表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/15

4.逃げた少女。

この主人公、煽りよる……()

次回くらいで戦闘パート終わるかな?

応援よろしくお願いいたします!!










 ――美しい剣舞。

 アミナの振るうそれは間違いなく、芸術の域に至っていた。

 俺は流れるようなその攻撃を炎剣で防ぎつつ、一定の距離を取り続ける。ハッキリ言って隙がなかった。一連の動きを見て感じたのは、どこから攻めても防がれるというイメージだ。まさに攻防一体の型だと言える。



「どうしたんだい、リッドくん。さっきまでの威勢はどこにいった?」

「………………へっ」



 普通に剣技だけでぶつかり合っては、膠着状態が続くだろうと思われた。

 相手もそれを理解している。だから互いに一度距離を取り、言葉を交えるのだ。挑発とも取れるアミナのそれに、俺は小さく笑った。

 ここで乗ってしまっては、せっかくの戦いが台無し。

 それに俺は、あることに気付いていた。



「なぁ、アミナ――」

「……どうした?」



 だから、彼女自身も自覚しているであろうそれを指摘する。




「守ってばかりで、楽しいのかよ」――と。









「な、に……?」



 アミナはリッドの言葉に、眉をひそめた。

 守ってばかり――というのはいったいどういうことか、と。



「はっ! まさかその表情からして、気付いてなかったのか!」



 こちらの表情を見て、少年は顔を覆って笑った。

 しかし、アミナには本当に意味が分からない。自分がいつ守ってばかりだと、そう彼は言っているのかが分からなかった。

 こちらも剣を振るっている。

 攻撃はしている。だが、リッドはそれを守っていると言った。



「だったら、教えてやるよ。――アミナ」



 困惑していると、少年は炎剣を突き付けながらこう口にする。




「お前の剣技は、負けないだけの剣だ」――と。




 その言葉を聞いた瞬間に、アミナの中に得体の知れない怒りが沸き上がった。

 いいや、怒りというよりも苛立ちの方が近いか。負けないだけの剣、その呼び方がとかく気に障った。だから即座に、彼女は言い返そうとする。だが――。



「あぁ、でも仕方ないよな。アミナは以前からそうだった」

「なに……?」



 それより先に、少年はニヤリと口角を歪めて言うのだ。

 そして、それは――。



「お前は貴族だった頃から、ずっと勝負を避け続けてきたんだから」



 アミナにとって、心を抉られるようなもの。



「な……っ!」



 古い傷を無遠慮に、かつ的確に狙ったもの。

 直後、彼女の脳裏にはある言葉がよみがえった。




『貴様のように上手いだけの者に、当主は任せられない』




 五年前のあの日、最後に聞いた父の言葉。

 それを思い出した瞬間、無意識のうちにアミナは駆け出していた。




「ああああああああああああああああああああああああああああっ!!」




 叫び、リッドに向かって剣を振り下ろす。

 少年はそれを受け止めて、笑いながらこう語るのだった。



「アミナ・リーガー――歴史あるリーガー家の中で、史上最も剣技の才に恵まれた女性。しかし三女であることから、他の兄や姉には疎まれ続けていた」

「やめろ……」

「そして、選定の時。ついに、その矛先は喉元に突き付けられた」

「やめろ……!」

「周囲からの執拗な責めに、お前は――――逃げたんだ!」

「やめろと言っているんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




 ――吼える。

 アミナはリッドの言葉に、絶叫しながら剣を振り下ろした。

 質量を持った炎の剣と、金属の剣がぶつかり合う。いつもとは違う、乱暴に叩きつけられるアミナの攻撃。リッドはそれをいなしながら、彼女にこう告げた。



「良いぜ。やっと、戦う目になってきやがった……!」

「な、に……!?」



 アミナは怒りに表情を歪めながら、距離を取ったリッドを睨む。

 すると少年は、静かに呼吸を整えて言うのだ。



「お前がその気になって、ようやく俺も――」



 頬に一筋の傷。

 ほんの微量の血を流しながら。




「本気で、戦える……!」




 直後、リッドを中心に魔力の奔流が生まれた。

 そしてそれが収まった時、少年の手に握られていたのは――。




「さぁ、始めようぜ? ――血沸き肉躍る戦い、ってやつを!!」




 ――美しく輝く、氷の剣だった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いいたします。

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ