3.三年が経った伯爵家。
手遅れ感。
「リッドを廃嫡して、もう三年か……」
リッドの父、アラン・グロピウスは眉間にしわを寄せてそう呟いた。
ろくでなしだと、そう考えていたかつての息子。そんな彼を廃嫡し、その弟に期待をかけて三年の月日が経過していた。だがしかし、それによって伯爵家は窮地に陥っている。その理由とは――。
「まさか、弟のルインがここまで無能だとは……!」
――そう。
リッドがいなくなったことにより、嫡男となった弟ルイン。しかしそんな彼は、学業においても剣術においても、なにをやらせても落第としか言いようがなかった。しかも本人はそれに気付かず、自分の将来は約束されていると思い込み、ずっと遊んでばかりいる。それを目の当たりにしたアランは、一人頭を抱えていた。
「どうすれば、良い……?」
もうすぐ、次期当主決定の時期。
しかしこのまま、ルインに跡目を継がせるわけにはいかなかった。
アランは必死に回避する方法を考えるが、妙案はこれっぽっちも浮かんでこない。それどころか、思うのはあの日に廃嫡したリッドのことだった。
彼は文句ばかりで言うことを聞かなかったが、才覚には満ちていた。
とりわけ魔法剣においては、剣聖との呼び声高い講師のイアンさえも舌を巻くほど。今になって思えば、彼を一時の感情で追い出したのは間違いだった。
「くそ、どうすれば……!」
伯爵は頭を掻きむしる。
そして、ついに観念して使用人を呼び出しこう告げた。
「もう、これしかない。皆の者、リッドを捜索するのだ!」――と。
恥も外聞もない。
アランの頬には冷や汗が伝っていた。
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