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「は?王都郊外の民間人の戦没者墓地に花畑が広がっただと?」
「はっ陛下。付近の住民の話だと日没後、墓地の方から住宅街にも分かる程の閃光が放たれたそうで、早朝、住民達が様子を見に行ったところ、真冬のこの時期にあり得ない花畑が墓地に広がっていたそうです」
「神殿に問い合わせたか?」
「はっ。神殿によると次回の浄化予定の墓地になっていたそうです。神殿にも直ぐに連絡が入ったそうで、あちらからも我々に連絡が来ました。すでに墓地には大神官が向かわれたそうです」
「なるほど。墓地は余も直接見に行こう。第一王子は学校に登校せよ」
「ですが父上!」
「お前は令嬢に確認せよ。恐らくこんな事ができるのは聖女の杖しか心当たりがない」
「…分かりました」
「令嬢を責めるなよ。悪さとは違うからな。そして他の者達には知られるな!」
「生徒会の者達にもですか?」
「お前が信じる者には良い。だから令嬢を守れ。騎士団長!恐らく伯爵からの報告もあるであろうな」
「はっ。呼べばすっ飛んで来ると思いますので、本部に急ぎ戻ります」
プリシラが墓地でライトアローをぶっ放した後、翌朝、墓地では大事件になっていた。
大惨事じゃなくて良かったと後になって思ったけど。
「ハハハハハッ」
「何がおかしい!イノチェンツィオ!」
「だって、まさかっハハハ」
「笑いを止めんかっ!」
大神官と小侯爵は報告を受け花畑を確認しに墓地に訪れていた。
イノチェンツィオは中規模の魔物発生の兆候にライトアローが効いたと聞いて、伯爵はきっとプリシラにもライトアローを学ばせるだろうと予想した。
だが彼女は補助魔法と違って、攻撃魔法を楽器で奏でるとは思えない。
恐らく自分の魔力で試した後、聖女の杖を使うだろうと踏んだ。
だとしたらその威力を受け止める場所として、イノチェンツィオはあらかじめ、次回、神殿の浄化予定に挙がっていた戦没者用墓地をカスティエルに伝えておいたのだ。
カスティエルは昨日の夜の内に直ぐに連絡をくれた。
だから自分達がここに来るのも早かったのだ。
「父上、陛下がお見えになったようですよ」
「大神官、早いな」
「陛下、おはようございます。全くこの時期に、しかも墓地にはあり得ない光景ですな」
「全くだ。自分でも目を疑ったわ。神の偉業として周辺住民には伝えるしかあるまいな」
「しかし、この光景も今日中には終わるでしょうな。今は冬ゆえ、花々は寒さに耐えられまい」
「ああ残念だが今日で見納めだ。やらかした本人も見れまいな」
「プリシラか…」
「聖女の杖しか説明のしようがない。今、第一王子に確認させているところだ」
「あの娘…学校を出たら騎士団か魔法師団か?」
「神殿に欲しいのか?」
「要らん。そっちで頼む」
「そちらが欲しがると思ったが?だが…いささか押し付けられた気もしないでもないな。ククククッ」
国王が可笑しそうに笑う。
大神官はその様子に眉をしかめながら国王に背を向ける。
「イノチェンツィオ!帰るぞっ」
「はいはい。それでは陛下、御前を失礼致します」
「それで、君は戦没者墓地で昨日、何をしたんだ?」
学校に登校した途端プリシラは第一王子殿下に捕まり、生徒会室まで連行され尋問を受けていた。
「殿下!授業始まっちゃいます…」
一応、無駄な抵抗として言ってみる。
「君が直ぐに白状すれば、解放される…かもしれないな?」
「別にやましい事は何もないですから!ちょっと人気のない場所で練習しただけなんです」
「何を?」
「覚えたばかりの光の初級攻撃魔法です」
「墓地でか?なぜ?」
「家の練習場だと周囲に影響が出そうで…」
「何の?」
「ええと…それは…きっと聖女の杖を使えば、ただのライトアローでは済まないかなって…」
「なるほど…」
第一王子はそう言うと深く溜息を吐いた。
「あの…墓地で何か起こったのですか?」
「ああ。私は見ていないのだが、朝一番で墓地から連絡があった。墓地一体に草花が咲き乱れ花畑になっていたそうだ」
「えっ!冬なのに?」
「そうだ。真冬にも関わらずだ」
それは怒られる事なんだろうか?と不安そうに殿下を見ると「は〜…別にお咎めは無いと思うが…どうしたもんかな…」
殿下が悩まし気に言ったその時、生徒会室に続々と役員達がやって来た。
「皆さん、授業は?」
「殿下が登校して直ぐプリシラを連れて行ったと聞いて、何かあったのかと」
「お二人で話すような秘密の内容ですか?」
「いや君らに秘密にする内容ではない。だが我々以外には、絶対、他言は控えてくれ」
第一王子は今朝、王城にあった報告内容を皆に伝えていく。




