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プロローグ 廃嫡、そして三年。

新作です。

応援よろしくお願いいたします。








 ――説明も面倒くさいけど、廃嫡された。



「リッド、お前はもう伯爵家に必要ない」

「………………」



 父親であるアラン・グロピウスは、額に青筋を立てながら言う。

 俺ことリッドは、由緒正しい貴族であるこの家には不要なのだと。その宣告はあまりに唐突ではあったが、そんなに驚くべき内容でもなかった。

 むしろ、今までよく俺のことを放任してきたなと思うほどだ。



「お前のように決まりを守らない愚か者、これ以上見過ごせない!」

「あぁ、はいはい。またその話か」

「また、とはなんだ! 誰のためだと思って――」

「うるせぇな。こっちは古臭い風習やマナーの押しつけに、飽き飽きしてたんだよ。廃嫡だろうが勘当だろうが、するならさっさとしやがれ」

「――! 最後まで、減らず口を!」



 俺が頭を掻きながら思ったことを返すと、親父はついに爆発した模様。

 ドンっ! と、テーブルを叩いてこう叫ぶのだった。




「いいか、リッド――貴様は今日限りで廃嫡だ! 二度とその顔見せるな!!」




 リッド・グロピウス――この時、若干十三歳。

 俺はその日、晴れて貴族のしがらみから解放され、普通のガキになった。







 ――毎日が退屈だった。

 朝起きた瞬間から、マナーやらなんやらを叩きこまれる日々。

 貴族とはかくあるべし、と。とかく古臭い風習やらマナーといった、重要性の感じられないことばかりを教えられるのだ。

 理屈の通らない形骸化したものもあった。

 こちらがそれを指摘すると、子供が口を挟むなの一点張り。



「ばっかじゃねぇの。つまらねぇ……」



 だから俺は、それらを徹底的に無視した。

 そうやって反発することで、周囲の期待値は下がり続ける。そして今日、ついに廃嫡と相成ったわけだ。これほど清々しいことは、他にないだろう。

 これで、自分の生き方は自分で決められる。


 生きるも死ぬも、自己責任。

 ただひとまず、当面の問題としては――。



「さて、どうやって退屈をしのぐか……だな」



 そうだった。

 貴族の家を追い出されたは良いものの、これからどうするか。

 何もしなければ、結局はまた退屈な日々の始まりだった。それだけは、どんなことがあっても避けなければならない。そうでないと、意味がない。

 だから、俺は考えていた。


 そして一つ、案が浮かんだのだ。



「魔法剣、極めてみるか」――と。



 それは、貴族だった時。

 唯一といっていいほどの俺の趣味であった。

 担当の講師から教わった魔法剣。それだけは、貴族のしがらみを忘れさせてくれた。教えてくれた講師も変な奴だったが、だからこそ退屈しなかったのだ。

 だったら、今はそれをまずやってみよう。



「そうと決まれば、王都の近くにあるダンジョンに潜るか」



 善は急げ。

 いや、善なのかどうかは分からない。

 むしろ無謀だろうが、退屈をしのげるなら俺にとっては正解だった。







 そうして、ダンジョンに潜る日々が始まって数年。

 来る日も来る日も、その最奥にいる魔物たちを魔法剣で切り刻む。アークデイモン、ヒュドラ、ドラゴンにレライエ。

 最初のうちこそ苦戦はした。

 だが、何年も続けていればこちらの腕も上がる。



「今日は、これくらいにしておくか」



 目の前の魔物が魔素へと還っていく。

 それを見て、俺はそう呟いた。


 ダンジョン最奥。

 ここに人がくることは、この数年で一度もなかった。

 それでも退屈しなかったのは、戦えば戦うほどに、魔法剣の力が増していく。そのことが身をもって実感できたからだった。



「…………三年、か」



 俺はふっと息をつく。

 そして、自分の手のひらを見つめて思うのだった。



「そろそろ、退屈になってきたかもな」



 ダンジョンの魔物では、物足りない。

 もっと、俺を退屈させない存在と戦いたい、と。



「だとすれば、次は――」



 俺はダンジョンの出口を目指しながら、こう口にした。





「冒険者に、なってやろう」――と。





 順序は違うが、退屈しのぎにはもってこいだ。

 そう考えて俺は王都を目指す。



 この時、十六歳。

 普通の少年リッドとして、俺は新たに一歩を踏み出した。



 


面白かった

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