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第34話【ライエル王、風紀を正す】

ライエル王国・王城執務室。


ガイアが席に着き、静かに口を開いた。


「それでは協議を再開しましょう。まず最初に、各都市からの回答を」


ライエル王がジーナスに目で指示を送る。


「いくつかの都市では武装解除に応じる回答が来ておりますが、フーシアをはじめとする主要都市から依然回答は来ておりません。回答期限はすでに大幅に過ぎております」


ライエル王が目を伏せ、ゆっくりと頭を下げる。


「申し訳ない、ガイア殿。貴族を甘やかしてきた私の責任だ」


「状況について承知しました。それでは魔王様からのご命令通り、我が軍と王国軍は合同で各都市の制圧に向かいます。よろしいかな?」


「承った」


「軍の再編も進めるのでレイナード将軍と話をしたいのだが」


「おぉ……実はレイナード将軍はどうしても山田殿の指示に従えぬと言うので、やむなく投獄しまして……私の教育が至らず本当に申し訳ない」


ライエル王が深く頭を下げる。


「そうでしたか。それでは後任の者と協議します」


「よくよく言い聞かせますので……もうひとつお伝えしなければならないことが」


「なんでしょう?」


「デルロイ公爵ですが、王都を脱出してフーシアに逃げ帰ったようで……なにからなにまでお詫びしようもない」


「やはりフーシアに。デルロイ公爵については、魔王様からライエル王に詫びてほしいと伝言を預かっております。中途半端に生かしておいたのが失敗だったと」


「とんでもない。すべては私の責任……今後は皆が山田殿に従うようにきっちり教育しますので、私に挽回の機会を与えて欲しいと伝えて頂けないだろうか?」


「わかりました。魔王様に伝えます」


「感謝します、ガイア殿。実はひとつお願いがありましてな」


「なんでしょう?」


「近々、デランド公爵邸に踏み込まれると聞いておりますが……彼を私のところに連れてきていただけないだろうか」


「ほう。理由は?」


「私自らが侯を処断する姿を皆に見せることで……綱紀粛正を図りたいのです」


ガイアが考え込む。


「……了解しました。検討しましょう」


「かたじけない。この後、食事も用意しております。もしよければこの執務室も自由に使ってくだされ」


「ありがとうございます。それではまた後ほど」


 * * *


謁見の間。


ボスコの他、新聞社の関係者十数名が床に膝をついている。


「皆、よく来てくれた」


ライエル王が声をかけると一歩前に出たボスコが深く頭を下げた。


「お初にお目にかかります、陛下」


「いつぞやは厳しく取り調べなどしてすまなかったな」


「いえ……とんでもございません」


「そなたらの新聞を読ませてもらった」


数人が肩を震わせた。


「え……あの……」


「見事であった。貴族の不正を暴き立てるそなたらの調査能力には感心したぞ」


「あ、ありがとうございます……」


「山田殿から頼まれておるのだろう?」


ボスコが青ざめる。


「え……いえ……」


「責めているのではない。山田殿は私が動きやすいようにしてくださっているのだ。寛大な方だ。今後も全力で励むように」


「は、はい!」


ライエル王が身を乗り出す。


「さて、頼みたいことが二つあるのだ」


「なんなりと」


「お主らは軍や文官の不正についての情報を持っておらぬか? どんな些細なことでも構わぬ」


ライエル王の圧力にボスコ達が動揺する。


「あ……その……」


「もちろん、褒美は弾むぞ。なにも持っておらぬか?」


ボスコの全身から汗が吹き出す。


「実は……人身売買組織から解放された者で、財務局のジャレッド局長が関与していたと証言した者が……あくまで一人の証言ですが……」


「素晴らしい! 早速調査せねばな。褒美を取らせよう」


「う……あ……ありがとうございます……」


「もうひとつのお願いだが、人身売買組織とそれに加担していた者に関して有益な情報を提供してくれた者に褒美を出す準備をしているのだ。後日正式に発表した際に、民に広めてほしいのだ」


「はい。承知しました……」


「そなたらには今後も相談が増えると思うが、今後もよろしく頼むぞ」



【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】

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