世界が滅ぶ60分前
リア友との共作です!
もしも、世界が終わるとしたら皆は何をするだろう。
結婚式を上げて好きな人と過ごす。
好きなことに全てをかける。
金を全て使いきる。
まぁ、色々あるだろう。
しかし世界が終わるとわかって、僕は何をしたら良いだろう。
たった60分で何をしたら良いんだろう。
ことの始まりは一時間前のことだ。
いつも通りな生活をしていた。
そう、いつも通り。
朝起きて、飯食べて、学校行って、勉強して、部活して、バイトして、帰って飯食って寝る。
そんないつも通りな普通ぅな生活をしていた。
それは少なくとも大人になるまでは続くはずだった。
「なぁ、世界が終わるって、言われたら信じるか?」
そんなことを突然親友である奴に言われた。
「どうしたんだよ、突然」
「いやさ、もしも世界が終わるって言われたらお前信じるかなぁって」
???言ってる意味わかんない。
けどここはしっかりと答えたほうが良さそうだ。
「証拠があれば、ね。科学者とかの話ならまだまだ猶予はあるみたいだよな。少なくとも僕らの世代じゃ終わらないと思うから俺は信じないな」
「はは、そうだよな。すまん。俺ってばどんなこと聞いてるんだろうな」
そうやって、彼は苦笑した。
僕はこのときに気づいていれば何かが変わったかもしれない。
もう少し考えて、なにか出来たかもしれない。
四十分前
今日はバイトも部活もないので、親友と遊びに来ていた。
しかし、それにしてもなんでこんなに高い店を…………しかも全部おごりとか。
まぁ、高いと言っても僕らの所持金とかから考えたらだな。
大人になれば、端金になるだろうがな。
「って、言うかどんだけ買ってるだよ!?もう手に持てませんけど?」
「良いんだよ。あっ、あれも欲しかったんだよな。店員さん!これくださぁーい」
「くっ、聞いちゃいない、それにお前どんだけアニメのフィギュア買ってんの?!八割フィギュアだよな?!しかも残りの二割のうち一割はそのための道具だし!」
「こうやって、好きなキャラのフィギュアに囲まれるのが夢だったんだよなぁ」
こいつ、おかしい!色々と置いておいてもおかしい!どうした?!それに一個確か一二万したはずだよな。
それをポンポンと。
「お前も買うか?」
「…………これ下さい」
駄目だ、僕も買う。推しキャラのめっちゃ可愛いやつある。こんなに買ってるところ見ると買いたくなる。
結局三つぐらい買ってしまった。財布にダメージ………は入らなかった。
僕の素晴らしい大親友くんが奢ってくれたからだ。というか、今日のあいつはマジで気持ち悪い。いつもならこんなことないに…………
そして僕達は、帰路を歩き始めた。
これが、既に二十分前の話だった。
「なぁ……………さっきの話の続きだけどさ………………ほんとに世界、滅んだらどうする」
大好きなアニメのフィギュアを抱えた帰り道、僕の友人はまた変なことを言い出した。
「いや、だからさっきも言ったけど、科学的な証明や隕石落下とかのニュー「だから!ほんとに世界が滅ぶとしたらどうするかって聞いてるんだよ!」………………」
今日のこいつは凄く変だ。いつもなら、チャラチャラしてるのに………
「んー……………もし滅ぶなら、その前に色々したことないことをしてみたいかな?例えばだけど、札束に埋もれるとか」
「………………それは流石に無理だな」
「ま、だよね。将来大金持ちになったら出来そうな気もするけど………………って、どうしたんだよお前。ほんとに、今日のお前はおかしいよ?」
「………………なぁ、お前は信じてくれるか?今日、いや、あと少しで地球が滅ぶって言ったら」
そう言った彼の顔には、いつものチャラさなど微塵も無く、その表情は真剣そのものだった。
「……………………信じるよ。僕は、君の親友だからね。でも、なんで世界が滅ぶなんてことが分かるの?別に、お前が滅ぼそうとしてる訳じゃないんだろ」
そう言って彼の方を向くと、彼は唇を噛み締めていた。
「なぁ、俺には4歳下の妹がいるのは知ってるよな」
「まぁね。確か紗友里ちゃんだっけ?」
大人しげで、兄とは別の性格だったはずだ。
「覚えてたんだな…………そう。紗友里だよ。あいつはな、信じられないかも知れないが、未来を見ることが出来るんだよ」
「……………そう、なんだ」
「あぁ…………あいつはな、自分や家族、親しいやつの危険が分かるんだ。実際、あいつのお陰で何回か命を救われたこともあるんだ」
「それは………………凄いね」
「あぁ、あいつはめちゃくちゃ凄いやつなんだよ。でも昨日、あいつは泣いていた。誰も助からない。解決方法も分からない。みんな死んじゃう、ってな。でも、それだけじゃない。ミサイルとかなら、日本から出ればいいだろ?違うんだよ。あれは、解決方法がないんだって………………つまりは、世界が滅ぶってことじゃないか」
他人なら、僕以外なら絶対に信じない、めちゃくちゃな話。
しかしそれは、やけに僕の心に響いた。
「………………そっか。じゃあ、僕はここの別れ道でお別れだから……………………ねぇ、これが僕達の最後の会話になるかもしれないから、ずっと思ってたこと言うね?
お前、髪茶髪なの似合わないよ」
「ははっ、お前だってその長髪、似合わねぇぜ!」
僕らは、夕陽に照らされながら笑いあった。
「……………じゃあね。柚希」
「あぁ……………じゃあな。智也」
僕達は、二人を分かつような道を歩いていった。
世界終末まで、後10分
世界が終わるかぁ。
僕は先程の話を思い返していた。
信じられない、あり得ない話だった。
世界が終わってしまう……………だからあんなにも爆買いをしていたのか。
それなら僕もしたいことをするべきだろうか。
いや、でもまだ今すぐに終わる訳じゃないんだ。
気長に思い出を作っていこう。
少しでも楽しいことをしていこう。
そう決めて、僕は家に帰った。
これは間違いなく僕の人生で最大の失敗だっただろう。
だって、人生終わるんだからね。
後八分。
「ただいま」
「お帰り。もう少しでご飯出来るよ」
おっ、今日は肉じゃが?上手いんだよな、母の味。
「そういえば柚希君から電話来てたよ」
えっ?なんで僕のスマホに………って充電きれてる?
だから家に?何のようだろ?もしかしてさっきの話かな。
僕は急いでかけ直した。
「もしもし、どうしたの柚希?」
「ようやく出たな。今すぐに河川敷にこい」
(ブチッ)
「いやっ、ちょっと待っ……………切りやがった」
よくわからないけど、行った方が良さそうだ。
それにさっきの話かもしれないしね。
さくっと支度して、僕は母に一言告げて家を出た。
僕が出る頃には五分経過していた。
全てが終わるまで三分。
「来たよ、柚希」
「よしっ、じゃあ始めよう」
「いやいやいやいや、説明してくれない?!」
もう、なにがなんだかよく分からないのに、いきなり何なんだよ。
「とりあえず準備しろ!時間が無いんだ!説明書だ。二分でやれ」
「だから何なんだよ!」
「つべこべ言わずにさっさとやれ!」
この必死さは間違いなくさっきの話だ。
僕はなにもわからないまま何かの準備を始めた。
えっと、これをこうして、こっちはこれで………………出来た。
残り十秒で終わらせたぞ!
はぁっ、疲れた。
「あの、これが何なのかさっさと説明してくれないかな?」
「いいか、あと丁度六十秒後……………世界が終わる」
「へぇーー、そうなんだ………いや、えっ?」
「てことで、花火でもあげようぜ」
いやいやいやいやいやいやいや盛大におかしい!
なぜ、終わる前に花火?!それにまだ夕方よ。
何が好きで男二人で花火見て…………あぁ、でもしょうがないか。
「じゃぁ、五秒で点火するぞ」
「あぁ」
もう流されるままに話が進んでいった。
確かに、最後くらいはこういうのも良いかもしれない。
「点火」
導線を伝って火がつく。
なんだろう。
今までのことが走馬灯みたいに……………止めよう。少し恥ずかしいことが多いし。
五十秒
「言い忘れてたけどさ。この世界が終わるのをさ妹が予知したって言ったけどさ、あれ嘘な」
えっ?それじゃあ…………
「でも、世界は終わる。俺は知ってるからな」
「いや、輪廻転生でもしたのかよ」
「したよ。それより質の悪い、タイムリープを」
三十五秒
「今日の朝にさ思い出したんだよ……………恥ずかしい黒歴史を」
「へぇー、どんな?」
「そこはタイムリープについて聞いてくれね?」
「どんな?」
「例えば、好きな人に告ったら、君誰?って言われて、名前言ったら『あぁ、あのうざい人か』って言われた」
「どんまい」
「それはいいとして、何度も繰り返してきたことを思い出したんだよ……………一時間とちょっと前に」
それがあの質問か。
だから少し前に、百面相してたのか。
「いつもいつも、したいことを出来ずに終わっちまう。だから、諦めた。素直にお前とこれから起こることを見届けようと思ったんだ」
ヒュードォーン
そのタイミングで花火が打ち上がった。
十五秒
「選択肢は二つだ」
何の?とは聞かなかった。
時間がもったいない。
「一つは俺を殺すこと」
「ッッ」
つまりは柚希を殺せば解決するのか?
「もう一つは、またリープするか」
十秒。
「ならさ、僕は…………」
そのときは訪れた。
五秒
流星が、無数の流星群が降り注いだ。
「僕は―――――」
一、
ニッって二人で笑いあった。
零
世界は、きれいな、とてもきれいな、真っ白い光に包まれた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
何か、とても大事な、とてもきれいな夢を見ていた気がする。それが何かは分からない。だけど、とても素晴らしくも悲しい、そんな夢だった。
「おい!起きろ!起きろってば、智也!」
…………今日も柚希はうるさいなぁ。
「ん、んん〜〜。どうしたの?柚希」
「あ、あぁ……………えっと、だな。もし、もしも何だが………………
『世界が終わるって言われたら、お前は信じるか?』
2人で交互に書くのはかなりムズかったけど新しいものも見えました!