第37話 母
救急車の赤いランプが、夜の街を切り裂くように点滅しながら病院の救急入口へと滑り込んだ。
担架に乗せられた蓮の身体は血に染まり、無機質な蛍光灯の光に晒されてなお、その傷の深刻さを隠しきれない。
「至急オペ室へ!」
医師と看護師たちの声が飛び交い、緊迫した空気の中で蓮は運ばれていく。
その背を追うように、ゆりは足元も覚束ないまま走り込んだ。
「関係者はここまでです…こちらにてお待ち下さい」
と告げられ、重たい扉の前で立ち止まらされる。
バタンと閉じられた扉には「緊急手術中」の赤いランプが灯り、ゆりはただその場に立ち尽くした。
救急搬送された蓮は、そのまま緊急手術へと入った。
白い蛍光灯が容赦なく頭上から照らし、冷たい床の匂いだけが鼻にまとわりつく。
静寂が押し寄せる中で時間だけが残酷に過ぎていく。
椅子に座ったゆりは、背筋を折り曲げたまま両膝に手を置き、まるで壊れた人形のように動かない。
頭の中は真っ白で、涙も出ない。
さっきまでの惨劇の映像だけが、何度も何度も脳裏に焼き付いている。
「……失礼します」
控えめな声と共に、グレーのスーツ姿の警察官が二人現れた。
片方が手帳を開き、もう一人が軽く頭を下げる。
「お怪我はありませんか?」
「……はい」
ゆりの声は、自分のものとは思えないほど小さく掠れていた。
警察官は一瞬だけ目を細めると、落ち着いた口調で続ける。
「先ほどの事故の状況について、可能な範囲で構いませんのでお聞かせいただけますか」
警察の事情聴取が始まるとと、手帳にペンが走る音だけが、病院の廊下にカリカリと響く。
ゆりは膝の上で両手を握りしめたまま、焦点の合わない目で床を見つめている。
警察官の投げかけられる質問に対し、ただ頭に浮かんだ映像をそのままなぞるように、淡々と口にしていく。
口からこぼれる言葉は、自分で選んでいる実感がない。
警察官の質問に、ゆりは壊れた機械のように答え続けていた。
誰が、いつ、どこで、形式ばった言葉の羅列が、まるで遠い世界の出来事のように頭上を通り過ぎていく。
そんな虚ろな時間の中、廊下の奥からパタパタと慌ただしい足音が響いた。
その小さな音が、なぜか妙に大きく胸の奥に刺さる。
視線は自然と、その音のする方へと向いていた。
警察官に導かれるように、ひとりの女性が現れる。
ゆりを取り調べていた警察官と、女性を伴ってきた警察官が、短く目を合わせて会釈を交わした。
「ご家族の方です」
そう口にした警察官の声がやけに重く響く。
女性は静かに会釈を返した。
高身長で、ショートカット。
年齢を重ねてもなお凛とした美しさを失わない、品のある大人の女性。
その整った顔立ちには、どこか彼の面影が宿っている。
「息子の状況は…っどうなんですか!?」
凛とした声が震える。
その一言に、ゆりの胸の奥が強く締めつけられた。
──蓮の……お母さん……。
虚無の底に沈んでいたゆりの精神は、その言葉と共に一気に現実へと引き戻される。
鼓動は荒く脈打ち、全身から冷たい汗が吹き出すような感覚に襲われる。
警察官が淡々と事情を説明している間、女性は戸惑いを隠しながらも何度も頷いていた。
だがその瞳は、説明を聞きながらも時折チラ、チラとゆりへ向けられる。
まるで“この子はいったい誰なのか”と、存在を確かめるように。
「あの…そちらの女性は?」
女性は言葉を切り、ゆりを指すようにして警察官へ尋ねた。
その瞬間、ゆりの胸が一気に締めつけられる。
──来た……。
ゆりは息を呑み、逃げ場のない現実に戸惑いを隠せなかった。
「事故当時……息子さんと一緒にいた女性です」
警察官の言葉が落ちると同時に、ゆりは小さく目を閉じ、深く息を吸い込み、覚悟を決めるようにゆっくりと深々と頭を下げた。
蓮を抱きしめた時に付着した大量の血が、ゆりの服にまだ生々しく残っている。
その凄惨な赤は、事故の壮絶さを余すことなく物語っていた。
蓮の母親は、その姿を見て一瞬息を呑み、そして声を震わせながら問いかけた。
「……あなたは……怪我はないの……?」
その一言に、ゆりの胸はぎゅっと締めつけられる。
自分は蓮に守られて無傷でここにいる。
その事実が、まるで罪のように重くのしかかってきた。
「……はい……っ」
目からは涙がぽろぽろと零れ落ち、絞り出すような短い返事をするのが精一杯だった。
堪えていた感情がついに決壊したかのように、ゆりはその場に崩れ落ち、声を押し殺すこともできずに号泣した。
肩を震わせ、嗚咽が廊下に反響する。
その姿を見た瞬間、蓮の母親は小さく目を伏せ、何かを悟ったかのようにそれ以上ゆりに声を掛けることはしなかった。
彼女の瞳には深い憂いと、それでもなお凛とした強さが宿っている。
ゆりの泣き崩れる姿に、廊下にいた数名の警察官も、思わず顔を伏せた。
手術室の前の空間は、重く沈んだ空気に満ち、誰もがその場の現実の重さに押し黙るしかなかった。
やがて蓮の母親は、警察官に招かれ、静かに離れた場所へと移動していく。
その背中に漂う気品と哀しみは、ゆりの胸をさらに締めつけた。
ゆりを気遣うように別の警察官が残り、母親には離れた場所で事故の経緯を詳しく説明していった。
やがて、ひと通りの事情聴取と、蓮の母親への状況説明を終えると、警察官たちは一礼を残し、足音も静かに病院を後にした。
手術室の前の長いソファには、ゆりと母親だけが残され、廊下は時計の秒針の音だけが響くような静寂に包まれる。
少しの沈黙の後、母親は膝の上に重ねていた手をそっと握りしめ、ゆりに声を掛けた。
その声は震えてはいるが、決して責める響きではなかった。
「あの……失礼ですが、息子とはどういった…?」
問いかけられた瞬間、ゆりの胸に鋭いものが突き刺さる。
どういった関係か。
それを問われているのは明らかだった。
「……………」
ゆりは唇を結び、言葉を探した。
恋人でもない。
ただの同僚や部下でもない。
あの複雑な関係を、どの言葉で説明すればいいのか。
母親は、警察官から事故の経緯を全て聞いていた。
目の前の女性を助けようとして、息子が身を挺して事故に遭った。
その事実を知った以上、どうしても気になってしまう。
だからこそ、ゆりに重ねるように静かに尋ねた。
「………もしかして……恋仲でしたか?」
その言葉は、責めるのでも詮索するのでもなく、ただ確かめるような奥ゆかしさに満ちていた。
ゆりは胸の奥にこみあげるものを押し殺し、目を伏せた。
そんな立派な言葉で頷くことなど、とても自分にはおこがましく思えて出来ない。
「………想いを……寄せていただいてました……」
ただ、精一杯その事実だけを告げた。
声は震え、涙が滲んだが、それがゆりの誠実さの限界だった。
ゆりの言葉に、母親はしばらく唇を閉ざしたまま、深く目を伏せた。
そして、切ないものを胸に抱え込むように小さく息を吸い込み、伏目がちのまま囁いた。
「………大切な人を………守ったのね……」
その響きは責める色など一切なく、胸の奥に沁み入るほどあたたかく、優しさと誇りに満ちていた。
──大切な人。
蓮にとって、自分が本当に「守るべき大切な存在」だったことを、今この瞬間、改めて突きつけられたようで、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
気づけば、ゆりの瞳からは再びとめどなく涙が溢れていた。
「……まさか……あの子がね……」
母親は独り言のように小さく呟く。
その声は懐かしい日々を思い出すようで、どこか遠くを見ているようだった。
やがて、伏せていた視線をゆっくりと持ち上げ、泣き続けるゆりへと真っ直ぐに向ける。
その眼差しは、静かな驚きと柔らかな慈しみに満ちていた。
「……何も知らなかったわ……息子にそんな人が居たなんて」
そのひと言には、初めて知る息子の一面への驚きと、彼を誇らしく思う気持ちが入り混じっていた。
ゆりの胸に、温かさと切なさが同時に込み上げ、また一筋、涙が頬を伝った。
「っ…申し訳ありません…っひっく…私のせいで…息子さんが…ぐす…本当に…っすみません…!」
膝に頭をつけるほど、深々と頭を下げ、しゃくりあげながら謝罪する。
後悔と罪悪感が押し寄せ、胸の奥が潰れてしまいそうだった。
その姿を見た母親の瞳にも、もはや涙は堪えきれなかった。
目元を押さえることもせず、頬を伝って溢れる涙がぽろぽろと落ちていく。
母親はゆりの隣へそっと移動し、震える背中に手を添えてゆっくり摩る。
その瞬間、母親は気づいていた。
息子の為に泣き続けるこの女性の想いが、決して一時のものではないことを。
その涙が本物であることを。
涙声のまま、母親は静かに口を開いた。
「…私は息子を信じてるの。蓮は本当に強いのよ…どんな苦労も困難も、持ち前の不屈の精神で諦めずに立ち向かう子だったの。」
その言葉は、母親が長年見守ってきた息子への誇りそのものだった。
「父親の下で、今の立場になるまで色々あったけれど、ずっとひたむきに努力を重ねてきた子だった。」
蓮の精神力や仕事へのひたむきさ、その強さと優しさを、ゆりも痛いほど知っている。
困難に一人で立ち向かい、絶体絶命の中でも諦めず、そして絶望の中から自分を救い出してくれた彼の姿を思い出し、胸が締めつけられた。
ゆりの胸の奥で、母親の言葉と自分の記憶が重なり合うと、ゆりの瞳から再びとめどなく涙が溢れる。
「だから、あなたも蓮を信じてね」
その言葉にゆりは、ゆっくり顔を上げ、涙に濡れた瞳で母親の顔を見つめた。
母親の瞳は、強さと優しさが同居する深い色を帯びていて、ゆりの胸の奥にまっすぐ届く。
「どんな辛い時も……信じていれば、願いは叶うのよ」
その響きは、まるでストーリーテイルのプリンセスの言葉のようだった。
ふと、ゆりの脳裏にあの日の記憶が甦る。
(さぁ、そろそろ君の願いを叶える時間が来たようだね)
(ほんとに?ほんとに叶うの?)
(もちろんだよ。キヨトくんが物語を信じていればね)
迷子の子どもに、蓮が優しく物語のページを開いたあの瞬間。
あの日、目の前で見た魔法は確かに存在した。
今、母親の言葉がゆりの荒んだ心に、あの時と同じ光を灯していく。
胸の奥で、何かが静かに解けていくような感覚。
蓮は、この女性から生まれた人なんだ。
ゆりは、その事実を心の底から実感した瞬間だった。
彼の優しさも、強さも、目の前の母親と同じ場所から来たものなのだ、と。
手術は、夜を越えて十時間以上にも及んだ。
窓の外はすっかり朝の光に包まれ、病院の廊下にも外来受付の準備を告げる慌ただしい気配が流れ込んでいる。
ただ、その一角だけは時間が止まったように静まり返っていた。
手術室の扉が、ついに音を立てて開かれる。
冷たい空気が流れ出すように、白衣の医師たちが次々と姿を現し、最後に執刀医と思しき人物がマスクを外しながら出てきた。
「ご家族の方ですか?」
低く落ち着いた声が、廊下に響く。
ゆりと母親は、反射的に立ち上がった。
「はい…!息子は…っ!?」
母親が震える声で問いかけ、ゆりも思わず一歩前に出る。
二人の視線が、医師の顔に釘付けになる。
医師は、一瞬言葉を選ぶように目を伏せ、苦い表情のまま口を開いた。
「……一旦は……一命を取り留めました」
その一言に、二人の胸から同時に安堵の吐息が漏れる。
しかし、医師の表情にはまだ影が残っていて、その含みのある言い方が、胸の奥で嫌な予感を渦巻かせた。
「ただ……心肺停止の時間がやや長く、脳への酸素供給が不足していたため、脳に重いダメージが残っております。現在は……植物状態で、意思の反応は見られません」
「…植物…状態………?」
母親の声は掠れ、信じがたい現実を突きつけられたように、その場で立ち尽くした。
隣でゆりも顔から血の気が引き、胸の奥がギュッと掴まれるように苦しくなる。
医師は淡々と、しかし確実に現実を伝える。
「緊急通報後、救急車が到着する直前に心肺停止の状態となり、到着後すぐにAEDによる除細動と心肺蘇生を行いました。その結果、幸いにも心拍は再開しましたが、その後は……大出血を止め、折れた骨を固定し、損傷した臓器を縫合するので手一杯で……命を繋ぎ止める事が精一杯でした」
言葉を選ぶ間の沈黙が、二人の心臓を冷たく締めつける。
「……命は繋ぎ止められましたが、これで終わりではありません。今後も段階的に手術が必要になります」
「……そん…な……」
母親が震える声を漏らし、ゆりは膝から崩れ落ちた。
現実の重みが、容赦なく二人の心を叩き潰していった。
最後に医師は深く息を吐き、冷静に告げた。
「最善は尽くしましたが……予断は許されない状況です。これからICUに移しますので、そこで徹底して経過を見守って参ります」
医師は最後に「引き続きこちらでお待ちください」と静かに告げると、軽く会釈をして再び手術室の奥へと消えていった。
その場に残されたゆりと母親は、重たい沈黙のなか、ただ時計の針の音と自分たちの鼓動だけを聞いていた。
時間の感覚が、まるで砂のようにこぼれ落ちていく。
気がつけば、三十分が経っていた。
再び開いた扉から、先ほどの医師が姿を現す。
「ICUに移しましたので、少しだけお顔を見ていただけます。ご家族の方のみ、ICUなので…5分でお願いします」
その言葉に、母親はゆりの顔へと視線を投げた。
ゆりは小さく息をのむ。
「私はここで待ちます。蓮に…会いに行ってください」
母親は静かに頷くと、そっと立ち上がる。
ゆりのその一言に胸を詰まらせ、母親は言葉を返せないまま軽く頭を下げ、ゆりも返すように頭を下げた。
母親は医師に促されるまま、ICUへと案内されていった。
やがてICUから戻ってきた母親の姿は、先ほどまでの毅然とした雰囲気とはまるで別人だった。
白い廊下をゆっくり歩いてくるその表情は、魂の一部を置き去りにしてきたかのように虚ろで、まるで放心状態そのもの。
その様子だけで、蓮の容体がどれほど深刻なのかが、言葉にせずともゆりに伝わってしまう。
胸の奥がぎゅっと縮み、呼吸が浅くなる。
母親はゆりの前に立つと、か細い声で絞り出すように言った。
「……ゆりさんは……会わなくて…正解だったと思う…」
その一言と、魂が抜け落ちたような声色だけで、ゆりの心は崩れ落ちそうになった。
喉の奥が焼けるように熱く、涙がこぼれそうになるのを必死に堪える。
二人はそのまま、何も言葉を交わさず、病院のエントランスロビーへと足を進めた。
靴音だけが静かな廊下に響き、時間の流れがやけに重たく感じられた。
「私はまだ手続きとか色々あるからここに残るけど…ゆりさんはどうする?」
母親の柔らかい声が、ゆりの耳に届く。
ゆりは思わず時計に視線を移した。
幸いにも今日は遅番だ。
帰ってシャワーを浴び、着替えても充分間に合う時間。
「私はこれから仕事に行きますので、これで失礼いたします」
その答えに、母親は目を丸くした。
「え…? あなた一睡もしてないわよね? 無理しなくていいんじゃない?」
ゆりは唇を噛んで小さく首を振る。
「……休んでいても…きっと眠れないですし……家にいるよりは…仕事でもしてないと気持ちも紛れないです」
「それもそうだけど…そんな格好で…なにで帰るの?」
母親の視線が、蓮を抱きしめたときに染まった血の跡へ落ちる。
「…電車…ですかね」
母親は即座に眉をひそめた。
「何言ってるのよ。蓮の運転手を迎えによこすから、少し待ってて」
「え…そんな!…申し訳ないです」
「いいから黙って待ってなさい」
「……は…はい…………」
そう言いながらスマホで電話を掛ける母親に、ゆりは小さく返事をし、視線を落とした。
その瞬間、胸の奥でふとこぼれるように思った。
この人……蓮と同じだ……。
母親の言葉の強さ、少し強引なところ、そして根底にある確かな優しさが、あの人そのものに重なって見えた。
母親が短く電話を終えると、間もなく病院の玄関口に、見慣れた黒塗りのリムジンが滑り込むように停まった。
ゆりの胸に、緊張と申し訳なさが入り混じる。
「あの……もし……蓮の容態に何かあったら……」
少しもじもじしながら言うゆりに、母親は即座に言葉を重ねる。
「そうそう、私もそれを聞こうと思ってたの。何かあれば連絡したいから、電話番号教えて?」
「……はい!」
ゆりは震える手で番号を伝える。
「鳳条蘭子よ。それじゃまた、早瀬ゆりさん」
蘭子はそう名乗り、スマホに耳を当ててゆりの番号に短く着信を残すと、ゆりに小さく頷きかけた。
そしてリムジンの扉を閉め、運転手に合図を送る。
走り出したリムジンの車内。
窓の外の景色がゆっくりと後方に流れていく。
以前と同じ、黒い革張りのシート、淡い照明、グラスや小さな冷蔵庫の位置まで、何も変わらず、どこか懐かしい。
けれど、たったひとつ。
そこにいつも座っていた人がいないだけで、やけに広く感じられた。
蓮のリムジンに、ひとりで乗るのは初めてだった。
思い返せば、この車内で蓮に強引に引き寄せられ、二人の関係は始まった。
二股を打ち明け、初めて喧嘩をしたのもこの車内。
別れを切り出し、二人の関係が終わったのもこの車内。
蓮との局面は、必ずこの車内で起きた事だった。
匂い、照明、革のソファの感触、テーブルの光沢。
そのすべてが、蓮と過ごした時間を思い出させる。
この空間に、蓮の面影が染みついているのに。
いない。
どうして……いないの……蓮…………。
胸の奥に積もり積もっていたものが、堰を切ったように一気に溢れ出した。
溜め込んできた後悔や罪悪感、愛しさと喪失感、あの日々の思い出のすべてが、波のように押し寄せて胸を締め付ける。
革張りのシートに爪を立てるように両手を握りしめ、ゆりはもう抑えきれずに大声を上げて泣いた。
車内に響くのはエンジン音と、自分の泣き声だけ。
広すぎる空間にひとりきりの寂しさが増幅し、まるで世界に取り残されたような孤独が、彼女をすっぽりと包み込んでいた。




