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第一話 起の舞・6

「・・・・・・・・・・」

 何処までも澄んだ湖底の瞳。その美しい輝きから、目が離せなくなる。

 数秒の視線の交錯は相手が逸らしたことによって終わりを告げる。この地方では珍しい金髪を揺らして去っていくその背を、橋聖はただ、見つめていた。

「何だい?橋聖。何、見惚れてるんだい?」

 こちらの様子に気付いて冷やかしてくる女将の言葉も聞こえていない。差し出していた手から重みが消え、一瞬後に瓶が割れる甲高い音と女将の小さな悲鳴を背に、橋聖は来た道を戻っていた。

「・・・・・・・・・・」

 何かに導かれるかのように、橋聖はその後を追っていた。人混みの中を流れに逆らって歩くのだから当然誰かにぶつかり、その度に罵声の一つや二つをもらったのだが、そんなものは橋聖の耳には届いていなかった。

 その瞳はただ、前を行く黄金の輝きだけを見つめていた。

「あ…ッ」

 不意に、その輝きが消える。

 慌てて駆け出した橋聖は、見失った辺りに一本の細い路地を見つけた。迷わず、その路地裏へと入る。複雑に入り組んだ細い煉瓦の道をあの輝きを探して走る橋聖の耳には、いつも以上に乱れた己の呼吸音が響いていた。

「危ない!」

 高い建物が密集する空間をひたすら走っていた橋聖は、突如として飛び込んできた危険を知らせる声に思わず立ち止まった。少し先の路地から飛び出してきた女の、風に流れる金髪が視界を埋め尽くす。

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