彼を待つ人物が居た。


「ケンタ……」


 昴だ。

 どこか疲れたような表情で長椅子に座っていたが、健太郎の姿に気付くと立ち上がって友を迎える。


「任せたぞ」

「おう、任せろ!」


 短く言葉を交わし、視線で頷き合う男二人。

 こうして昴と鈴音と健太郎の、長い一日が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ