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第52話【魔王国の日常】

「ダリス、禁軍の資料持ってきたぞ」


「すみません! わざわざ持ってきて頂いて。ありがとうございます」


「いいって。ずっと缶詰にさせてるし」


「新設ですから形にするだけでもかなり時間がかかりそうです」


「ちゃんと家に帰れよ。ギギもずっと城に詰めてるからたまには帰れって言ったんだ」


「わかりました。そういえばジーンが魔王様と託児所拡張の相談をしていると聞きました」


「そうそう。今は魔王城勤務者優先にしてるんだけど、問い合わせが殺到してるみたいでな。そろそろアカデミーも開設するしやることが山積みで大変だ」


「その割に魔王様が疲れている顔を見たことがないですね」


「俺はシミュ脳だから疲れるどころか元気しか出ないよ」


「なんですかそれ」


 * * *


「魔王様、お待ちしておりました」


「こんにちはセリ。トランプはどうだ?」


「すぐに売り切れるので正直に申し上げて追いついておりません。申し訳ございません」


「ちょっと過剰に宣伝しすぎたかな」


「魔王様推薦ということで、中にはトランプが親衛隊の入隊テストになるに違いないと言い出す者もいまして」


「そんなわけないだろ。どんなテストだよ」


「大変ありがたいお話ではあるのですが、もし販売量がご不満でしたら他の店にも依頼します。実際打診が多いので」


「いいのか? 全く違うものが氾濫しないように専売にしたんだけど。じゃあセリの信用できる人間に頼んでもらっていいか? 手数料とってもいいぞ」


「ご配慮ありがとうございます。それでは早速声をかけますね」


 * * *


「イヴリン、相変わらず忙しそうにしてるな。新聞は順調か?」


「魔王様! 順調です! なにか掲載のご依頼ですか?」


「今俺がマギアから周辺の町や村への道路をせっせと作ってるんだが周知してほしいんだ」


「承知しました! それにしてもどうして魔王様自らが?」


「ロマンがあるだろ? 道路」


「え? ロマンですか? 確かに便利になってみんなめちゃくちゃ喜んでますけど」


「公共事業にしてもいいんだけど、インフラはさっさと整えるに限る」


「は、はぁ……」


「イヴリンも魔族全員が毎日読むぐらい普及に努めてくれ。補助金は継続するから頼む」


「ありがとうございます! 頑張ります!」


 * * *


「魔王様! いらっしゃいませ」


「やぁミリア。商売はどうだ?」


「おかげさまで。先日もライラ商会の方がいらっしゃって、大量に卸して頂きました」


「実際に売れるのか?」


「それはもう大変な人気で。ちょっと悔しい気持ちもありますけど勉強になります」


「あれはもう完全に病気というか魔族とか人間とか超越してるからどんどんノウハウを吸収したらいいと思う」


「ライラさんもひどい言われようですね。以前いらっしゃったときはいずれマギアに店舗を構えたいと」


「知ってる。何度も言われたからな。魔族に嫌がらせされるかもしれないぞと言っても聞きやしない」


「魔王様!」


「お、ベックじゃないか。それトランプか?」


「はい! あっちで友達と遊んでたんです!」


「近所の子どもたちが遊べるようにスペースを作ったんです」


「ミリアは地域貢献の鑑みたいな店主だな。俺も今度賞品出して大会とか企画してみるか」


「それホントですか?! 毎日練習します!」


 * * *


「魔王様、お誘い頂きありがとうございます」


「ありがとうございます」


「ギギもダリスもちょっとは息抜きしないと部下も気を使って倒れるぞ」


「確かにそうですね。気をつけます」


「いい機会だからなにか困っていることや気になっていることがあれば遠慮なく言ってくれ」


「気になっていること……実は……」


「お、なんだ?」


「あの……サイリス様の……」


「おい、ギギ!」


「あー確かにギギの先輩だもんな。そりゃ気になるか」


「はい。私を軍団長に推薦して頂いたのもサイリス様ですし、差し支えなければ……」


「ギギとダリスなら話しても問題ないから話すけど、別に諍いがあったわけではない。むしろ逆だ」


「逆……そうでしたか。安心しました」


「なるほど。余計なことですが、どうなるんだろうと思ってたんで自分もスッキリしました」


「ブルーネの国民にはちょっと同情するけどな」


「はは、確かに魔王様のように回りくどいことはしなさそうです」


「ダリスは大概失礼なヤツだな。今度焼肉やるときは呼んでやらんぞ」


「えっ?! それは! 本当にすみませんでした!」


「私もそろそろ前に進まないと」


「え?」


「あ、申し訳ありません! つい……」


「ギギも色々大変なんだな」


「単に別れただけですので。忙しくてほとんど会えていなかったので仕方ないです」


「俺のせいじゃん」


「いえ、私は軍人ですから」


「ギギのおかげで魔軍全体がまとまっているのには本当に感謝してる。ただ、俺は魔族にはひとり残らず幸せになってほしいと思ってるんだ。それは覚えておいてくれ」


「魔王様……ありがとうございます」


「もうじき魔王工房も稼働するから魔族のみんなが更に幸せになるようなものを沢山開発するつもりだ」


「例の工房ですか。楽しみですね!」



【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】

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