第二話 テイマーだと!
一週間投稿だといったな。
あれは嘘だ。
ん……。意識が浮上してくる感覚。
私、あの状態から生きることができたんだ。いやー、ありがたい! これで新作ができる!
「あ、あうー」
あれ? 声が出てない! 事故の後遺症かな、仕方ないか。声が出なくてもゲームはできる。ボイチャが出来ないからネッ友との統率は取れないが、なんとかなるか。……? 手も動かない!? なん、と……!? おいおい嘘だろ、ゲームできないじゃん! 何もできない状態じゃん。
「―e―――――」
「――――――――――――」
なんか喋ってる。お母さんかな? いや、違うな、お母さんは茶髪じゃない。完全な黒髪だったはずだ。じゃあ、看護師さんかな。というか、お母さんには悪かったな。親孝行出来ないまま入院とか。もし治ったらちゃんとするからね。抱き上げられた! 三十キロしかないがひょいっで持ち上げられるのは重量挙げの選手くらいだろ。……そんなことないか。三十キロなら普通の人でもいけるのか。いや、体重落ちてるし割とガリガリかもしれないな。ゲームが出来ないけれど、リハビリすればなんとかなるっしょ。
三年後…
重大なことが分かった。私は転生していたらしい。
まあ、その時点ではまだ納得できる。
ライトノベルの読み過ぎで驚く精神がぶっ壊れていたのかもしれない。
転生ってこういう感じなんだな。
こう、前世の記憶はあるけど、別の誰かからその記憶を聞いたような感覚だ。
謎だ。まあ、覚えてはいるけれど、脳とか体とかの個体は違うって感じだからこういうことになるんだろうだ。まあ、それはさておき、ここはどこだと思う?
日本? イタリア? アメリカ? ……否! 異世界である!
まじで、本当に驚いた。異世界と知ったことはつい最近……
■■■
はあ、暇だなあ。ゲームがしたい。
まあ、子供にコントローラー握らせる親がどこにいるのかって話だが。
家の探索をしつくした私は、窓の外から様子を見ることくらいしかやることがなくなってしまった。家の探索をした結果は、……まあ、お金持ちではないんだろう。
多分、紛争地域? だと思う。
前世でもニュースや本でしか見たことはなかったが、テレビもなければ電子レンジもない。親もスマホを持っていない。
そして、食べ物がもともと住んでいた日本とは違いすぎる。
めちゃくちゃ硬い黒パンにふかし芋が主な主食だ。400円でマクド○ルドのハンバーガーが食べれる日本がどれだけ豪華だったのかがわかったよ。
……? お、ワンちゃんだ! おおー、こっちおいで~。
私は猫より犬派だったのでな。ってそんな事はどうでもいい。
できれば餌付けして飼いたい! ん? 口を開けて、どうしたんだ?
お腹が空いているのか? そうか、そうなのか! 好都合だ!
絶対餌――キャッ! ……へ? おーい、ワンちゃん? え、何? お前、火、吹けるの? えーっと、スマホがなくて、電気がなくて、犬が火を吹く世界? もしかして、ここって、紛争地域じゃなくて……まさか……
このとき、私の中で謎な方程式ができた。
犬が火を吹ける世界=異世界
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そこで、私はやっとこの世界が異世界だってことを知ったんだ。
そして今、私は、魔法の勉強をしている。
家の中を探索したときは、あまり気にしていなかったが、書斎(2,3冊の本が置いてあるだけ)の中に魔術教本というものがあったんだ。
魔法の勉強をして、損はないと思う。
今、私は火魔術と水魔術を主に頑張っている。後々は、風魔術と土魔術も頑張るつもりだ。六歳になったら洗礼式? というものを受けるらしい。
その時までにはすべての属性を極めたいと思っている。
VRMMOでお馴染みの『詠唱短縮』や『詠唱破棄』を覚えれたら、戦略の幅も広がると思うしね。
三年後…
あれから結構たって全属性極めることができた。(多分)
そして、今日は、重大イベントがあるのだ。それが楽しみすぎて、今日はあまり寝れていない。
「ユキ、今日は洗礼式よ! 早く起きなさい」
そう、洗礼式である。
この人はラグドール・エリス。超平民だ。そして私のお母さんでもある。黒髪碧眼で10人とすれ違えば5人位は振り向く美人さんだ。私の将来が楽しみだ。
「楽しみだな。ユキ、どんな天職なんだろう。魔法を頑張っているし、魔法使いとかかな」
そしてこの人がヘタレ大黒柱、ラグドール・カリオン。お父さんだ。
私が魔法を使えることは親は知っている。まあ、私がちょっとだけ魔術を使えるという認識だが。
この世界では、平民でも名字を名乗ることができる。元現代日本人の私からしたらかなりありがたい。
そして私の名前はユキ。前世と似ているからまあいいかと思っておこう。
容姿は白髪黒目でギャルゲーのツンデレみたいな感じ。
普通に学年のマドンナになれるくらいには可愛いが、この世界は美男美女しかいないのか? ……わからん。
今日のご飯は何だろう。そんなことを思っていると時間がたっていた。
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さて、今私は神殿に向かっている。両隣にはパピーとマミーだ。
おおっ、神殿でっか! 家の二十倍くらいあるんじゃないか? うおー、中も凝ってる! 無駄に金細工だ! ……ゴホン、年甲斐もなくはしゃいでしまった。精神年齢20歳以上のやつが何をやってんだか。まったく、将来が心配だよ。
というか本当に六歳の子たちをこんなにも集めちゃったら滅茶苦茶ざわざわしちゃうよね。どうやって静めるんだろう。こんなにもうるさかったら何も聞こえないよ。
その時、神殿の中にものすごい音が響いた。騎士っぽい人が床に槍を打ったんだ。
あっ、神殿長っぽい人も出てきたな。こう、なんか、ドラ○エで転職の儀式をしてくれそうな……
「諸君ら、今から神聖な儀式を行う、沈まれ!」
始まった始まった。私は……三番目!? はやっ。マジか、すぐじゃん。私の天職何かな。めっちゃ気になる。これで人生のほぼ大半が決まるんでしょ。できれば……後衛がいいなー。
「あなたの天職は鍛冶屋です」
アイン 人間 六歳 女 Lv1 天職 鍛冶屋
HP22 MP18
腕力14 防御力12
俊敏4 知力7
スキル
瞬発火力 Lv2
ほうほう、六歳のレベル1の平均はHPとMPは20、それ以外は10位なのか。
って、天職って戦闘系だけじゃないんだな。なら、私は裁縫師とかになってみたいなー。
今、私の前の人が天職を教えてもらえる所だ。私は何かな、魔法使いとかいいんじゃない? 「メ〇ゾーマ」って撃っててみたい!
「次、ユキ。前へ」
キター! 何だ武闘家か! 戦士か! 遊び人か!
「貴女の転職は魔物使いです」
ユキ 人間 六歳 女 Lv1 天職 魔物使い
HP7 MP35
腕力2 体力7
俊敏11 知力22
スキル
水魔術Lv3 火魔術Lv2 土魔術Lv4 風魔術Lv2 闇魔術Lv1光魔術Lv2詠唱破棄Lv7
ユニークスキル
テイムLv1 魔言語理解Lv1 魔物成長補正 極Lv1
・・・フォアー!? 魔物使い!? いやそれよりいじめられてるベビー〇ンサーどこにいる!? ……まじか。まさか、魔物使いになるとは……
「貴方は探鉱者、貴女は……」
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「そうか―魔物使いかー。家の家系にそんなのいたか?」
「まあいいじゃない。本人が喜んでるんだから」
帰り道、親がそんな話をしている。よしっ! 明日にでも魔物と出会ってみるか。
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おはよう諸君! いい朝じゃないね! めっちゃ雨が降ってるね! まあいい。
今は午前三時ごろ。一人で魔物に会いに行くと言ったら滅茶苦茶怒られたので、一人で行こうと思う。
え? 矛盾してる? ハハッ、そんな事は気にしない気にしない。
え? 午前三時とかで大丈夫なのかって? ……フフフ……何を隠そうこの私、ゲームのためなら2時寝3時起きとかやってたら寝なくても大丈夫な体質になったんだ! ということは置いといて、さあ! レッツゴー!
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こちら、ユキ。現在地は雨降る草原。前方にスライム発見。個々のスライムの見た目はゼ〇ダのチュ○ュに
ドラ〇エのスライムの顔を貼り付けたみたいなのだ。キング〇ライムの王冠とったバージョン?
えーっと捕まえ方は……モンス〇ーボールを投げる! わけではなく、話しかけることらしい。
超ファンタジーじゃん。動物(魔物)とお話だよ。よし。
「スライムさん。スライムさん。仲間になってくれませんか?」
「いやーーーーーー! なにこの子! スライム語喋るんだけど!?」
ふむ、女の子か。まあ性別はどっちでもいいか。
「私は魔物使いなんです。お願いします! どうか仲間になってください!」
「……空耳じゃないようね。というかおとぎ話じゃなかったのね。でもいいの? 素質ある魔物使いさんがスライムなんかを仲間にして」
「いいんです! 最初にスライムから仲間にするのは定番なんで!」
「定番? そんなのがあるんだね。まあいいよ! あたいはスライム。宜しくね」
あれ? 名前はないのかな?
「すいません。名前を聞いてもいいですか?」
「名前? 無いよ? というか付けてよ」
ふむ、スラリンはどうかな。いやいやなしか。あっ! ゲームでつけてたあの名前はどうだろう!
「そうですか。ではアクアマリンでどうですか」
そう。私は仲間の名前を宝石の色で決めるタイプ。
「悪くないね。うん、今日から私はアクアマリンだ!」
「では、宜しくお願いします」
こうして、私は初めての魔物をゲットだぜ! したのだった。
……この後たまたま目が覚めた親に滅茶苦茶怒られたのは割愛しよう。
読んでいただき、ありがとうございます。
水日投稿出来たらいいな。
※魔物使いは結構珍しいです