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3.クラスメイトのステータスを見たけど

敦と学校に向かう道すがら、何人かの通行人のステータスを見ることに成功した。

名前や年齢、職業あたりは誰でも見れるのだが、特技や属性のようなもののレベル(もう特技・属性レベルとでも呼ぶか)の項目が信頼度不足で一部伏せられていたりしていた。

親しくないとやっぱり開示される情報は少ないようだ。

俺への信頼度とかも見知らぬ人では、そもそも表示されなかったりということも分かった。


さて、俺と敦の教室2-Dに着いたが、熟女好きのステータスのせいで余計な道草を食っていたため、遅刻まであと10分切っているところだった。危ない危ない。


「きゃっ!?」

「おっと」


教室のドアを通ろうとしたらうっかり人にぶつかってしまった。


「あ、ごめんなさいって……なんだ高瀬か」

「なんだとはなんだよ……」


『ポッ』

=================

原田 杏香(きょうか)

年齢:16

職業:高校生

- 女子高校生 Lv. 26

- 貧乳センサー Lv. 71

- バレーボール Lv. 6

- 料理 Lv. -24

=================


クラスメイトの原田杏香だった。(あつし)と同様、こいつも突飛なステータスをしている。

特技・属性レベルがマイナス表示されている料理も気になるし、もはや意味のわからない『貧乳センサー』という項目もある。

なんでこの貧乳センサーのレベルだけ馬鹿みたいに高いんだ?

ちなみに、原田自体は、貧乳オブザ貧乳である。


「たかせぇ……今、私に対して失礼なこと考えたよねぇ……?いっぺん死んでみる?」

「No, thank you」


あまりの恐怖で錯乱して流暢な英語を使っちまった。

こいつ、貧乳と言われることに対してすげぇ敏感なんだよなぁ……。

ん? 貧乳センサーってそういうことか?


『シュッ』

=================

原田 杏香

- 貧乳センサー Lv. 71

・貧乳コンプレックスを極めて限られた者のみが使える異能

・貧乳と揶揄してくる者の思考を完全に察知することが可能

・視界に入る全ての人間の中から自らと同胞である貧乳所持者を一瞬で探知可能

・視界に入る全ての人間の中から『巨乳』またはその愛好家も同時に索敵可能

=================


「Oh……」


こいつ、俺のステータス表示能力よりも遥かにすごい能力を使えているんじゃないか?

もうこれ人間じゃないだろ? どう貧乳コンプレックスをこじらせたらこうなるんだ?

これ、ステータス表示能力さんの悪ふざけとかですよね?

なんか、書き方も若干中二病くさいし。


「高瀬……あんまり変なこと考えない方が良いよ?なんか憎悪が湧いてくるんだよね?」

「ひい!?」


あれ、原田がなんか悪魔の化身みたいに見えてきたんですけど!?

やっぱこいつ何かの能力者か何かでしょ、もう! 怖えよ、この貧n


ザクッ!

俺の頬の横を高速で何かが通り過ぎ、廊下の壁に突き刺さった。

え? あれ、ボールペン...…ですよね? もはや、暗器じゃん!


「今、脳内で『n』の文字の後、なんて考えようとした?」


やべえよ! 本当に思考を読んでんじゃん! あいつ、人間やめてるぞぉ、ジョジョォ!


「今度同じこと考えようとしたら次は当て……」

「ん? ユーキ、そんなに怯えてどうしたんだ?」

「ああああああ、敦くん!?」


原田のh……身体的特徴以外の分かりやすい特徴がそう、与田敦のことが大好きなことだ。


「おー、原田ー。おはようー」

「あ、敦くん! ごごご、ご機嫌麗しゅう!」

「今日も原田は元気だなぁ」


原田、テンパりすぎだろ……。そいつただの熟女好きだぞ?

原田は露骨なぐらい敦LOVEだが、その一方で、敦も敦で原田の好意にまるで気づいていないことを皆よく知っている。

ていうか本当に気づいてないのか?

実は気づいてて無視しているとかじゃないだろうな?

確かめてみるか。


『ポッ』

=================

与田 敦

現在の心境:ユーキと原田は今日も仲良しで良いことだなぁ。

さて、1時間目は世界史だったな。衣崎(きぬさき)先生も良いよなぁ。

=================


原田の気持ちに全く気づいていないことに加えて、俺と原田の関係を変に誤解し、その上で衣崎先生(46歳・女性)のことを考えていた。

もうこいつダメだ。熟女好きの朴念仁とかなんなのさ。

この朝の1時間足らずの内に、俺の中で小学校以来の友人の評価は底値に達しそうだった。


ゆっくりと自分の席に向かう敦、いや熟女好き朴念仁を、原田は熱に浮かされたように見つめていた。

こっちもこっちで病気だ。もはやステータスを見なくても分かりそうだが、心境を見てみるか。


『ポッ』

=================

原田 杏香

現在の心境:敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん敦くん

=================


「怖えええええええええ!?」


本当に病気だよこいつ! 俺にしかステータスは見えてないけど思わず声に出ちゃったじゃん!

やべえもんを見ちまったよ! 寝れなくなりそうだから記憶から消したいレベル!


「ユーキ、大丈夫か? 今日、変だぜ?」


思わず大声を出した俺を敦が気遣ってくれた。

嬉しいが俺の精神がおかしくなっている原因の一端はお前だぞ。


「タカセ、ジャマァ……!」


ほら、お前と会話したせいで女性の口から発せられたとは思えない低音が俺を呪っているじゃないか。

きっと、原田の俺に対する評価は


『シュッ』

=================

原田 杏香

結樹への評価:ゴミ、邪魔、燃やす

- 好感度  2

- 信頼度 11

=================


まったく、ひどいもんですよ。ていうか結菜といい、なんで俺を燃やしたがるの?

そういや、原田の敦に対する評価って見えるのかな?好感度100とか出るんじゃない?


『シュッ』

=================

原田 杏香

結樹への評価:生ゴミ、燃やす、埋める

- 好感度  2

- 信頼度 11

=================


うーむ、どうやら俺以外の人への評価は出ないようだ。

それにしても、原田の中で、どうやら俺が生モノであることに気づいて『生ゴミ』にした上で、燃やした後の具体的な処理方法まで考えたようだ。

まず、燃やすのをやめてもらえないだろうか?


キーンコーンカーンコーン

と、ここでチャイムが鳴り、1時限目の世界史担当の衣崎先生(46歳・女性)が入ってきた。

さて、ここで改めて敦の心境を見てみましょう。


『ポッ』

=================

与田 敦

現在の心境:ふぅ……良き。

=================


はい、ダメだこりゃ。


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