第５０話【レイラ】
「驚きました。これほどブルーネのことを調査されていたとは」
「これらの品目は今後王国で増産予定ですので是非ご検討ください」
「さすが魔王様ご指名の特使ってわけだね。うちのギルドも前向きに検討させてもらうよ」
「いえ、まだまだ勉強中ですので」
（褒められるのは嬉しい……でもやっぱりあの人に褒めてもらうのが一番嬉しい）
「ほら！ モタモタしてないで運び込め！」
「へ、へい……」
「サイリス総督のご命令だ！ 海賊ども！」
「ひっ……わかりました！ おい！ 早くするんだ！」
（サイリス様は1人で海賊たちを……本当に凄い。私の憧れ……私もあの人に魔力譲渡してもらえば少しは……）
「レイラ、用事は済んだのかい？ 私はそろそろ王都に戻ろうかと」
「はい、私も戻ります。サイリス総督が戻られたら改めてお祝いに伺いたいと思います」
「私も貢ぎに来ないとね」
（サイリス様の才覚なら総督はふさわしい……今ならわかるけどこの要所を任せるのは絶大な信頼がある証拠……うらやましい……私も……）
「それにしてもなにがあったんだろうね、あの2人」
「驚きましたね」
「私はてっきりそのままくっつくと思ったんだけどね。喧嘩したわけでもなさそうだし」
「そう……ですね……」
（違う。あれは本気だからこそ……あの人は本気で……胸が苦しい……私は……）
「レイラ様、ブルーネ訪問のご報告おつかれさまでした。皆、感銘を受けておりました」
「ありがとう、ジーナス」
「このところレイラ様は働き詰めですので2,3日休まれてはいかがでしょう？」
「必要ありません。私達はもっと魔王様に成果を見せなければいけません」
（そうだ……成果を出し続ければ私のこともきっと……）
「ライラさん、ありがとうございました。自信が出てうまくできた気がします」
「それは良かったです！ 魔王様の反応はどうでした？」
「えっと、格好良いと褒めていただきました……」
「そうですか！ 今度魔王様が来られたときの特注品もご用意しましょうか？ 魔王様の嗜好もバッチリ分析済みですので」
「それはさすがに……いえ……やっぱりお願いします」
「了解です！」
（やりすぎ……ではないはず……あの人に……私を見ていて欲しい）
【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】
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