3話 襲撃
今年はこれで最後の投稿となります。次は年明けの土曜日に上げる予定ですのでよろしくお願いします。
両親に電話をしてから4日が経った。ケンが人間の体ではなく、ヴァンパイアの体に変わってから1週間が経った事になった。
「今日で1週間が経った訳だが、ケンについての異常は変化は起きていないと」
俺は今ケンの体について分かってる事をノートに纏めていた。隣の部屋では、ケンがずっと籠もって羽をどうにか出来ないか試行錯誤している。
「さて、そろそろ風呂の準備するか」
俺が今日の分のノートを書き上げ、椅子から立ち上がると違う所から音が聞こえて来る。
ガチャ!
「?今の音、玄関か?」
自分の部屋入る前に鍵は閉めたはずだから、家は鍵が無いとの開けられない。両親がケンの異変を聞いて急ぎで帰ってきたのだと、思い普通に自分の部屋から出ると・・・
「“動くな”!!」
「!?」
部屋を出ると目の前に居たのは、両親ではなく顔も分からない人達が沢山居た。
泥棒か?それにしては人数が多すぎるし、まだそんな時間帯じゃない。
俺は状況を理解するべく、周りをゆっくり見渡す。
「“両手を上げろ”!」
今の俺には、何も出来ないので大人しく指示に従う。
そしてなんとなくの状況を理解する。家に入って来た人数は15人くらいで、ここに来た目的は間違いなくケンに関係してるだろう。
「何し来た」
「“喋るな”!」
全身黒格好をしている連中の1人が、銃口を向けて来た。俺は人生で初めて、自分のひたいに銃口を向けられた。だが、それはすぐ終わった。なぜなら、その後ろに居た奴が銃を降ろさせて俺に近づいて来た。
「オメェの弟を奪いに来た」
「兄ちゃん?どうしたの?」
「ケン!・・・っんぐっ!!」
俺が大声で、ケンが部屋から出ないよう言おうとすると口を塞いで声が出せないようにさせた。何とか、声を出せるようになろうともがき始める。
「兄ちゃん?出るよ」
「・・・んっぷはっ!ケン出るな!」
「今だ。目標を捕えろ」
ケンの部屋のドアが動くと同時に、連中の1人がドアを思いっきり開ける。
「あ、あれ?」
ケンも流石に驚いた状態で、部屋から出て来る。そして、周りを見渡すと俺と目が合う。
「兄ちゃん?これって」
「ケン!逃げろ!!」
「え?逃げろって?だって兄ちゃんこの状態で、うっ・・・・」
ケンは、俺の言っている事を理解出来ず後ろから手刀を喰らってしまい気絶する。
「目標人物の気絶を確認、これにより次の任務に遂行します」
「よし、ここは用無しだ。出るぞ」
「はっ!」
気絶したケンは、連中の肩に担がれ外に出ようと移動を始める。俺はそれを止めようとドアの前に立ち塞がる。
「待て!ケンをどうするつもりだ!」
「忘れる所だった、コイツには元々用なない殺れ」
再び銃口を向けられ、今度は引き金を引こうとしていた。俺は、覚悟を決めて撃たれてもいいように目を瞑った。
「正治くん、しばらくの間頭を抱えて伏せてくれる?」
俺の背後から、優しい声が聞こえてどこか懐かしい声の人に従って目は開けず頭を抱えてその場で伏せの態勢になる。
「ちっ!もう来たか。お前ら、即刻移動だ。落とすなよ」
「させるか!・・・クソッ!間に合わなかった」
目を瞑っているから、分からないが黒い連中がケンを連れてこの家から逃げていったのは聴いていて分かった。
「もう目を開けて大丈夫だよ。正治くん」
俺が目を開けると目の前には、昔に会ったことのあるような男性が目の前に居た。周りを見渡すと、黒い連中が何も無かったかのように消え去っていた。
「ごめん。健辞くんを奪い返せなかった」
と、言って俺に頭を下げて来た。俺はいきなりの事過ぎてどうしていいのか分からず混乱する。
「え、えっと」
「あ!そういえば、だいぶ昔にしか会った事ないから覚えてないか。まずは自己紹介が先だね。僕は、八仙乱のリーダー『八田悠真』。君の両親に君達の事を任させた人だよ」
「両親が俺達の事・・・」
俺はこのタイミングで、緊張の糸が崩れたかのように意識を失ってしまった。
「おっと。見た感じ、緊張状態が続いて疲れたんだろうな。・・・もしもし?・・・ああ、やられた。ギリギリ間に合ったが、だめだった。迎えを頼む」
八田悠真さんは誰かと電話した後、眠ってしまった俺を抱えて迎えが来るのを待った。
皆様、メリークリスマスと良いお年を。