噂の女子生徒
■ 中途半端な依頼
今日の朝もいつものように登校してきた堀坂向汰は2年3組の教室へ入って自分の席に座った。クラスにいる生徒達は仲の良い友達と群れあって話をしている。これこそこのクラスの平和な日常なのだ。そんなクラスの中で窓側の後ろから3番目の席に座っている堀坂向汰は窓の外を眺めながら1人でぼんやりしていた。すると朝からテンションの高い西村真一が「おはようさん」と言いながらやってきた。
西村真一「よう堀坂!おはよう!!」
堀坂向汰「西村、おはよう。今日はいつもよりテンション高いね。何かいいことでもあったの?」
西村真一「別に何もねえけどよ、やっぱ3次元の彼女を作るには、まず明るくならねえとな!」
堀坂向汰「そっか。でも僕には興味のないことだからどうでもいいよ」
西村真一「そういえばさ、1年生にビッチがいるって噂を聞いたんだけどよ、どんな女子か興味ねえか?」
堀坂向汰「僕には興味がないよ。それにただの噂なんでしょ?」
西村真一「それが、そうでもないらしいぜ。頼めばホテル直行してくれるみてえなんだよ」
堀坂向汰「そうなんだ。ところで前に貸した同人誌だけど、そろそろ返してくれないかな?」
西村真一「あーそうだったな。もう全部読んだから明日持ってくるわ」
そんな話をしてると担任の水瀬先生が教室に入ってきて「はーい、みなさん席についてください」と大きな声で言った。
お昼休みになり、堀坂向汰はいつものように中庭の端っこにあるベンチに座って昼食を食べていた。すると『今日の放課後に集合』というメールが届いた。これは裏クラブの呼び出しである。堀坂向汰は影郎アカウントに新しい依頼が届いたのだと推測できたので、さっさとそのメールを削除して教室に戻った。
その日の放課後、生徒会室には裏クラブのメンバーが集合していた。堀坂向汰はいつものようにソファーに座ってカバンの中からスナック菓子とペットボトルのコーラーを取り出した。
如月瑠衣「堀坂先輩、いつもスナック菓子を食べながらコーラーを飲んでいますが、健康によくありませんわよ」
堀坂向汰「昼食だけじゃ腹の足しにならないんだよ」
琴宮梓颯「うふふふ・・・たしかに向汰君の食生活は考えないといけないわね」
堀坂向汰「梓颯の手料理よりはマシだと思うけどね」
琴宮梓颯「もう、そのことは言わないでよ。それより如月さん、影郎に届いた新しいメッセージを映し出して」
如月瑠衣は生徒会室の大きな壁に影郎に届いたダイレクトメッセージを映し出した。そのメッセージとは次のような内容であった。
”
はじめまして。私は1年3組の泉原優奈と申します。
私はクラスメイトの女子から脅されていて、あるバイトをさせられています。
バイトの報酬はいただいているのですが、もうこんなバイトをしたくありません。
脅されることになったのは私にも原因があったのですが、もう精神的に限界です。
誰にも相談できなかったので、噂の影郎さんにメッセージを送ってみました。
”
琴宮梓颯「具体的な事が書いてない相談内容なんだけど、深刻な悩みを抱えているように思えるの」
如月瑠衣「この泉原優奈って、たしか1年生の間でビッチだと噂されている女子生徒ですわ」
堀坂向汰「今朝、西村が1年生にビッチな女子がいるみたいだと言ってたけど、この泉原優奈のことだったのか」
如月瑠衣「もう2年生にまでそんな噂が広まってますのね」
琴宮梓颯「それにしても、クラスメイトの女子というだけで、具体的に誰に脅されてどんなバイトをさせられているのか言わない理由がハッキリしないわね。脅されている原因もわかっていながらどうしてハッキリ言わないのかわからないわ」
堀坂向汰はぼりぼりとスナック菓子を食べながらコーラーを飲んで頭の中を整理していた。そして、今の段階で推理できることを説明した。
堀坂向汰「おそらく、学園内で噂になってることと脅されてバイトをしていることには密接な関係があるね。ビッチという噂から推理してみると、おそらく援交らしきことをしているところをその脅してる女子生徒に目撃されたんだと思う。そう考えれば、脅されることになったのは自分にも原因があったという意味も理解できる。しかし、まだ完全に信用できない影郎アカウントにそのことを打ち明けることはできなかったんだろうね。あとは脅してる女子生徒が何のバイトをさせてるかだけど、泉原優奈も報酬をいただいているということは、援交と同じようなことじゃないかな。まずは噂をなんとかして泉原優奈を脅してる女子生徒を見つけ出さないといけないね」
琴宮梓颯「このメッセージだけでそこまで推理できるなんて、さすが向汰君ね。まずは1年3組の女子生徒の情報調査からはじめてみるわ」
如月瑠衣「琴宮会長、1年3組なら隣のクラスですので、わたくしが調査いたしますわ」
琴宮梓颯「そうね。だったらその調査は如月さんにお願いするわね。わたしは泉原優奈さんのことを詳しく調査しておくわ」
堀坂向汰「今回は調査だけで泉原優奈を脅してる女子生徒を見つけるのは難しいと思う。そこで表向きの生徒会に動いてもらう必要がある」
琴宮梓颯「生徒会に動いてもらうってどういうこと?」
堀坂向汰「抜き打ちの所持品チェックをしてもらうことと、泉原優奈を呼び出して噂のことについて直接尋問するってことだよ」
琴宮梓颯「所持品チェックと泉原優奈さんへの尋問に何か意味があるの?」
堀坂向汰「如月さん、明日の朝、登校してきた生徒の所持品をチェックして、2年3組の西村真一という生徒が同人誌を持ってくるから、それを没収して昼休みに生徒会室に来るように命令してほしい。梓颯は昼休みに泉原優奈を呼び出して噂のことについて心当たりがないか聞くだけでいい」
如月瑠衣「2年3組の西村真一ですね。わかりましたわ」
堀坂向汰「ちょっと西村を利用させてもらって噂の内容を書き換える。あとは脅してる女子生徒が自ら現れるのを待つとしよう」
琴宮梓颯「如月さん、早速だけど明日の所持品チェックのことを風紀委員に伝えておいてもらえる?」
如月瑠衣「わかりました」
裏クラブの活動として、まずは影郎にとどいた依頼内容を具体化させていくことからはじめることにした。
■ 活動準備完了
次の日の朝早くから生徒会の腕章をつけた如月瑠衣と風紀委員の腕章をつけた女子生徒2名が校門の前に立って、登校してくる生徒達のカバンの中をチェックしていた。何人かの生徒は持ち込み禁止のものを所持していたが、大したものではなかったので注意だけされていた。そして、何も知らずに登校してきた西村真一は校門前でかなり焦った。そこに生徒会の腕章をつけた如月瑠衣が「そこの2年生の方、カバンの中を見せていただけますか?」と言った。西村真一は「あ、あの、俺、忘れ物したみたいなので取りに帰ります」と言って逃げ出そうとした。その瞬間、如月瑠衣は西村真一のカバンを掴んだ。
如月瑠衣「何をお忘れになられたのでしょう?どちらにしても今から取りに帰ると完全に遅刻になりますわよ」
西村真一「その・・・教科書、そう教科書全部入れ忘れましたので取りに帰らないとまずいんです」
如月瑠衣「教科書ですか?それにしては重いようですが、そのカバンの中には何を入れてきましたの?」
西村真一「これは、その、ノートと・・・えっと」
如月瑠衣「とにかく、そのカバンの中をチェックさせていただきますわね!」
如月瑠衣は強引に西村真一のカバンのチャックを開いた。するとカバンの中に茶色いビニール製の手提げ袋が入っていた。如月瑠衣は即座にその手提げ袋を取り出して中身を確認した。そして、その手提げ袋の中からほぼ全裸の美少女が描かれた表紙の同人誌が出てきた。如月瑠衣は顔を赤くしながら、その同人誌をパラパラとめくって中身を確認した。
如月瑠衣「こんないかがわしい本を学園に持ってきてはいけないことくらいわかってらっしゃいますわよね?」
西村真一「それは俺のじゃないんです。友達に返さないといけない本なんです」
如月瑠衣「この本があなたのものかどうかは関係ありません。あなたのクラスとお名前をおっしゃってください」
西村真一「えっと、俺は2年3組の西村真一です」
如月瑠衣「2年3組の西村真一さんですね。この本はひとまず生徒会が没収します」
西村真一「それだけは勘弁してください。マジで友達の本なので返さないとヤバいんです!」
如月瑠衣「問答無用ですわ!生徒会長と相談してあなたの処罰を検討しますので、今日の昼休み、生徒会室に来てください」
西村真一「はあ・・・わかりました」
同人誌を没収した如月瑠衣は心の中で「それにしてもこんないかがわしい本を読んでいる堀坂先輩も何を考えているのかわかりませんわ」と呟いた。
2年3組の教室では堀坂向汰が窓の外を見ながらぼーっとしていた。そこへ西村真一が「おーい堀坂、やべえことになったよ!」と大きな声を出しながらかけつけてきた。
堀坂向汰「おはよう、西村。もしかして僕が貸した同人誌を没収されたの?」
西村真一「お前よくわかったな。そうなんだよ。マジ、悪ぃ」
堀坂向汰「今朝、校門前で抜き打ちの所持品チェックやってたから、まずいと思ってたんだよ」
西村真一「しかもよ、俺の処罰を検討するとかで昼休みに生徒会室にこいだってよ。あの副会長、1年のくせにやたら厳しくて容赦ねえんだよ」
堀坂向汰「なんとかして僕の同人誌、返してもらってきてよ。あれはレア物で高かったんだから」
西村真一「わかってるよ。なんとか謝って返してもらってくる」
昼休みになり、生徒会室では1年3組の泉原優奈が呼び出されていた。泉原優奈は身長が155cmほどで、くせ毛を活かした短めのポニーテールに少し垂れ気味の目と小さな唇の小顔。見た目はかなり真面目そうだが、少し情緒不安定な雰囲気がにじみでている。生徒会長デスクの前に泉原優奈が立って、その左側には如月瑠衣が立っている。そして琴宮梓颯は生徒会長用の大きな椅子に座りながら尋問をはじめた。
琴宮梓颯「あなたが1年3組の泉原優奈さんね。はじめまして。わたしは生徒会長の琴宮梓颯よ」
泉原優奈「はじめまして、泉原優奈です。琴宮先輩は学園内でかなり有名な方ですのでよく知っています」
琴宮梓颯「いきなりお昼休みに呼び出したりしてごめんなさいね。少し聞きたいことがあるの」
泉原優奈「どのようなことでしょうか?」
琴宮梓颯「あなたのことが1年生の間で噂になっていることは知ってるわよね?」
泉原優奈「はい、一応・・・」
琴宮梓颯「泉原さん、正直に答えてほしいのだけど、その噂について何か心当たりはある?」
泉原優奈「い、いいえ・・・心当たりはありません」
琴宮梓颯「別にあなたを責めるつもりはないし、先生達に報告するつもりもないのよ。ただ、生徒会としては、そんな噂が広まっていることを見過ごすことはできないの」
泉原優奈「はい。それはわかりました」
琴宮梓颯「それに男子生徒達は泉原さんのことを変な目で見てるみたいだから危険だと思うの。既に男子生徒から何かされたりしてない?」
泉原優奈「少し・・・あとをつけられてるように感じたことはありました。でも気のせいだったかもしれません」
その時、生徒会室のドアからノックする音が聞こえた。琴宮梓颯は「はい。どうぞ」と言うとドアが開いて「失礼します」という男子生徒の声が聞こえた。生徒会室に入ってきたのは今朝の所持品チェックで同人誌を没収された西村真一であった。如月瑠衣が「あなたは今朝の2年生ですね。ドアを閉めてそこで少し待っていていただけますか?」と言った。西村真一は生徒会室のドアを閉めると、言われた通りに立っていた。
琴宮梓颯「如月さん、この男子生徒は?」
如月瑠衣「今朝の所持品チェックでいかがわしい本を持ってきていましたので、わたくしが没収いたしましたの。琴宮会長にも見ていただき、この男子生徒の処罰を検討していただこうと思って生徒会室に来ていただきました」
琴宮梓颯「泉原さん、申し訳ないんだけど、ちょっとそこのソファーに座って待っていてもらえる?」
泉原優奈は小さな声で「はい」と呟き、ちょこんとソファーに座った。
琴宮梓颯「如月さん、この男子生徒のクラスと名前は聞いてるの?」
如月瑠衣「はい。2年3組の西村真一さんです」
琴宮梓颯「わかったわ。じゃあ西村君、ちょっとそこの前まで来てもらえる?」
西村真一「はい」
西村真一はすたすたと生徒会長デスクの前まで歩いていった。そして如月瑠衣が「琴宮会長、これが没収した本です」と言って没収した同人誌を琴宮梓颯へ手渡した。琴宮梓颯はその同人誌をペラペラとめくりながら中身を確認していった。西村真一は学園のアイドル的存在である琴宮梓颯に同人誌を見られていて、とても恥ずかしい気持ちになっていた。
琴宮梓颯「うふふふ・・・なるほど、こんな感じの本なのね」
如月瑠衣「琴宮会長、笑い事ではありませんわ」
琴宮梓颯が思わず笑ってしまったのは、この同人誌の持ち主が堀坂向汰だと密かに知っていたからである。付き合っている彼氏の性的な好みを少しは理解できたように思えた。
琴宮梓颯「ああ、ごめんなさいね。高校生男子はこういうのが好きなんだと思ってつい笑ってしまったわ」
如月瑠衣「それで琴宮会長、この本と西村真一さんの処罰はいかがいたしましょうか?」
西村真一「あの・・・その本、マジで友達のものなので、俺は処分を受けますが、本だけはなんとか返してもらえないですか?」
琴宮梓颯「友達の本を処分するのはちょっと可哀そうね。でも、こんな本を学園に持ってきた罰は受けてもらわないといけないわ」
如月瑠衣「琴宮会長、わたくし達は教師ではありませんので、罰を与えるのは難しいのではありませんか?」
琴宮梓颯「そうね・・・それなら学園に役立つことを何かしてもらうしかないわね」
西村真一「俺、学園のためになんでもしますので、その本だけは返してほしいです」
西村真一はかなり真剣な眼差しで訴え掛けていた。
琴宮梓颯「そうだ!ちょうどしてもらいたいことがあったわ。泉原さん、ちょっとこっちへ来てもらえる?」
泉原優奈は「はい」と呟いて、生徒会長の西村真一の隣に立った。
琴宮梓颯「西村君、今、隣に来てもらったのは1年生の泉原優奈さんという少し訳ありの生徒なの。西村君は部活してるの?」
西村真一「俺は帰宅部です」
琴宮梓颯「それならよかった。泉原さんも部活はしていないわよね?」
泉原優奈「はい。わたしも部活はしていません」
琴宮梓颯「じゃあ、西村君には泉原さんの護衛役をお願いするわ」
西村真一「護衛役って具体的に何をすればいいんですか?」
琴宮梓颯「しばらくの間、西村君は泉原さんと一緒に登下校をしてもらえればいいの。駅から学園まででいいわ」
泉原優奈「わたし、いつも友達と一緒に帰宅していますし、それはちょっと・・・」
琴宮梓颯「泉原さん、しばらくの間だけよ。これは生徒会長からの依頼だと友達に伝えてもらえればいいの」
泉原優奈「わかりました」
琴宮梓颯「登下校の時間は2人で相談してくれればいいわ。1年生は帰宅時間が早い曜日があるけど、その日は図書室で課題でもしながら時間をつぶしてもらえるといいわ」
西村真一「しばらくの間、この泉原さんと一緒に登下校するだけで護衛になるんですか?」
琴宮梓颯「ここだけの話だけど、この泉原さんは1年生の男子生徒から変な目で見られているの。そこで2年生の西村君と一緒に登下校していれば1年生は何もしてこないと思うのよ」
西村真一「そういうことですか。わかりました。しばらくの間ってどのくらいですか?」
琴宮梓颯「そうね、まずは2週間くらい様子を見て判断させてほしいの。ちゃんとしていれば、この本を西村君に返すわ」
西村真一は少しニヤついた表情をして「わかりました」と答えた。その表情を見逃さなかった如月瑠衣が「西村先輩、念のためにいっておきますが、泉原さんに手を出すようなことをすれば、停学かそれ以上の処罰を受けることになりますわよ」とキツい口調で言った。西村真一は「それはわかっています!」と大きな声で言った。
琴宮梓颯「如月さん、まあそれが恋愛ということであれば大目にみましょう。では、今日からしばらくの間、2人で登下校してもらうってことでお願いするわ。時間とか細かいことは2人で相談してね」
西村真一と泉原優奈は「わかりました」と答えた。そして2人は「それでは失礼します」と言って生徒会室を出て行った。これで堀坂向汰が立てた計画通りに事が進んだので裏クラブの活動準備が完了したことになる。あとは泉原優奈を脅してる女子生徒の出現を待つのみなのだ。
■ 黒幕出現
琴宮梓颯から一緒に登下校するように依頼されてから3日が経った。最初は何も話さず一緒に歩いていただけの西村真一と泉原優奈も、次第にお互いのことを話すようになってきた。そんな2人を見ていた1年生の生徒達は泉原優奈に2年生の彼氏ができたのではないかと思いはじめた。泉原優奈が仲良くしている友達は、これが生徒会からの依頼だということを知っていたが、そのことは黙っていた。
そしてある日の朝、2年3組の教室でいつものように堀坂向汰が窓の外を見ながらぼーっとしていると、西村真一が何やら嬉しそうに登校してきた。
西村真一「おはようさんさん、堀坂!」
堀坂向汰「おはよう、西村。なんか嬉しそうだね」
西村真一「いやー最初は1年の女子なんて興味なかったけどさ、話してみると結構可愛いとこあるんだよな」
堀坂向汰「それって一緒に登下校してる1年生のこと?」
西村真一「そうだよ。泉原さんってよく見ると可愛いんだよ。それに俺、ポニーテールが似合う女子って好みなんだよな」
堀坂向汰「でも手をだしたら停学以上の処罰だって言われてるんだよね?」
西村真一「それが怖ぇーんだよな。特にあの副会長は人間とは思えねえくらい厳しいんだぜ。でもやっぱ3次元の女子はいいぜ!」
堀坂向汰「僕の同人誌が人質になってるんだからほどほどにしてね」
西村真一「それはわかってるって!それよりお前も1年の女子に興味もってみるのはどうよ?」
堀坂向汰「1年の女子か・・・出会うキッカケもないし、どうでもいいかな」
西村真一「それなんだけど、俺が頼んで泉原さんに紹介してもらうって手もあるんだぜ」
堀坂向汰「やっぱ僕はそういうの苦手だから遠慮しとくよ」
そんな話をしているとクラスの女子生徒達がヒソヒソと「苦手もなにもキモオタだから無理に決まってのにね」、「キモオタだから1年生にも相手にされないんじゃない」などと話しているのが聞こえていた。そんな女子生徒のヒソヒソは無が堀坂向汰にも聞こえていたが、いつものように全く気にしていなかった。
西村真一と泉原優奈が一緒に登下校するようになって10日が経った。2人は話しながら笑い合ったり、時には親密な話をするような仲になっていた。もう1年生の間では泉原優奈が2年生の西村真一と付き合っているという噂が広まっていた。いつの間にかビッチという噂が消えたというより書き換えられている。これこそ堀坂向汰の思惑通りになったのだ。
11日目をむかえた朝、いつものように2人で登校していると、前方に3人の女子生徒が立ち止まっているのが見えた。2人はそこへ近づいていくと、その3人の女子生徒は西村真一と泉原優奈を睨みつけていた。そして真ん中にいた1人の女子生徒が「泉原、ちょっと待ちなよ」と言った。
泉原優奈「う、植田さん・・・」
西村真一「もしかして泉原さんの友達?」
泉原優奈「同じクラスの植田希美さんです」
西村真一は植田希美の鋭い目と強気な態度に少し圧倒されていた。
植田希美「ねえ、この2年生ってあんたの彼氏?」
泉原優奈「この人は仲のいい先輩で彼氏じゃないよ」
植田希美「ふーん。あんたさ、最近、毎日この2年生と一緒にいるみたいだけど、何やってんの?」
泉原優奈「何もしてないよ。ただ一緒にお話しながら歩いてるだけだよ」
植田希美「こんなオタクぽい男と話して楽しいんだ・・・やっぱあんたビッチだわ」
泉原優奈「そ、そんな言い方すると失礼だよ」
植田希美「まあいいけどさ。それより、今日あんたのバイト入れたからさ、わかってるよね?」
泉原優奈「う、うん・・・わかった」
植田希美「あとで時間と場所教えるけど、次逃げ帰ったりしたらあんたの秘密バラすからね」
泉原優奈「うん・・・」
そう言って植田希美と一緒にいた2人の女子生徒は学園のほうへ歩いて行った。そして圧倒されていた西村真一は一気に体の力が抜けた。少し黙っていた泉原優奈が小さな声で「ごめんなさい」と呟いた。それを聞いた西村真一が口を開いた。
西村真一「さっきの植田さんって怖そうな人だったけど、泉原さん、もしかして何か脅されてるの?」
泉原優奈「脅されてるとかじゃないです。ときどきバイトを紹介してもらっているだけです」
西村真一「何のバイトしてるの?」
泉原優奈「それはちょっと・・・ごめんなさい」
西村真一「言いたくないなら聞かないけど、なんか脅されてるみたいに見えたから・・・泉原さん、本当に大丈夫?」
泉原優奈「心配してくれてありがとうございます。大丈夫です」
西村真一はそれ以上のことを泉原優奈に聞かなかった。それから2人は黙ったまま一緒に学園まで登校していった。
2年3組の教室では堀坂向汰がアニメ雑誌を読んでいた。そこに西村真一が小走りで教室に入ってきて「堀坂、ちょっといいか?」と声をかけてきた。
堀坂向汰「西村、おはよう。そんなに慌てて何かあったの?」
西村真一は今朝、登校中にあった泉原優奈と植田希美の出来事について説明した。
堀坂向汰「それって泉原さんが植田希美っていうクラスメイトに脅されてたってこと?」
西村真一「そうなんだよ。どう考えてもあれは脅されているとしか思えねえんだよ」
堀坂向汰「泉原さんはバイトを紹介してもらってるって言ってたんだよね?」
西村真一「そうなんだけどさ、何のバイトか聞いてみたんだけど教えてくれなかったんだよ。俺の勘だけど、あれは絶対にやべぇバイトさせられてんじゃねえかって思う」
堀坂向汰「そうだったとしても、西村や僕がなんとかできる問題じゃなさそうだね」
西村真一「俺、泉原さんの力になってやりてえとは思うんだけど、あの植田希美って女子もかなりヤバそうだしな」
堀坂向汰「余計なことをしたら泉原さんに迷惑かけるかもしれないから、そっとしておいたほうがいいと思うよ」
西村真一「たしかにお前の言う通りだな。泉原さんのほうから打ち明けてくれるのを待つことにするよ」
ここで担任の水瀬先生が教室に入ってきて「はーい、みなさん席についてください」と大きな声で言った。堀坂向汰は心の中でついに黒幕が現れたのだと確信していた。これで本格的に裏クラブの活動がはじまるのだ。
■ 証拠集めと脅しの警告文
放課後になり、生徒会室には裏クラブのメンバーが集まって会議をしていた。
堀坂向汰「泉原優奈を脅してバイトをさせてる黒幕が現れたところで、いよいよ証拠集めだね。まず、梓颯には植田希美が最も恐れそうなことを調べておいてほしい」
琴宮梓颯「わかったわ。だったら家庭環境なんかも調べておくわね」
堀坂向汰「明日、泉原優奈と植田希美は金銭のやりとりをするはずだから、如月さんにはそのシーンを動画で撮影してほしい。できれば音声付きがいいんだけど、離れた場所だと難しいね」
如月瑠衣「では小型の集音器を持っていきますわ。しかし、金銭のやりとりはいつどこで行われるかわかりませんね。わたくし、明日はずっと泉原さんを監視しておけばよろしいのですか?」
堀坂向汰「金銭のやりとりは昼休みに行われるはずだから、ずっと監視しなくてもいいよ。登下校中は西村がいるわけだし、休み時間中は他の生徒達に目撃される可能性があるからね。場所は人があまり来ない焼却炉付近か体育館裏のどちらかだと思う。今日の帰りにでも下見しておいて身をひそめる場所を決めておいたほうがいいね」
如月瑠衣「わかりました。しかし体育館裏だと音声録音は難しいですわね」
堀坂向汰「そして、俺は今晩、泉原優奈を尾行して自分の推理が正しいのか確認してくるよ。ついでに証拠写真も撮影しておく。これで今回の問題は全て解決すると思う」
それから堀坂向汰は泉原優奈の自宅へ行き、身をひそめていた。しばらくすると泉原優奈が少し大人ぽい格好をして出てきた。こっそりと泉原優奈の後をつけていくと駅から電車に乗った。堀坂向汰は制服を着たままだったが、ネクタイを外してサングラスをかけていたので遠目からだと学園の生徒だと気づかれない。それから10分ほどして泉原優奈は駅に降りた。そのまま改札口を出ると、大きな時計台があった。泉原優奈はその時計台のところで立ち止まって誰かを待っているようだった。時計台の時間を見てみると17時55分を過ぎた頃だった。堀坂向汰は如月瑠衣から預かっていた無音カメラを取り出して待っていた。すると30代後半くらいの紺色のスーツを着た男性がキョロキョロしながら時計台のほうへ歩いて行き、泉原優奈に話しかけた。そして泉原優奈がその男性と腕を組みながら駅から離れていった。堀坂向汰は2人が腕を組んで歩いて行く瞬間をカメラで撮影しておいた。これこそ推理が正しかったという証拠写真になったのだ。
そして次の日。如月瑠衣は密かに泉原優奈の行動を監視していた。休み時間には1年3組の教室に行って様子を見ていたが、何事も起こらなかった。そして昼休みになった。教室で友達とお弁当を食べていると、さっさと食べ終えた泉原優奈が1人で教室を出てどこかへ歩いていった。その後をつけていくと、焼却炉の前で立ち止まった。如月瑠衣はさっと大回りして焼却炉から死角になっている場所へ身をひそめた。しばらくすると3人の女子生徒が辺りをキョロキョロしながら焼却炉のほうへ歩いてきた。その中の1人に植田希美がいた。如月瑠衣は持ってきていたビデオカメラに小型の集音器を取りつけて録画ボタンを押した。そして植田希美が泉原優奈の前に立った。
植田希美「昨日のバイトの報酬、さっさと出しなよ」
泉原優奈「う、うん・・・」
泉原優奈がカバンの中から緑色の封筒を取り出して植田希美に手渡した。そして植田希美は封筒の中から現金2万円を取り出した。
植田希美「じゃあ、あんたには3割の6千円ね」
泉原優奈「植田さん。あの・・・もうこういうこと辞めない?」
植田希美「はあ?ビッチのくせに何言ってんの?あんたも、おっさんとデートするだけで金貰えるんだから楽なバイトでしょ」
泉原優奈「で、でも・・・こんなこともう続けるのは・・・」
植田希美「だったら、あんたの秘密バラすだけだよ。それでもいいの?」
泉原優奈「それはだけは・・・」
植田希美「そもそも最初はあんたが1人でやってたバイトじゃない。ただアタシはもっと効率良く稼ぐ方法を教えてあげてるだけでしょ」
泉原優奈「それはそうだけど・・・」
植田希美「それよりあんたさ、そろそろホテルに行ってもっと稼いできなよ。ビッチなんだし体売るくらい平気でしょ?」
泉原優奈「そ、それだけは嫌・・・」
植田希美「まあ、また金出してくれそうなおっさん見つけたら連絡するから」
泉原優奈「わかった・・・」
植田希美と他の女子生徒2人はその場から立ち去っていった。泉原優奈はそのまましゃがみこんで涙を流していた。如月瑠衣はビデオカメラの録画停止ボタンを押して、しばらく様子をみていた。
そして、その日の放課後、生徒会室には裏クラブのメンバーが集まっていた。
堀坂向汰「梓颯、植田希美が最も恐れそうなことについて何かわかった?」
琴宮梓颯「最も恐れそうなことはわからなかったけど、父親が市会議員をしているということはわかったわ」
堀坂向汰「なるほど。植田希美の弱点は父親だね。今回はその父親にも警告文を出せばいい」
琴宮梓颯「それだと問題沙汰にならないかな?」
堀坂向汰「それは絶対に大丈夫だと思うよ。こんなことが公になったらその父親もただではすまないからね。如月さん、動画の音声だけ取り出して、音声ファイルにすることってできる?」
如月瑠衣「それなら簡単にできますわよ。音声ファイルだと軽いのでいらないUSBメモリに入れておけばいいと思いますわ」
堀坂向汰「それなら、音声ファイルの入ったUSBメモリと警告文を封筒に入れて父親宛で自宅のポストに入れておけばいい。あとは少し脅しの警告文を植田希美の下駄箱に入れておけば、今回の問題は解決する」
如月瑠衣「では、早速、音声ファイルをUSBメモリに入れますわね」
琴宮梓颯「それにしてもいくら援交とはいえ、泉原さんの報酬が3割というのは酷い話だわ」
それから裏クラブでそれぞれの警告文を印刷して、如月瑠衣は部活を終えた生徒達が帰宅した後、植田希美の下駄箱に警告文を入れておいた。そして、その日の帰りに植田希美の自宅に立ち寄り、父親宛ての封筒をポストに入れておいた。
市会議員をしているという植田希美の父親が帰宅したのは夜8時を過ぎていた。父親はポストの中に入っていた自分宛ての封筒を取り出して、部屋に入るとすぐに中身を確認した。封筒の中には3つ折りになった白用紙とUSBメモリが入っていた。その白用紙を開くと次のような文章が書いてあった。
『警告。あなたの娘である希美さんは、ある女子生徒を脅してデートクラブのようなアルバイトをさせています。その証拠としてUSBメモリに音声ファイルを入れていますのでお聞きになって判断してください。これ以上、あなたの娘さんがこの女子生徒を脅迫してアルバイトをさせるのであれば、このことを世間に公表します。』
この警告文を読んでパソコンで音声ファイルを聞いた父親はかなり激怒した。さすがの植田希美も父親から証拠の音声ファイルを聞かされると、何も反論できなかった。
そして次の日の朝。父親からかなり怒られた植田希美は1人で学園に登校していた。いつも一緒にいた2人の女子生徒には「今日は1人にしてほしいから先に登校しておいて」と言っていた。学園に登校した植田希美は下駄箱を開けると四つ折りになった白用紙が入っていた。その用紙を開いて中身を確認すると次のような文章が書いてあった。
『植田希美さんへの警告。あなたが泉原優奈を脅迫してアルバイトをさせていること、およびその報酬の7割を受け取っている証拠を持っています。これ以上、このようなことを続けるのであれば、こちらが持っている証拠から全てを公表します。そうなれば脅迫および援助交際のあっせんまでしていたあなたは退学処分となるでしょう。また、あなたの握っている泉原優奈の秘密についてもこちらで調査済みです。その秘密をバラすようなことをすれば、あなたが行っていた行為も公になってしまいますのでご注意ください。あなたが二度とこのようなことをしないのであれば、今回のことは内密にしておきます。』
植田希美はこの文章を読んで顔面蒼白になり冷や汗を流していた。下駄箱にいたクラスメイトからも「顔色悪いよ」などと声をかけられたが「いえ、大丈夫」と答えていた。さすがの植田希美も恐怖心に掻き立てられて1限目の授業は保健室で休むことにした。
■ 問題解決後の生徒会室
その日の昼休み、西村真一と泉原優奈は生徒会室に呼び出されていた。
琴宮梓颯「西村君、少し長くなったけど泉原さんの護衛はもう終わりにしてもらっていいわ」
西村真一「は、はい・・・わかりました」
琴宮梓颯「もう変な目で見てくる男子生徒もいなくなったみたいだから大丈夫だと思うわ」
西村真一「あの・・・そのことなんですが、泉原さんと登下校するのは自由ですよね?」
琴宮梓颯「それは2人のことなので自由にしてもらってもいいけど、泉原さんはどう思ってるの?」
泉原優奈「わたしももう少し、西村先輩と登下校してもいいかなって思っています」
琴宮梓颯「それなら泉原さんの護衛を無期限でお願いするわ。あと、西村君にはこの本を返しておくわね」
西村真一「ありがとうございます。これでやっと友達に返すことができます」
琴宮梓颯「そんな本ばかり読んでないで、たまにはリアルの彼女をデートに誘いなさいって、そのお友達に伝えておいてね」
西村真一「その友達はリアルな彼女なんていないんですよ」
琴宮梓颯「それでもそう伝えておいてね。じゃあ2人とももういいわ。お昼休みに呼び出してごめんね」
西村真一と泉原優奈は「それでは失礼します」と言って生徒会室を出ていった。
如月瑠衣「琴宮会長、もう泉原さんの護衛は必要ないんじゃありませんの?」
琴宮梓颯「うふふふ・・・別にいいのよ」
その日の放課後、生徒会室には裏クラブのメンバーが集まって、今後のことについて話し合っていた。
堀坂向汰「さすがの植田希美も、父親からさんざん怒られて、その次の日にあんな警告文を出されたら、もう泉原優奈に手出しはしないでしょ」
琴宮梓颯「影郎アカウントでダイレクトメッセージを送っておくわね」
琴宮梓颯はパソコンで影郎アカウントにログインして泉原優奈にダイレクトメッセージを送った。送ったメッセージは『あなたの問題は解決しました。もうクラスメイトから脅されることもなければ、バイトをさせられることもないでしょう。ただし、あなたも二度と脅されるようなことをしないように反省してください。』という内容だった。
如月瑠衣「それにしても堀坂先輩は何を考えていらっしゃるのですか?あのようないかがわしい本を読むなんてとても理解できませんわ」
堀坂向汰「俺は別にあの同人誌を読んで興奮してるわけじゃないんだよ。ただ、キャラクターの絵やストーリーを楽しんでるだけだよ」
如月瑠衣「それでもいかがわしい本に違いはありませんわ」
堀坂向汰「如月さんも彼氏を作れば少しは理解できるかもね」
如月瑠衣「わたくし、今は恋愛などに興味はありませんの」
堀坂向汰「健全な女子高生なら男子生徒に興味を持ってもおかしくないと思うけどね。それに如月さんは美人だから彼氏くらいすぐ作れそうな気がするよ」
如月瑠衣は美人と言われて少し赤い顔をしながら「わたくしが美人だなんて考えたことありませんわ」と呟いた。
琴宮梓颯「向汰君、最近、如月さんの扱い方が上手くなったんじゃない?」
堀坂向汰「そんなことはないよ。それより梓颯、ありがとうね」
琴宮梓颯「ありがとうってどういうこと?」
堀坂向汰「西村と泉原さんの関係を陰で応援していたことだよ。梓颯は最初から2人の相性がバッチリだと知っていたよね?」
琴宮梓颯「どうしてわかったの?」
堀坂向汰「俺が貸した同人誌は美少女系キャラクターが描かれていた。泉原さんは美少女とまでは言えないけど、年下でキュートな感じだから類似する部分はあった。まさに西村が好むタイプだった。逆に泉原さんは情緒不安定ながらも自分を守ってくれる兄のような存在を求めていた。西村はひ弱そうだけど女子にはかなり優しいタイプだからね。そんな2人が一緒に登下校するようになったら、いくら生徒会からの依頼とはいってもお互いに意識するようになる。あと、如月さんから聞いたんだけど、恋愛なら大目にみましょうと言ったらしいね。つまり梓颯はその時からわかっていたんだよ」
琴宮梓颯「驚いた・・・まさかそんなことまで推理してたなんて思わなかったわ」
堀坂向汰「西村は泉原さんのことをかなり気に入ってるみたいだし、泉原さんも西村に気がありそうだからいい感じだと思う」
如月瑠衣「琴宮会長、わたくしは、生徒の恋愛をあっせんするのはどうかと思います」
堀坂向汰はニヤリとして「如月さん、本当は羨ましいんじゃないの?」と聞いてみると、如月瑠衣は「そ、そんなことありませんわよ」と言葉を詰まらせながら答えた。
琴宮梓颯「ところで向汰君、西村君にお願いしておいたんだけど何か聞いてない?」
堀坂向汰「わかってるよ。梓颯はどこか行きたい場所とかあるの?」
琴宮梓颯「そうね、わたしは綺麗な海を見に行きたいわ」
堀坂向汰「じゃあ調べておくよ」
如月瑠衣「2人ともデートのお約束でしたら、別の場所でしていただけますか?」
琴宮梓颯は笑いながら「そうね。ごめんなさい」と言った。
今回の依頼はかなりデリケートな問題であった。もしこの問題が公になれば2人の生徒は停学もしくは退学というキツい処罰を受けることになっただろう。裏クラブという秘密組織が活動したからこそ何事もなく穏便に解決させることができたのだ。
ところで、西村真一と泉原優奈は問題が解決してからも一緒に登下校していた。そして、問題が解決して気持ちが落ち着いた頃に泉原優奈はデートクラブでアルバイトしていたことを打ち明けた。それを聞いた西村真一は「泉原さんはすごく苦労してたんだね」と優しい言葉をかけてあげたらしい。それから間もなくして、西村真一のほうから泉原優奈に告白して2人はめでたく付き合うことになったのだ。