6.被害者なりのやり方
銃声とともに血飛沫が上がった。
撃たれた人は確実に死んでいるだろう。
「っ!…」
声すらまともに出なかった。
(警察はまだ来ないの…?)
恐怖で冷や汗が出た。死刑囚の相手はできても、やはり間近で犯罪現場を見るのは怖かった。
「金を出せばこいつらは助けてやる。100億だ、出せなきゃ全員殺すぞ!」
警察関係の仕事でありながら、何もできない自分が情けなかった。
一時間ごとに銃声が鳴り響き、10人ほどが犠牲になった。
三時間ほどして、やっと警察が来た。
警察は訓練をしているため、テロリストを捕まえることはどうともなかったが、もっと早く来て欲しかったと、刹那は思った。
「十六夜!大丈夫か。」
望月も現場に来ていた。
「奴、多分死刑だ。これだけの人を殺していればな…」
望月は死体の方に向かって手を合わせた。
「カウンセリングは、俺かお前のどちらかがやることになる。だが、お前はその場にいたんだ。そんな奴のカウンセリングだなんて、辛いだろう…」
望月は気遣ってくれていた。
でも、刹那はその場にいても何もできなかった自分がどうしようもなく情けなかった。
「…私がやります。逆に言えば、私は被害者ですから、被害者なりのやり方があります」
望月は何も言わなかった。
刹那は警察に呼ばれて事情聴取をされたあと、一度会社に向かったあと帰宅した。
(裁判は一週間後、死刑判決が下されたら三週間後…。それまでに気持ちを切り替えないと)
刹那は恐怖と怒りを鎮めて眠った。
はじめまして、作者の海月です。
初めての小説なので、まだまだ文章が上手く書けないことも多く、皆様に良かった点、もっとこうして欲しい、など、感想を募集しております。(誹謗中傷等はご遠慮願います)いただいた感想には返信していきたいなと思っていますので気軽に書いていただけると幸いです。
今後も、刹那と囚人たちの物語を展開していく予定ですので、今後ともこの作品を読んでいただけると嬉しいです。どうぞお楽しみに!