銀河特急SUNRISE
「ねえ照井さん、また星が消えるよ。命が燃え尽きるみたいだ」
都会の寂しい夜空を見上げて、僕は言った。
「いいえ鉄郎、星は一瞬で消えたりなんかしないわ。見えなくなるだけよ」
ひとつ下のベッドから、照井さんの声が聞こえた。
二〇一一年の冬。僕は照井さんの急な発案で四国へ向かっていた。
「見えないのなら、いないのと同じさ」
「そう。あなた、お化けとか怖くないのね」
「もちろん怖くないよ」
嘘をついた。釜石にいたときは意識していなかったけれど、僕は案外、見栄っ張りなのかもしれない。
「今夜は雪が降るかもねえ。ねえ鉄郎、こっちに来て」
照井さんに呼ばれた。
「取って食べる気?」
「あらこわい。違うよ。私は寒がりなの」
布団に潜りこむと、照井さんが僕を抱きしめた。
「鉄郎は温かいね」
「嘘だ。だって、照井さんのほうが、よっぽど」
「私のほうが温かいって? そう思う?」
ぎゅーっ、と一層強く抱きしめられた。
「うわ、うわ、うわかりました」
「なにがわかったって言うのよ」
照井さんは腕と脚の力を緩めて、おかしそうにくすくす笑った。
照井さんが部屋の照明を消した。想像していた通り、真っ暗になった。
「真っ暗だよ」
「大丈夫よ。見えなくても、ちゃんと隣にいるから」
また照井さんが僕を抱きしめてくれた。今度は包み込むように優しく。目を閉じれば、まるで……。
「母さん……。母さん……!」
「大丈夫。今は真っ暗でも、きっと新しい陽が昇るからね」
偶然なのだろうか。それは母さんが僕を励ますときに使っていた言葉と、よく似ていた。東京発高松行きの寝台特急サンライズ瀬戸号は、揺り籠のように僕を乗せて東海道本線を駆け抜けていった。




