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《最初の魔法使い》 REMAKE  作者: コトワリ
第一章 最初の魔法使い
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第三話 見方

 次の日、俺たちは学校に通いつつ夜に駐車場や俺の家に集まった。不思議な本、「魔本」について調べたり、能力を扱う練習を始めた。俺一人でも大丈夫だと言ったが冬矢からは「仲間外れにするな」、真からは「あんたら二人が集まってそれ使ったら何が起きるかわからないほど馬鹿じゃない」と言われてしまった。冬矢は良い。真は心配なのか呆れなのか…。そうしてそんな日常を過ごして一週間。もう俺の能力を操る技術はかなりなものになってきた。


 一日目


「やっぱ火炎放射はいるでしょ!」

「人を傷つけるような事はあまりお勧めしないけど。」

「ユラがほかの能力者に追われた時の対策だよ!」

「そうだな、やっておこう。」


 何回か暴発したが何とかまっすぐ炎を放てるようになった。


 三日目

 お昼休み。基本俺は冬矢と。真は他グループとお昼ご飯なのだが今日は珍しく俺達と食べていいかと提案してきた。断る理由はない。


「今日はユラの家で情報収集。私はネットにもっと潜ったり本を読んでみる。」

「俺たちは?」

「ユラは魔本に書いてあることを紙に移して。ユラが読み上げて、冬矢が書く。」

「俺重労働じゃね?」

「冬矢、字上手でしょ。」

「何度見てもあれは信じられない。」

「わかる。」

「へへん。昔習字を習っていたからな!」


 その夜は俺の家で情報収集。真の言った通り事は進んだ。結果真は成果なし。俺たちは遠回しな言い方の本を解読し、ひとつわかったことがあった。


「能力のステージは9まであるみたいだ。」

「なんだか中途半端ね…。それにステージって何なの?」

「ふつーに考えたらレベルみたいなもんか?」

「多分な。俺は…1だ。」

「どうやったら上がるかとか上がったらどうなるかとかは?」

「わからない。『?』マークが多すぎる。」

「結局読めない理由もわからないままね…。」


 あまり成果といった成果は上がらなかった。


 五日目

 今日は冬矢が空を飛んでみてほしいと提案してきた。俺は真と顔をあわせ「何をいっているんだこいつ」と言った顔を冬矢に向ける。

 夜、駐車場にて。相変わらず車はない。


「手から炎出せるなら足からも出せるだろ!」

「靴燃えるわ。」

「え?最初全身燃えたとき服燃えてなかったじゃないか。」

「え、あ、確かに…。」

「冬矢の観点はいつも予想の斜め上ね…。でもだからって飛ぶのは無理なんじゃない?。」

「やってみるか」

「よしゃぁ!」

「ユラは冬矢に甘すぎ。」


 そうして足から炎を出すイメージをする…が。


「ふっ…!」

「おぉ!!…お?」

「げふっ!?」

「ちょっ…大丈夫!?」


 上がれはするのだがバランスがとれず落ちる。割と頭から。地面は固い駐車場。ほかの能力者に狙われる前に死んでしまう。…本当にほかの能力者なんかがいるのかはまだわからないのだが。


「ユラ、足腰に集中してもいいが同時に下を見すぎてる。もっとまっすぐ見るか最初は上を見たほうが重心がぶれないはずだ。」

「こういうとき全身運動神経人間は頼りになるぜ。」

「あんまりないけどね…。空を飛ぶ人へのアドバイスするタイミングなんて。」


 冬矢のおかげで割と飛べる…というか宙にとどまっていられるくらいにはなれた。まだ漫画やアニメのように鳥みたいに飛ぶことはできないだろう。炎の威力、向き。目線に足腰の重心を安定。空を飛ぶのはまだまだ先になりそうだ。


 七日目…というか今日だな。

 今日でこの本について調べ出して一週間だ。とりあえず戦えるようにはなった…と思う。いくつか冬矢が技みたいなものを考えてくれた。ソースは漫画。冬矢と試行錯誤の末、作り出したものを真に見せると


「どうだ!真!」

「うん、いいね。」

「おぉーい…」


 やっぱりこのカッコよさは真にはわからなかったようだ。

 結局、この本についてはあんまりわからなかった。とりあえず読めるところだけ冬矢に写し書いてくれたものを真に見せてもあまり進展はなかった。ただまた一つ。あんまりよくわからないがなんとか読めるものがあった。


「うーん…特典?みたいなのがあるのかも。」

「そのイミッフな文章を読んでよくわかるな…。」

「イミッフむかつく。」

「すいません。それで、特典?」

「うん。どういった条件で手に入るかはわからないけどそういったものがあるみたい。武器とか手に入るんじゃない?」

「ユラには炎の剣があるから大丈夫だな!」

「あの剣結局炎でできてるから切れ味あんまりだけどな。」


 読み解いていっても謎が増えるだけだった。それでも少しずつ分かってきているような感覚にわくわくは収まらない。


 そうして今日も今日とて駐車場で炎の扱い訓練をしていると…いつも誰もいない駐車場に何か鳴き声のようなものが聞こえてくる。暗すぎてよく見えない…。


「…ねこ?」

「だな。どこかにいるんだろうが…。」

「笑い声も聞こえないか?」


 そうして辺りを見回していると街灯のあたりに3人ほどの高校生を見つけた。そして少し離れたところに猫が。


「あいつら…猫に石を投げて遊んでやがる。」

「…ひどい人たち。うちの学校の人かな。」

「なんにせよ止めなきゃな。冬矢、行くぞ。」

「当たり前だ。猫を傷つけるようなやつは許せない…ユラ、能力使おうぜ。」

「だめだ。人を傷つける気はない。」

「ユラが言うなら…仕方ねぇな。」


 そうして俺達三人はその高校生たちに近づいていった。


「おいお前ら。」

「あん…?キミ達誰?」

「猫に石なげて…くだらないことをしているなと思ってな。」

「はは、じゃあお前らが的になってくれよ。なぁ?」

「おうおう!そうしようぜ。」


 デカいな。同年代ではなさそうだ。俺は喧嘩経験もちろんなし。冬矢は動けるだろうがさすがに三人相手は無理だろう。


「ユラ、猫助けたよ。」

「お、ナイス。冬矢にげ…」

「ふっ!」

「ごへっ!?」


 声をかける前にもうワンパンチ決めてしまっていた。そういえば冬矢って猫飼ってるんだったか…。猫を遊び道具にしているような奴らを許せるわけないか。


「へー、強いじゃん。お前行けよ。」

「おうよ。」


 三人の中で一番でかいやつが出てきてしまった。さすがに冬矢もしり込み気味だ。だが逃げる気はなさそうだ。勝てる未来は見えない…。仕方ない。ここは冬矢の意志を重んじよう。


「はぁ…冬矢ちょい下がれ。」

「ちょっ!?ユラ?」

「よっ…と!!」


 俺は高校生三人組の前に割と大きめの炎の壁を作り出す。火傷しないように、当たらないように最善の注意を払った上だ。


「なんじゃこりゃぁあああ?!」

「は、はぁあああ?」


 壁の向こうから情けない声が聞こえてくる。


「はっはっは!ユラ、逃げるか?!」

「当たり前だ。そんな長くは持たない。真、うちまでダッシュ。」

「はぁ…もう。」


 そうして俺たちは猫と一緒に俺の家まで全力で走った。暗い中いきなりあんな明るいものを見れば目は眩むはず。こんな暗闇の中走っていく俺達を見つけることは難しいだろう。


 息を切らしながら家の玄関に三人倒れこむ。流石に疲れた。…が、俺たちは大声で笑った。


「あっはっはっは!やってやったなぁ!ユラ!」

「あぁ!やってみるもんだな。」

「はぁ…久しぶりに笑った。いいね、なんか。こうゆーの。」


 刺激を求める若者にとってさっきの出来事は最高だった。今だけ自分たちがまるでヒーローのような気分に陥る。

 そんな気持ちも遠くから聞こえてくる消防車の音で目が覚める。


「あ」

「あ」

「あーあ。どうすんの。」

「…バレてない!」

「だな!」

「そうだけど…もうあの場所で能力の練習はしにくいかもね。」

「嘘だろ。」

「そんなにショック受ける?」


 しにくいだけでまぁできはくはないだろうが頻繁にはもうできないだろうな。それにこの先ほかの能力者が襲ってくることを警戒して扱えるよう努力してきたが別に戦う必要がないことに気付いた。逃げればいい。わざわざ能力をぶつけるようなことはしなくていい。


「もういい時間だな。お前ら帰るか?そろそろ。」

「あ、私泊まる。」

「は?」

「明日休みでしょ?どうせならって。もっとその本知りたいし。」

「ずるい!俺も泊まる。」

「親に言って来たら。」

「おう!」

「お前ら俺の許可取る気ねぇな!?」


 俺の家に泊まっていくことはそこまで珍しくない。やっぱり親がいないという事で少し都合がよいのだ。問題があるとすれば俺の寝る場所が消えることくらい。


「てか真、服は。」

「貸して。」

「あのなぁ…。」

「俺も」

「わかったわかった。」


 なんでこいつら手ぶらでくるんだ。

 最初に真が風呂に入ることになり俺と冬矢は部屋で駄弁る。もちろんさっきの出来事についてだ。


「俺的にはファイアーウォールはあんまりだったんだがなぁ!」

「いやアレは使えるぜ、冬矢。防御目的だったが目隠しに使える。」

「俺はもっとガチンコバトルが見たい!」

「…正直いろんな技使ってみたい気持ちはある。でもなぁ…。」


 一度人を傷つけたら終わりな気がするのだ。何か枷が外れるような。そんな気がした。いつかは冬矢の言うようなガチンコバトルをしなければいけないんだろうか。

 話していると俺のぶかぶかの服を着た真が部屋に入ってきた。


「あがったよぉ」

「だらしない恰好してんな。」

「だってユラの服大きい。」

「わかってんなら服もってこい。」

「めんどくさい。」

「おいおい、真。もっとちゃんとしたほうがいいぜ?」

「お前も服ないだろ。」

「借りるわ。」

「はぁ…とりあえず次俺行くぞ。」

「えっち。」

「自意識過剰。」


 そうして俺は風呂に入りに行った。お風呂に行くとどうしても考えてしまう。真が入ったあととかそういう話ではない。さっきの高校生から逃げたことだ。一週間冬矢と考えていたことを一部とはいえ実践してしまった。なんだかレベルアップを念入りにしていざラスボスに挑んだような、そんな感覚だった。それとは別に、ひとつ決意したことがある。俺は逃げよう。元々俺はある理由からそういった人間だったのだ。これからもこの先もずっとこのまま過ごしていこう。俺に人と戦うのは不向きだ。さっきわかった。使った後、手が震えてるのが。一度、一瞬でもあたってしまえば相手を殺してしまうようなナイフを手に入れてしまったが、最低限脅しだけに留めておこうと

 心に留め、俺は風呂に入った。


 猫を助けられたが、見方によっては俺は危険人物なのだから。


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