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第64話【ARIA】

 

「はぁ・・・また怒られちゃった・・・このままだと下級女神に・・・」


「あら、アリア。今日も冴えない顔をしてるわね」


「うるさい。またなにか自慢したいの?」


「自慢だなんて。私、今度天界中央区に引っ越すの」


「え! 嘘でしょ! なんで! うらやましい! 私も連れていきなさいよ!」


「貴方は相変わらずね。上級女神への必要ポイントが貯まったの」


「じょ・・・上級・・・?」


「派閥の子に聞いたけど、貴方は下級落ち寸前なんでしょ? 私の派閥に入るなら口添えぐらいしてあげるわ」


「結構よ!」


 * * *


「アリア様、ご報告が」


「なによ、ラファ。3時間も説教されてきたのよ。もう何も聞きたくない」


「下級落ち候補ってみんな噂してますよ。アリア様が落ちたら自分は転属願い出しますからね」


「この薄情者! で、報告ってなに?」


「はい、【勇者魔王042】で勇者が倒されまして。色々と厄介な状況に」


「どこだっけ? 管理対象多すぎて覚えてないわ」


「ほら、アリア様が失敗して転生管理局で3日間再研修させられた案件ですよ」


「あ! 魔王にしちゃったところ・・・あの嫌な奴・・・思い出したらムカムカしてきた」


「今のところ信仰ポイントは維持できていますがこのままだと彼、世界征服しちゃいますよ」


「どういうこと? っていうかなんで勇者倒されたの? ログ見せて」


「ここまでは良かったんですが・・・重力悪用し始めて、もうじき宗教国も落ちますね」


「なにこれ、一般人に倒されたの? ちょっと映像出して」


「いいんですか? 刺激強いので見ない方が」


「早く見せて」


「はい。では早送りで・・・井戸に誘導されて。落とされて、大量の蛇が噛みついて・・・痛そう。こうなると恐慌状態で回復も土魔法も駄目ですね」


「な・・・」


「無敵モードもこれだと意味ないかな。はい、力尽きました。あれ、この水に浮かんでる水晶って女神シリーズじゃないですか?」


「なにやってんのよこの勇者! 馬鹿じゃないの!」


「ちょっと調べますね。あ、女神シリーズの聖剣も地中に埋まってますね」


「あいつ・・・やっぱり性悪じゃない! はぁ・・・今後の予測は?」


「強引に侵攻すると信仰ポイントはむしろ上がりますが宗教国が落ちるとジリ貧ですね」


「あいつがここでやめると思えないし、勇者の自然発生を待ってたら手遅れね―――介入するわ」


「それしかないですけど、失敗したら本当に査定ピンチですよ? 慎重にやった方が」


「言われなくてもわかってるわよ。魔王の弱体化はどう?」


「戦闘に興味ないみたいで効果ないと思います。彼、武器すら持ってないんですよ。魔法の枠も半分以上余ってます」


「普通、強い武器とか欲しがるでしょ。おかしいんじゃないの、あいつ」


「それに本人がいなくても回るように軍を整えてますね」


「あ! 思い出した。シミュレーション好きとか言ってた。じゃあ人類側の強化はどう? 例えば飛行魔法使えるようにするとか」


「実は申請通るかどうか管理局に聞いてみたんですよ。飛行高度制限なんかも。そしたら突き返されました」


「世界改変扱いかぁ・・・誰よ、こんな設計したの!」


「アリア様です」


「そうだ! あいつのことだからペラペラ私のこと喋ってるんじゃない? それなら管理局も説得できるわ!」


「少し待ってください・・・要注意が何度か・・・警告が1回・・・レッドはないですね」


「なんで喋らないのよ! 普通自慢げに語るでしょ! あいつ絶対病気だわ!」


「もう正攻法しかないと思いますよ」


「勇者の強制誕生かぁ。でもあの性悪に倒されそうだし・・・そうだ! 転生者には転生者をぶつければいいのよ!」


「ええっ?! 同一世界に2人はマズいですって。ガイドラインギリギリですよ」


「私の権限でこれならいける。いけるわ! 今度候補が出たらすぐに教えて」


「本当に知りませんからね。あ、そういえば昨日からずっと来てるんですよ」


「え? これかぁ・・・こいつはどうせ・・・いや、使えるか・・・取り次いで。あっちで対応するわ」


 * * *


「女神様! 祈りに応じて頂き、ありがとうございます!」


「なにか報告でも?」


「あの・・・実はですね・・・勇者が倒された可能性が高く・・・」


「勇者は死亡しました」


「やはりそうでしたか。申し上げにくいのですが・・・クリスタルも・・・」


「それも知っています」


「本当に申し訳ございません! 聖剣に続き、またも神器を・・・」


「他には?」


「実は先日、我が国の象徴である女神様の巨大石像が破壊されまして・・・信徒が激しく動揺しております」


「どういうことですか?」


「はい、石像だけ破壊されまして。幸い死傷者はないのですが、恐らく魔王の仕業かと」


「あいつ・・・あいつ・・・」


「え? あいつ?」



「あいつめええええええええ!!!!!!」



「え? あの・・・女神様?」


「今から私が言うことをよく聞きなさい。これ以上私を失望させたら地獄に送ります」


「ひっ・・・なんでもします! 女神様の御心のままに!」


「早ければ1年以内に大陸西部に勇者を出現させます」


「はいっ」


「貴方の貧弱な軍だと使い物にならないでしょうから」


「申し訳ございません!」


「出現したら西側諸国の軍の全てを勇者が掌握できるように貴方が体制を整えなさい。手段は問いません」


「はいっ!」


「それまでに貴方の国は滅ぼされるかもしれませんが救済はしません」


「全く問題ございません!」


「改めて貴方の役割を言ってみなさい」


「私の役割は、女神様のご指示に従い、世界の均衡を保つことです!」


「そうです。長年、魔族を滅亡させなかった手腕は評価しています」


「ありがとうございます!」


「しかし、状況が変わりました。今度こそ勇者を使って魔王を消しなさい」


「必ずや! 必ずや女神様から頂いた使命をやり遂げてみせます!」

 

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