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第一章 転の舞・10

「貴方は…」

 何かを確認しようと洩れた言葉は、しかし尻切れ蜻蛉となる。聴覚が捉えた空を切る音に、無意識のうちに凪は膝を折っていた。その頭上を、鋭い刃が数本通り過ぎていく。

 背を向けていた凪よりも視界があけていた橋聖もほぼ同時に頭を低くし、結果として滑空したそれ等は近くの壁へと突き刺さる。

「ダガー?」

 体勢を整えた橋聖の掲げたランタンの光が、壁に突き刺さった物を照らし出す。

「命を狙われる覚えは?」

 闇から投げられた数本のダガーが狙ったのは、果たしてどちらなのか。

「貴方は?」

 軽く肩を竦める動作は肯定を表し、凪は逆に問い返す。

「ま…こんな仕事をしていれば、一つや二つ」

 命を狙われて取り乱すような繊細な精神など持っていては旅などしていられない。

 平然とした様子の返答から凪が導き出した答えは、どうやら相手も同じであるようだった。

「じゃあ…ここは一旦、休戦って事で」

「異議はありませんね」

 短い遣り取りで、互いに過度の警戒心を解く。

 一時休戦。取り敢えず、この先にわだかまる闇に潜む敵を倒すまでは味方だ。それでも、片隅に僅かな緊張を残しておくことを忘れないのは、どうやらお互い様のようだった。

 侮れない相手だと、互いに同じ思いを抱く。

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