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prologue
少女の目の前で騎士が死んだ。
少女の涙が一滴こぼれ落ちるたびにまた騎士が一人死んだ。
少女は「死」は何なのかを改めて知った。
自分の目の前で無慈悲に殺されていく「人間」という生き物。
まるで、ゲームをしているかのように人間を殺していく「化け物」という存在。
少女の目には「絶望」が映し出されていた。
少女の周りにいた人間が次々と死んでいく。
逃げる隙などない。ただ死を待つだけである。
少女は殺されるという恐怖より生きたいという願望が勝った。
しかし願いはーー
少女の涙が枯れた。
化け物そのものが闇に包まれ、姿が見えない。
だが、着実に近づいて来ているのが少女にはわかった。
少女の目が闇で染まる。
「死ぬ……の……?」
暗闇の中、僅かに光る少女の希望が絶望へと変わった。
化け物だ。
おぞましい姿を少女は見た。
人間の肉体で出来上がった右半身。それに比べて、漆黒の闇を纏った肉一つない白骨化した左半身。
少女は生きている実感がわかなかった。
化け物が少女に手を差し伸べる。
なぜか恐怖がなくなり、少女も手をーー