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第26話【魔王山田、魔王国と名付ける】

魔王城に一行が降り立つ。


「やっと城に帰ってきた」


山田は深呼吸をした。


(なんだかんだでこの城にも愛着沸いてきたな)


バルガスたちは目を丸くしながら城を見上げ、あたりをキョロキョロと見回していた。


「ようこそ魔王城へ。感想は?」


「歴史の重みを感じさせる、まさしく魔王様にふさわしいお城かと」


バルガスが感嘆の声を上げる。


「そうかい?……ぼろぼろの城じゃないか」


「貴様はもう王都に帰れ!」


バルガスがイリヤに食ってかかる。


「ちょっとずつ修繕してるんだけど後回しだからな。安く資材を回してくれる商会あったら紹介してくれ、バルガス」


「はい、もちろんです」


「三人は城の近くに警備付で宿を用意してるから、今夜はそこで泊まってくれ」


兵士が商人ギルドの三人を案内していく。


山田は城の中を歩いていき、部屋の前で立ち止まった。


「レイラ王女はここだ。今日は慣れない飛行で疲れただろうから休んでくれ。なにか必要なものがあったら親衛隊によろしく。じゃあまた明日」


「え……」


残されたレイラ王女が小さく声を漏らす。親衛隊員が敬礼をして部屋の扉を開ける。


「さーて、あとはガイアたちとの会議だな。ちょっと休憩しよう」


山田とサイリスは食堂へと向かった。


食堂では魔王の登場にざわめきが広がったが、山田が「気にするな」と手を振ってサイリスとともに席につく。


料理長のポンスが姿を見せる。


「魔王様、いらっしゃいませ」


「おう。この前の包み焼きメニューに加えたんだな」


「はい、おかげさまで大変人気です」


「それはよかった。王都から面白い奴を連れてきたから明日の朝、ダリオのところに行ってくれ」


「承知しました。本日は?」


「温かい飲み物を頼む。サイリスは?」


「魔王様と同じもので」


ほどなくして飲み物が2つ運ばれてくる。


「領土も広がるし、イリヤと取引したらメニューが増えていくかな」


「はい」


「サイリスはなにか希望ないのか? 新メニュー」


「いえ、私は特に……」


「遠慮せずに。なにかないか?」


サイリスが考え込む。


「トトラトぶどうなどはいかがでしょうか。元々北東のトトラト地方で穫れていたのです。魔王様が領土を取り戻されましたので、また採れるようになるかと」


「いいね。ダリオにも言っておくよ」


そのまま二人は静かに談笑を続けた。


 * * *


魔王城・会議室。


第1軍のガイアと三人の兵士、第2軍のギギと三人の兵士がそれぞれ控えていた。


山田が席に着くと、ガイアとギギが腰を下ろす。


「遠路お疲れ様でした。ライエル王国を魔王様の支配下に置かれたとのことで、配下一同を代表してお祝い申し上げます」


ガイアが笑顔で言った。


「ありがとう。魔族全員の成果だ」


「今後も我々をお導きください」


ギギが深く頭を下げた。


「さて、本当はみんなが集まったときに伝えるつもりだったが、保留になっていた国の名前は『魔王国』、首都は『マギア』と名付ける」


全員がどよめき、サイリスの目が輝く。


「以後それで頼む。早速だが全員に大事な話があるんだが、その6人か?」


「はい、ご命令のあった大隊長を集めております」


ガイアが報告する。


「助かる。今後領土を拡大するつもりだが、魔族全体が増えるには時間がかかるから基本的に現地の人材と軍を運用する必要がある」


ギギが頷いた。


「ライエル王国がその最初のケースになるが、ガイアに管理を任せたい」


ガイアが驚いて目を見張る。


「内政は参謀長のジーナスに仕切らせるから、ガイアは軍の掌握と再編に専念してほしい」


「必ずや大任を全ういたします!」


「私はいかがいたしましょうか」


ギギが尋ねた。


「ギギはこのマギアで第2軍の指揮と合わせて全体の指揮をしてほしい。大陸中央との最前線はガイアに担ってもらうが、今後ひたすら西に拡張する気はない。あくまでここを中心にするつもりだ」


「承りました」


「さて、大隊長の6名に命じる。近々王国の地方都市の制圧作戦を予定している。他の者より高い才能を見せた者には、副軍団長として大きな仕事を任せていく。俺からの魔力譲渡も行うから全力で勝ち取れ」


6人の大隊長が色めき立つ。


「魔王様にアピールする絶好の機会だぞ!」


ガイアが声を上げると「期待に応えてみせます!」「頑張ります!」と口々に声が上がる。


「皆の奮戦を期待しているぞ」


全員が「はっ!」と声を合わせた。



【Invocation Protocol: ARIA/Target:YAMADA】

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