見てしまった
回想シーン
学校が終わり部活も終わり、電車に乗って家に帰ろうとしていた俺。
駅の近くまで友人Aがチャリを押しながらついてきた。
一緒に帰っているわけではない・・・決してこんなうるさいやつと帰るわけがない。
俺は静かに一人で帰ることが好きなんだ!!
って、誰だ!今寂しいやつっ思ったヤツ!!ほっといてくれ!
「でさぁーーー!!近藤がさぁ!!マジふざけてんだよ!うぜぇったらありゃしねぇー・・・。って、いーちゃん聞いてる?」
「・・・・・・。」
「いーちゃん?いーちゃん!!いーちゃん!!」
「何度もそのあだ名を大声で呼ぶのをやめろ!」
俺のモットーは言いたいことは簡潔にである。
つまり、伝えたいことを伝えたらその場で会話終了なのだ。
『いーちゃん』と呼びやがった友人Aは、何故か半泣きになりながら俺のブレザーの裾を引っ張った。
はかたら見れば、彼女が彼氏の機嫌を取るような仕草だが、相手は男。女じゃない。
たとえ、友人Aの顔が女顔だからと言って、そんな仕草をされても嬉しくない。
そもそも、そんな気も一切ない・・・友人Aもないはず。
「オレ、いーちゃんをいーちゃんとあだ名を付けるのはいーちゃん以外にいないし。オレ、いーちゃん以外にあだ名なんてつけたりしないよ!!」
「・・・・・。」
コイツの耳は壊れているらしいことが分かった。
誰もそんなことを聞いていない。
そもそも、呼びすぎだ!!嫌味なのか!!
「それに!!いーちゃん以外の友達いないし、いらないし。」
「いや、そこは作れよ。」
無視をしようとして見事に突っ込む俺がいる。
今のは聞き捨てならないだろう。
あれだ、『近藤』はどうしたよ?友達じゃないのかよソイツ。
見知らぬ『近藤』クンに同情する俺は何?なんなの?優しいの??
「ううん。いらない。だって女と間違うし、うざいし、てかさあいつ等・・・・」
今の言葉に『近藤』クンのことも含まれているのだろう。
そもそもと俺は思う。
コイツの・・・友人Aの話の飛び方は女子高生なみだということを俺は改めて実感した。
ついでに、この毒舌がどう止めるのか誰か教えてほしいのだがいないのか?
友人Aの毒舌を永遠と聞いていたら、いつの間にか駅へと着いていた。
「あれ?おまえ、駅までついてきてるけど・・・・気付いてんの?」
未だに独り言を言い続けている友人Aにわざわざ声を掛けてやる。
「え?あれ??本当だ、気付かなかった!やっぱり、いーちゃんと話していると周りが見えなくなるよ。」
「いや、話していたのお前だけだから・・・てか、独り言だろ。アレ。」
そもそも、そういうことは彼女に言ってやれといいたかったが、友人Aは颯爽とバイバーイといいながら去って行った。
「來華・・・相変わらずのマイペースなやつだな。」
あ。アイツの名前を口に出してしまった。
俺のマイブームが!!
早乙女 來華、俺と同じ18歳の高3。パッと見女子高生なみの可憐さを持っているとクラスの誰かが言っていた。
俺は、小学校から今まで一緒なため(腐れ縁ともいう)、アイツが可憐といわれるのを結構驚いている。奴らは知らないのだろうな・・・來華の毒舌を。
ついでに、アイツは忍者の家系だ。
いや、マジで。だってあいつ自身が言ったんだ、信じる以外に何があるというんだ?
てか、友人Aのことはこの際どうでもいい。
今は電車のことだけを考えるんだ・・・でんしゃ、デンシャ、ガッタンゴットン・・・。
定期を鞄から取り出し、いざ改札口へと向かおうとして・・・見てしまったのだ。
ほかの奴ら(一般市民)も、ある意味で見て見ぬ振りをしているというのに。
よし、俺も見て見ぬ振りをしよう。
「ねぇ、おねぇさん一人?」
古ッ!!!
オイ待てよ。流行遅れの恰好をしただけでなく、絡み方も古すぎるだろ!
見て見ぬ振りは失敗に終わった。
だいたい、奴らが悪い。
「え?私のことですか?私は貴方のお姉さまではありませんし、兄弟はいないはずなのですが?それに見ての通り一人です。」
はい、ちょっと待てー。
絡まれたやつ・・・何、真面目に答えてんの?
そりゃあ、お前がチンピラAとしよう。チンピラAの姉だったら引くわ~。
「ああん?俺の姉貴はモデルやってるぜ?」
何!?
チンピラA・・・貴様の言葉に俺を含めた周りのやつが動揺してんじゃねぇーか!
姉貴をモデルに持ちながら、お前のセンスの悪さはなんだよ。
ピンクに花柄・・・黄色いパンツに緑のハット。ハイキングに行くんじゃねぇんだしよ。
そもそも、柄が古い。
「姉貴のやつ、モデルのくせに俺のファッションセンスを馬鹿にするんだぜ!?」
はい、切れんな~。
こっちがキレそうだからなぁ。もうそろそろ。
「それは、きっとご趣味が一致しなかったのでしょうね。」
何言ってんの?頭大丈夫?そこの方。
お前が来ているドレス的服もここの空気に一致してねぇーよ!
つか、何この会話?可笑しすぎるだろ!!
しかも、何俺?ひとつひとつに突っ込みすぎじゃね?
「おお、その通りだぜ!!てことで、行くか?」
「行きません。」
即答だった。
少女はチンピラA・B・Cの動きを止めるほど即答だった。
ついでに周りの空気はコイツ等の会話ですでに止まっている。
「ああん?おねぇーさん?何いきがってんだ??」
そう言って、チンピラAが少女に近づいた。
俺は不思議だった。何故、俺はこの時動いてしまったのだろうかと。
何故、めんどいことに自ら首を突っ込んだのかと・・・・きっと未来永劫わからんだろうな。
周りの一般市民は、よしやれ!との目線エールをくれている。
いらねぇーから、その場所と俺の今いる場所変わらないか?
俺は今・・・・少女とチンピラA・B・Cの間にいた。
少女を庇うように後ろに隠し、チンピラなんたらと対峙する。
そして_______________。
回想シーン終了なんだが、今現在、何故なのかは知らねぇーが、助けた少女は当然とのごとく俺の後ろをついてきていた。
始めは同じ方向に家があるのかと思ったのだが、どうも違うようだ。
なんせ、俺の家に向かって俺と少女で歩いているのだ。
何かが、おかしかったが何がおかしいのか理解できないほど、頭が働いていなかった。
ああ、もうすぐ家に着くというのに。
家には鬼が二匹生存をしているというのに・・・・。
もぅ、ダメだ・・・・・。
「死んだな。」
記念すべき、俺の死亡フラグが500回に達成した瞬間が、どでかい門構えの前にたった時点で発生した。
俺は、また死ぬらしい。
*********
更新できました。
長くなってしまいましたが、次回は短いはずです。
ええ。短くしまうす。
んでもって第1章になるように頑張ります。
主人公の名前は次回出てきます。たぶん。