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地球連邦戦記  作者: かたな
第二章 太陽系防衛編
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第2章 第3話・フィル公女、地球へ~後編~

フィル公女、地球へ~後編~

 

 西暦2280年 9月12日 地球連邦統合軍最高司令部【EFSCOM】(エフスコム)参謀部

ここで、フィル公女の地球までの移送と、それの妨害、フィル公女への襲撃を計画している組織に対しての作戦計画が立案されていた。


 室内には統合軍作戦本部長ジン・スコルフスキー大将の他、国防省情報部の要員2名、統合軍通信情報局のリー・ラオフェン中将とその副官、統合軍参謀部に所属する作戦参謀4名、宇宙軍参謀部参謀長テレサ・クラウディア中将とその部下2名、宇宙軍空間特殊強襲連隊連隊長ジャック・ダニエル准将と副官の他作戦計画部の要員2名、航宙艦隊参謀部から要員2名の合計16名により作戦が練られていた。


「情報部が入手している情報をまず共有しよう、説明を」


 進行役兼議長役であるスコルフスキー大将に促され国防省情報部の局員が説明を始める。


 説明内容は全て載せると長くなるため、要点のみにすると以下のとおりである。


①敵組織は人民解放戦線残党と、それに吸収された旧反地球連邦国家群の残党に宇宙海賊及び麻薬や人身売買を扱う犯罪組織が合流した大規模な反乱勢力である。


②宇宙艦艇の戦力は横流しされた旧式航宙巡洋艦、駆逐艦、その他宇宙海賊が使用する商船改造の武装艦併せて40隻、ただし、解体のため輸送中だった旧式戦艦2隻もこちらに横流しされた可能性がある。


③戦闘機は20機程度が横流しされていたのが確認されているが、既に確保済み。


④艦艇の運用及び艦隊指揮等の人材については、退役した将官1名が合流していること、佐官クラスの艦艇勤務経験のある退役軍人複数名が消息不明であり、合流している可能性が高い。


⑤敵艦隊の集結予想地点は内部からの情報提供により既に特定、現在、敵の拠点に対しての特定、制圧のための作戦を陸軍特殊作戦群が作成中で、統合軍主導の制圧作戦が決定次第、それに沿う形で陸軍特殊作戦群が行動を開始する予定


 情報部の説明が終わると、スコルフスキー大将は次に、妙齢の女性将官、穏やかそうな目つきに、確りと意思のこもった瞳が特徴のまさに美熟女と言える人物、宇宙軍参謀長のクラウディア中将に視線を向け、中将はそれに頷くと立ち上がり、口を開く


 「先ほど情報部の説明にあった反乱勢力、これに合流した将官及び、可能性が指摘されている佐官数名についての情報を開示します」


 彼女はそう言うと、傍らの副官に目くばせをし、それを受けた副官が資料を配る。


 資料が行き渡ったところで彼女は再び説明を始めた。


 「資料は行き渡ったようですね。資料にある通り、敵に合流した人物はいささか手ごわい人物であると言えます。ただ、彼が本当に本心から敵に合流したのかは疑問があり、内部から情報を提供してくれている人物の可能性も私は否定できないと考え・・・」


 そこでスコルフスキー大将が彼女の言葉を遮るように言葉を被せる。


 「クラウディア中将、気持ちは分かるが私情で憶測を口にするのは止めたまえ、まあ、この人物を信じたくなる気持ちも察するが・・・情報部が情報提供者のことを漏らすことは無い、つまり我々には判断することはできないということだ、ことが終わるまではこの人物も敵と考え行動しなければならないのだ。意味は分かるな?」


 「・・・失礼しました。では皆さん、敵に合流したと思われる将官の資料を一旦ご覧いただき、そのうえで質問に答えさせていただきます」


 資料には、反乱勢力に合流した退役将官と佐官の情報が書かれていた。


 


 以下情報

 ジョン・ガーフィールド退役中将

 年齢67歳

 経歴

 西暦2235年宇宙軍士官学校次席卒業、練習艦隊勤務を経て輸送艦操舵手として勤務(少尉)

 

 西暦2237年宇宙軍航宙艦隊参謀部勤務、陸戦教育プログラム受講、(中尉)

 

 西暦2239年宇宙軍中央警戒群第1警備艦隊警備艇副長に着任(中尉)

 

 西暦2240年昇進し警備艇艇長に着任、単独での警戒任務中民間船を襲う宇宙海賊4隻と交戦、民間船を救助 勲章を受勲(大尉)

 

 西暦2242年宇宙軍月面基地警備隊長として着任(大尉)

 

 西暦2244年テロ組織による月面基地を狙った攻撃に対処、基地への侵入を阻止、負傷した部下を救助したことと、いくつかの行動により勲章を受勲、特殊部隊の選抜試験への推薦を受けるも本人は辞退、指揮幕僚教育を受講し少佐に昇進

 

 西暦2245年宇宙軍参謀部戦技戦略研究課に勤務(少佐)

 

 西暦2247年宇宙軍第1航宙艦隊巡洋艦副長に着任(少佐)

 

 西暦2249年宇宙軍第1警備艦隊駆逐艦艦長に着任(少佐)

 

 西暦2250年第1警備艦隊とともに地球軌道海戦に参戦、乗艦は大破漂流も救助される。勲章を受勲

 

 西暦2251年第1航宙艦隊巡洋艦艦長に着任(中佐)人民解放戦線及び反地球国家群討伐作戦に参戦、人民解放戦線によるコロニー破壊を阻止に貢献 勲章を受勲

 

 西暦2252年惑星間防衛ネットワーク理論、小型警戒、武装衛星群による太陽系警戒防衛網構想を参謀本部に提出、宇宙軍参謀部戦技戦略研究課課長に着任(中佐)

 

 西暦2254年提出していた構想が採用され、功績を認められ勲章を受勲 上級士官学校へ入校(大佐)

 

 西暦2256年上級士官学校卒業、当時最年少で准将に昇進、中央警戒群第3警備艦隊司令に着任

 

 西暦2257年艦艇20隻を有する大規模な宇宙海賊討伐作戦に第3警備艦隊も投入され、作戦を成功に収める。勲章を受勲

 

 西暦2259年宇宙軍士官学校に教官として着任(准将)

 

 西暦2262年宇宙軍士官学校長に就任(少将)

 

 西暦2264年宇宙軍教育局長に着任(中将)宇宙軍の士官教育方針の改定、現在の統合軍最高司令部にも働きかけ地球連邦軍の士官教育制度を完成させる。功績により勲章を受勲

 

 西暦2265年中将として退役


 

 連邦特別功労勲章2個 連邦議会旭日功労勲章2個 連邦旭日名誉戦傷勲章1個 連邦議会旭日名誉勲章2個を受勲  

 


「とんでもない英雄だな・・・そして、今の太陽系の警戒網を作り上げた人物といっても過言ではないわけだ・・・その彼がなぜ連中に合流したかは分かりますか?」


 発言したのはかなりガタイの良い男性、鋭い目つきと鍛え抜かれた肉体が征服の上からでもわかるその人物、空間特殊強襲連隊長のダニエル准将だった。


 彼は真剣な眼差しでクラウディア中将の返答を待つ。


 クラウディア中将も、少し考え、ダニエル准将の眼差しを受け止め、ゆっくりと、そして確信していることのみを話す。

  

 「ガーフィールド中将がなぜ連中に合流したのか・・・それに関しては分かりません。動機がないためです。中将は連中を恨みこそすれ、連中に従うなんてことは想像すらできませんでした。ただ、ひとつだけ言えることは、中将は何の考えもなしにこのような行動をする人物ではないということです」


 「ガーフィールド退役中将をよく知っているというような感じですが、なぜそう言えるのかお答えいただきたい」


 「ガーフィールド退役中将は私の元上官で、彼が中央警戒群第3警備艦隊司令だった時に私はその副官として彼を間近で見てましたので、それに、彼は30年前のあの紛争で同じく軍人であった奥様を亡くされておりますので」


 その返答にダニエル准将も納得したといわんばかりに頷き、礼を言って着席する。

 

 

 その後は質問もなく、会議は進行する。


 そしてリー・ラオフェン通信情報局長の報告を元に、作戦内容が決定された。


 ラオフェン局長は、国防省情報部の情報の補完と、独自調査の結果も踏まえた内容を報告、そして決められた内容は以下に要約


 ①敵勢力の宇宙における拠点の特定に成功した。衛星を配置し作戦日までの監視を継続


 ②合流したと思われる退役軍人の家族が行方不明であり、周辺の調査から拉致された可能性が高く、人質を取られている可能性を考慮し調査した結果、いくつかの拠点に監禁されているのを確認、より詳細な調査を継続


 ③拠点は地上と宇宙に数か所に分散、宇宙においては3か所を特定済み、最も規模が大きいのは廃棄された資源衛星である。人質救出は空間特殊強襲連隊の各部隊を敵の宇宙空間におけるすべての拠点に同時に突入させる。地上においては陸軍特殊作戦群と情報共有を徹底し対応する。


 ④敵の艦隊への対応は第8航宙艦隊、第9航宙艦隊並びに重要人物確保のため空間特殊強襲連隊【選抜緊急即応小隊】を投入する。


 上記内容で決定した。


 「では、諸君、地球連邦が巨大な異星文明の脅威に晒されている今、あのような連中にいつまでも背後を脅かされるわけにはいかないのでな、今回の作戦で必ず連中の息の根を止め、後顧の憂いを絶つ!諸君の働きに期待する」


 スコルフスキー大将の言葉に全員が敬礼、会議は終わった。



 ーーーー


 数日後


 フィル公女を乗せた艦隊は特にトラブルもなく航海を行っており、既に第7中継ワープステーションに到着していた。


 そこで艦隊は気になる報告を受けていた。


 現在、地球連邦宇宙軍は、エベロラへの警戒と、各居住惑星管区への戦力増強、特に第8居住惑星管区へは独立機動群をも編成し派遣しているが、その他に第37中継ワープステーションの警戒網強化のため太陽系に駐留する護衛隊や警備艦隊もいくつかがと、主力の航宙艦隊もさらに1つ派遣されていた。


 つまり、太陽系の警戒網、防衛網がいささか手薄になり始めていたのである。


 警戒網に関しては元々小型の警戒衛星や武装衛星が多数配備されており影響は少ないが、問題は防衛力である。


 太陽系に直接敵が攻めてくる可能性は低いと見られていることに、第7航宙艦隊の面々は少し不安を抱いたのである。


 そして、第7中継ワープステーションでの歓迎会でもみくちゃにされダウンしているフィル公女を乗せ、一抹の不安を覚えている艦隊首脳陣をよそに、艦隊は最後のワープに入る。


 結局艦隊は何事もなく太陽系へ入ることができた。



 しかし、それを観測しているものがいたことに、誰も気が付く者はいなかった・・・

ガーフィールド中将の裏話

惨劇のバレンタインにて≪艦隊の損害に構わず地上部隊はミサイル攻撃を継続されたし≫≪艦隊に構わず小惑星破壊に最善の手段を取られたし!≫は実はこの人が発信してました。

この戦闘にて奥さんも殉職

クラウディア中将の裏話、実は副官時代ガーフィールド中将にアタックして玉砕している。

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― 新着の感想 ―
 かたなさん、こんにちは。 「地球連邦戦記 第2章 第3話・フィル公女、地球へ~後編~」拝読致しました。  フィル公女、地球移送を妨害する組織への対応の協議。  結構、大規模な反乱軍のようです。 …
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