表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不正解な家族の作り方  作者: 花散風
解説回(父になる男の話)
3/6

高校時代編

※性行為描写があります

 具体的なものではなく、あくま主人公の性格を示すためのものとして執筆していますが 不快に思われる方は飛ばしてください。


 大丈夫だという方はそのままどうぞ。



 高校生になってコンプレックスを解消した拓実は、中学以上に活発になった。友達も増え、クラスメイトだけでなく他の教室にもたくさんの友達がいるらしい。友達が少ない俺だが、拓実の一番の友達だと胸を張れることが小さな誇りでもある。

 そんな生活を送っていたわけだが、ある時を境に変化が訪れる。


「聞いてくれよ、直人。彼女ができちゃった」


 拓実に初めての彼女。可愛らしい女の子だって言う話は噂で聞こえてきた。ただ本人からの報告はよかったなと思う気持ちが大半で、もう一つ、大事な友人をとられたようなもやもやとした気分が浮上する。


「直人もいい人いたら教えてくれよ。ダブルデートとかしよう。君と遊ぶのも楽しいんだけど、これからは彼女との時間も作りたいから。これを機に、直人も彼女作ろうぜ」


 これはもう惚気というんじゃないだろうか。彼女の話を聞くたびに、俺も恋人というものに期待と理想ができあがっていくのを感じた。



 拓実が彼女とつきあい始めてすぐ、直人も女と交際を開始する。惚れた腫れたの恋心はないものの、告白されて、悪い気はしなかった。しかも、体つきのいい女からの告白は直人の男心をくすぐったともいえる。

 拓実が人の良さからくる人気者なら、直人は成績の良さで学年中に名前が知られていた。一位常連とまではいかないが、常に成績上位者に名前が挙がっており、見るからに真面目なその態度と、適度に筋肉のついたその体つきは、人気のないと思っていた本人の意識とは裏腹に、密かな人気を誇っていたのである。


 直人の交際はとても簡素なものだった。勉強して、デートをして、両親が共働きだという彼女の家に行ってセックスも経験した。初めのうちは豊満な体つきに興奮していたが、回数を重ねるうちに性欲処理に近いものになっていたのは、相性の良さ故か。

 たまに拓実から聞く手をつないだだけでどきどきする、初めてのキスはどうしたらいいか、などといった「青春らしい交際」とは縁がなかったように思う。


 なんだかんだと体を繋げていた彼女との交際だったが、一つ明確で絶対に破ってはいけないルールがあった。それは、避妊。


「子供ができたら、その人とずっと一緒にいなきゃいけない」


 中絶や片親といった思考はそのときの二人にはなかった。彼女の唯一といってもいい少女らしい部分だったのかもしれない。

 直人は彼女から何度もその言葉を聞かされる。そして何度も聞くたびに強く心に刻まれるのだ。



 一方で健全な交際を行っていた拓実は、実に高校生らしく。春の終わりに涙していた。


「拓実君は楽しいけど、みんなに優しいから悲しい。私はそれに耐えられないの、ごめんさい」


 別れの言葉はそうだったと、カラオケボックスでコーラを飲みながら男泣き。かわいそうだと思う気持ちと、彼女と別れたという事実への僅かな安心。なぜ安心したのかはわからなかったが、目の前で泣く拓実にを慰める役目は譲りたくなかった。

 直人自身も、彼女との交際は楽しくなかったからなのか。日が経つにつれ付き合う行為に疲れを見せるようになった。毎日の対応がおざなりになり、ついに三年生の夏に振られた。直人自身は清々したというのが本音だったが、君も振られてしまったんだな、と残念会を開く拓実の好意を無碍にできなかった。振られた男たちの残念会は、それは盛大に行われた。


 しかし高校三年生といえばやっぱり受験。理系の方面に進む直人と、商業系に進む拓実の将来はここで同じ道を辿れなくなる。だが二人の間には、目指す方向が違っていても、永遠の仲だろうという雰囲気が流れていた。

 結局大学は別のところに行くことに。卒業証書を持って校門をくぐるのは何とも感慨深いものがある。


「僕たちが通う大学はそんなに遠くもない、しかもお互い一人暮らしだろ。これらかも仲良くしてくれなきゃ、悲しいからな」


「拓実、泣くか」


「泣くわけ、いや、卒業式だもんな、涙を流してなんぼだろ」


「それもそうだな」


 流れた拓実の涙はとても美しく見えた。二人はこれから大学生。自由な時間と、自立した生活、遊びと勉強。全てが本格化していく未来が幕を開ける。




 何度でも申し上げますが、この作品は未成年の性行為を推奨するものではありません。


 創作物であることをご理解の上、お読みいただけると幸いです。


 しつこい注意書き、申し訳ありません。

 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 作品はまだ続きますので、どうぞ「不正解な家族の作り方」をお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ