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3.決戦前――アミナの過去。

次回、戦闘パート。

応援よろしくお願いいたします!









「アミナよ。貴様はリーガー家に相応しくない」



 それは五年前のこと。

 アミナは父から突然にそう宣告を受けたのだ。

 リーガー家の三女として生まれ、幼い日から今までずっと剣術に励んできた。そして次期当主を決めようとなった頃合い、彼女はその権利を剥奪される。

 原因は分かっていた。

 だが、どうしようもなかった。


 多勢に無勢。

 たった一人の彼女は、いくら誰よりも剣技に優れようとも敵わない。



 そうして、アミナはリーガー家を出た。

 しかし名を捨てることはしない。いつの日か必ず、そう誓っていたから……。







 ギルドの屋内闘技場は、いつにない賑わいをみせていた。

 理由は単純。王都で最強と名高い剣士、アミナ。そして先日の一件で、大きく名を上げたリッドの対決。血気盛んな冒険者たちは、その注目の一戦を観ようと押しかけていた。中にはどちらが勝つか、賭け事を行う者もいる。



「あの、大丈夫なんですか。リッドさん」

「大丈夫。心配はいらねぇよ」



 俺は不安げにこちらを見上げるリンに、そう声をかけた。

 金網の入場口へ、真っすぐに伸びる通路。その一番後方で、俺たちは決闘の準備を整えていた。ルールはシンプル、何でもあり。

 そして、どちらかが意識を失うまで続けられる。

 下手をすれば命を落とすが、それもまた一興だろうと思えた。



「おや、先にきていたんだね」

「そっちは、意外に遅かったじゃねぇか」

「ふふ、少しばかり準備に手こずってね」



 そう考えていると、本日の相手が現れる。

 アミナは先日手にしていた剣とは、また違うものを持っていた。そこに刻まれた家紋を見て、俺は少しだけ、気取られないように息をつく。


 やはりまだ、過去に囚われているのか――と。



「今日は是非、よろしく頼むよ。期待の新人くん?」

「あぁ、こちらこそだな。でも――」

「…………?」



 だから俺は、首を傾げたアミナにこう告げた。





「立ち止まってる馬鹿には、負けねぇよ」――と。





 宣戦布告。

 いや、喧嘩を売っているに近かった。

 俺は口元に笑みを浮かべて、彼女を見据える。すると、




「へぇ……?」




 アミナの表情も変わった。

 先ほどまでの友好的なものは消え失せ、好戦的なそれに。



 それでいい。

 俺は相手の言葉を聞かずに、歩き出した。

 きっと今日は、退屈しない戦いができるだろう。



「楽しくなってきたぜ……!」



 それに、心を躍らせた。




 


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