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1.能力に目覚めたけど


いつも通りの朝だった。

俺、高瀬結樹(ゆうき)は、けたたましく鳴る目覚まし時計を止め、あと5分だけ眠ろうとしているところだった。

いつもと違ったのは、母親に俺を起こすように言われて嫌々顔で部屋に入ってきた妹を見た時だった。


「バカ兄貴ー、いい加減起きろってさー」


脱力気味に言う妹のすぐ近くにまるでゲームのように枠が『ポッ』と小さな効果音付きで現れ、こう書かれていた。


=================

高瀬 結菜(ゆいな)

年齢:14

職業:中学生

- 女子中学生 Lv. 32

- お菓子作り Lv. 8

- アニメオタク Lv. 6

=================


「なんだこりゃ……?」


俺の身に突然他人のステータスを見ることができる特殊能力がついた瞬間であった。


「いや、人の顔見て、いきなり『なんだこりゃ』はないでしょうが……」

「え、あ、いや、すまん」


確かに結菜には失礼だったが、正直それどころではない。本当になんだこれは。とりあえず結菜から目線を替えようとしたら、頭の中で小さな『シュッ』という効果音付きでステータスが切り替わった。


=================

高瀬 結菜

- 体力 16

- 知力 24

- 魅力 26

- 品性 18

- 精神 17

- 幸運  3

=================


「うおお!?」


なんか色々出たな!?さっきの職業の下にあったレベルといい、数値の基準を知らないから良く分からないが、本格的にRPGとかのステータス画面みたいだな。それにしても相対的に幸運が低すぎないか、こいつ?


「さっきからなんなのよ? 本格的にバカになった?」


麗しの兄に向かって放たれる言葉とは思えないことにツッコミを入れたいが突然のステータス画面の登場による驚きで言葉がすぐに出てこない。それでも詰まりながらも一応、返答する。流石にバカ扱いのまま放置するわけにはいかない。


「……お前は兄をなんだと思っているんだ」

「だからバカだと言ってるじゃない……」


その時、再びステータス画面が切り替わる。

『シュッ』

=================

高瀬 結菜

結樹への評価:基本的に使えない

- 好感度 5

- 信頼度 46

=================


「おっま、失礼すぎだろ!?」

「うるさっ、大袈裟に反応しすぎ!」

「あ、いや、すまん」


思わず大声でステータス画面にツッコんでしまった。

でも、兄を『使える』・『使えない』で評価するのは流石におかしいだろ!?

それから、評価の下は俺に対する好感度と信頼度ってことで良いのだろうか?

一応、家族だからか信頼度は高いんだな。好感度は明らかに低そうだけど……。

こういう特殊能力に目覚める系の男の妹って、兄のことを好きでしょうがないのが相場じゃないの?

ちょっと悲しいぜ……。


「挙動不審もいい加減にしてよね。さっさと下に降りてきて」

「分かったよ」


結菜の普段通りの挙動から察するに、結菜は俺がステータス画面を見えていることに気づいていないし、結菜もステータスが見えるようになったとかそういうことでもなさそうだ。

それにしても、このステータス画面の表示内容って信用していいのか?

どういう基準でステータスが評価されているんだよ。


「あ、私は生徒会で早めに学校行くし、今日はママもすぐに出かけるみたいだから、もし二度寝でもしたら誰も起こしてくれないよ」

「はいはい」


父さんのことを言わないってことは、いつも通り早朝出勤か。相変わらずブラックだな。

ちなみに、結菜はこれでいて中学の生徒会副会長。中学も今いる高校ともに、帰宅部の俺よりは学園生活を謳歌している方だよな。


『シュッ』

また頭の中で小さな効果音がしてステータス画面が更新された。

=================

高瀬 結菜

現在の心境:はぁ……このゴミ兄貴、燃えないかな……。

=================


「俺、燃えるゴミ扱い!?」

「ひょえ!?あたし、口に出てた!?」


またも大声でステータス画面にツッコむ。

現在の心境とかも出るのか……。『これってステータスなのか?』と疑問に思わなくはないが、それよりこの妹何考えてやがるんだ!?

とりあえず好感度5が低い値というのは間違いなさそうですねぇ!


「え、あー、き、聞こえた! 確かに聞こえた! お前、この偉大なる兄に何言ってくれてんじゃ!」


本当はステータス画面を見ただけだが、『お前の心境はこのステータス画面でゴリっとお見通しだ!』とは言えないし、とりあえず結菜を責め立てる!


「うっそ、そんな……。あー、いや、その、ご、ごめんね?」

「そ、そんな謝罪で、す、済むと思っているのかぁ!」


責める側も責められる側も焦っているという謎の状況である。


「あー、流石に燃えるゴミだとか思ってないよ? ほら、骨とか残っちゃうし?」

「それ、完全に火葬してんじゃねえか!?」

「ほらほらー、朝食用意してあるから、さっさと下に降りなよー。じゃあねー」

「おい、逃げるなぁ!」


結菜を追って1階の玄関先まで行ったが、結局、結菜はささっと学校に向かっていってしまった。

逃げ足の速いやつだ……。


「あら、結樹? 起きた?」

「あぁ、うん、おはよう」


『ポッ』

=================

高瀬 菜美(なみ)

年齢:42

職業1:主婦

職業2:ミ●タードーナツ店員

- 主婦 Lv. 15

- お菓子作り Lv. 61

- 家族愛 Lv. 75

- スナイパー Lv. 28

=================


母さんのステータスも出現した。どうやら本当にこのよく分からない能力に目覚めてしまったようだな……。

それにしても、母さんのステータスも色々とツッコミどころが多いなぁ!?

スナイパーってのは恐らく母さんが学生時代から引き続いている趣味の弓道やクレー射撃のせいだとは思うが、本職の主婦がそのレベル以下なのは問題では……?


「どうしたの?そんなに顔をジロジロ見て?」

「ん、なんでもない」ジロジロ見ていたのは、顔の近くのステータス画面です。


「もしかして、母さんからラブ・アロー欲しくなっちゃった?」

「いらねえよ! ていうか、なんだよラブ・アローって!? プリ●ュアかよ!?」

「えー、お父さんは喜んで受け取ってくれるのに……」

「なにやってんだよ、うちの両親は!?」


これが家族愛 Lv. 75か……。確かに母さんはうちの家族全員にゲロ甘なんだよなぁ……。

でも正直、受け取る側にきつい。

あと、ステータスに『ネーミングセンス Lv. 0』を書き足してあげたい。


「はぁ……結樹に構いたいのはやまやま何だけど、これから早めにお仕事なのよね……」

「戸締まりしておくから、さっさと行ってくれ……」

「冷たいなぁーもうー」


親子の会話は疲れるぜ……。


母さんも仕事に出て行って、ようやく一旦落ち着いた(ちなみに母さんは出るときに俺に行ってきますのキスをせがんだが、俺は無表情のままを扉を閉めた)。

理屈はよく分からんが、ステータス画面を見ることができるという特殊能力をとりあえず手にしたのは間違いないようだ。

ふむ、特殊能力か。悪くない。これを使って、色んなことをしてやるぜ!


…………あれ? 色んなって、ステータス画面を見ることで具体的に何ができるようになるんだ?




とりあえず書いてみた初投稿作品。

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