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25分の5の  作者: シンサク


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45/60

第45話 双方

「逃げるには重すぎるとはいえ、薙刀を置いて来ちまった。

 まあ、シドウを倒せただけで切り札としての役目を果たしてくれたようなもんだ。

 怪力の能力の持ち主とかに拾われなきゃ問題ないだろ」

「ミリちゃんーー」

「ハセガワーーオレは、あいつを守ってやれなかった」

「あのトゲ相手じゃ、お前の反射壁は役に立たなかっただろうさ。

 あのトゲは厄介だぜ。厄介すぎる」

「地面から突然生えて来るトゲーー

 あんなもの、シドウでも、初見で回避できるかどうか」

「オレはどうやったってムリだな。初見殺しにも程がある。再見だってどうだか」

「ーーミリちゃん言ってた。あのトゲ、多分目に映っているところからしか生やせないって」

「根拠は?」

「言ってない」

「ま、言う余力なんてなかったか」

「ハセガワがわざわざ言い残したことなら、確証はないにしろ、言う価値はあると判断したんだろうな」

「ハセガワの推測の根拠を推察するなら、まあ、トゲのヤツが物陰から顔を覗かせていたことか。

 そりゃまあ、攻撃するのに目標をしっかりと見るのは当然だろうがよ。

 標的さえ見えてれば攻撃できると捉えるには、不必要なまでに顔を出していたってところか?」

「だからハセガワも痩せたあいつに気づけたのかもしれないな」

「まあ、ハセガワがどう考えたにしろ、アイツの言うことなら当てにしてもいいだろうよ」

「ミリちゃんーー

 ミリちゃんは生き返るためにすごく一生懸命で、すごく色んなことを考えてくれたよね。

 言われなきゃ自分からは動けないわたしと違って、自分からシンキロウくんのところに行こうと決めたし。

 わたしーー生き返ったらミリちゃんと友達になりたかったな」

「ーーハセガワは、オチアイに情報とナイフを残してくれた。

 あいつは、せめて俺たちだけでも生き返ってほしいと願ってくれたんだな」

「もしかしたら、自分が残したナイフと情報で仇をとってくれって思ってたのかもしれないぜ」

「いや。そういうやつじゃないだろう。ハセガワは。短い付き合いではあるけど、あいつはもっと建設的なやつだ」

「まあ、そうかもな。

 その建設的なハセガワが言うように、トゲが見えるところしか生やせないなら。

 瞬間移動で後ろを取れば。振り返る前に昏倒させるくらいの一撃を入れれば。あのトゲを攻略できるか?

 つっても後ろを取るのも簡単じゃねえしな。

 少し離れたところに仲間らしいヤツらも3人いたし。トゲのやつを倒せてもその後どうなるか。

 オレたちも誰か適当なヤツを加えて、また4人になるべきか」

「新しい仲間か。

 確実に残っているのは、大太刀を出す能力のボブカットの女の子だな」

「アイツはオレを囮に逃げた形だけどよ。そりゃそうだって感じだ。

 向こうから侘びの一つもあった上で仲間にしてくれって言うなら別に構わねえよ。

 どうせなら遠距離攻撃できるヤツが仲間に欲しいっちゃ欲しい」

「遠距離攻撃ーーコトリという帽子の女の子。ツバサという金髪と一緒の」

「セラがまだ隠れているかもしれねえから、2人は仲間にできねえのは問題だな。一度襲っちまっているのも。

 正直、アイツらが残っている気はあんまりしないけどな。

 仲間にできそうヤツを探してながら、セラとは限らねえにしろ、隠れているヤツがいないか、探すってところか?

 セラじゃなければ、隠れているヤツでも場合によったら仲間にできるかもしれねえし。

 いや、だけど隠れているヤツを探すにも問題があるか」

 シンキロウ、コウ、ユメたち3人は話し合いの末、行動を再開する。


 

 

 六本腕男子たちを逃した後、ヒビクたちは、籠城しているらしい男子の所在を確認していた建物を訪問した。

 しかし、すでにもぬけの殻。そこには誰もいなかった。

 バリケードは崩れていた。

 なんらかの能力で外から崩したという感じではない。バリケードを構成していたであろう瓦礫が出入り口の内側の横や斜めに置かれていることからすると、籠城していた男子自身がどかしたのだろう。それもかなり荒っぽく。

「多分、ロープの男の子だろうね。彼が鉤のついた伸縮するロープを使って二階バルコニーから侵入。籠城していた子は、階下に逃げてバリケードを崩して逃げたってところかな」

 カムイが推察する。

「襲われたのがそんなに前じゃないなら、まだ近くにいるかもしれないね。まずはこの辺りを探してみようか」

 結局、籠城していた男子は見つからず、捜索範囲を広げることになった。


「見つけまたしたよ! カムイさん! 隠れていた男の子ではありません!

 3人!

 六本腕の男の子!

 背の高い男の子!

 超美少女!

 美少女は背の低い女の子が残した例のナイフを持っています!」

「へえ」

「彼らは今までよりも見通しのいいところを選んで進んでいるみたいです!

 それに、人が隠れられそうなところからは一定以上の間隔を取るよう気をつけている風に見えます!」

「トゲトゲ対策かあ。トゲを出せる距離を把握されちゃったか」

「どうするの? こっそり隠れながら近づいても、アンタのトゲの届く範囲に簡単には入れないってことでしょ?」

「それはもう、マキさんとウシオくんに頑張ってもらわないと」

「おれの出番か」

「……」

「そうそう。これまでとは違って、2人に先に行ってもらいたいんだ。

 3人で三方向から回り込めるといいんだけどね。

 ウシオくんに気を引いてもらって、マキさんの拡声器で攻撃をしてもらうーー

 いや、ボクたちの中で一番離れたところから攻撃できるマキさんにまず仕掛けてもらうのがいいかな?

 マキさんの攻撃で隙を作ってもらって、その間にボクとウシオくんが近づく。

 それとも一番警戒されているボクが先に姿を見せるのがいいのかな?

 その辺は彼らを襲撃することポイントがどの辺りになるかで変わってくるかな。

 ああ、マキさん、攻撃を跳ね返す壁には注意してね」

「言われなくても」

「フジサキさんはボクたちが争い合っている間に、やって来るかもしれないほかの人たちに注意を払ってね」

「はい! ……スズシロココさんの時はすみません」

「気にしなくていいってば。【望遠】は一度に何方向も見られるわけじゃないし、透視ができるわけでもないんだから。

 見えないところにいる相手に関しては仕方がないよ。

 見える範囲に人が来たらなるべく早く気づいてほしいけど」

「はい!」

「あと、ボクたちの方にばかり気を取られちゃダメだよ?

 フジサキさんの後ろから近づいてくる人がいるかもしれないんだから。

 フジサキさんの身を守るためにも気をつけないと」

「ーーカムイさん! はい! 気をつけます」

「瞬間移動の女の子には、逃げられても仕方がないね。

 逃げてくれるんなら、それはそれで都合がいい。

 残った2人を先に叩けばいいだけだし。

 でも、逃げたと見せかけて、戻ってくるかもしれない。

 瞬間移動とナイフの組み合わせは怖いしーー」

 ヒビクにとって現状一番怖いのはカムイだ。

 現在、残り11人。

 六本腕男子たちを全員倒せたら、残り8人。

 カムイが仲間たちであるはずのヒビクたち3人を片付ければ、戦いが終決する人数になってしまう。

 カムイのトゲトゲの範囲内に決して入らないように気をつけないといけないのは六本腕男子たちだけではない。ヒビクもだ。

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