リビング出入り禁止
リビングにはテレビがある。普通にある。型が古くなってきたので買い換えた。一緒に住む人たちは使い方が変わるとわからなくなるかもしれないから、同じメーカーで同じリモコンのものを選び購入した。喜んでもらえると思ったが、これも大きな勘違い・大きな思い上がりでしかなかった。
ものが届いて設置をした時の義母の第一声
「怖い・恐ろしい」
画面が大きくなったからなのだろうか。使い方が変わることへの不安なのだろうか。それとも地震などで倒れてくるかもしれないことへの不安なのだろうか。その一言だけだと私にはわからない。
「しょうがないじゃない年寄りなんだからそんなもんよ」
リビングでテレビを観る。普通のことだと思う。
それが許されなくなった。
前回の話で登場人物の数が合わないのは、ここに紹介する姪がいたからだ。
現在二十一歳だっけかな。音大に通う義兄の娘。5人兄弟の3番目の子。女の子。
その子が居候している。私も今は居候だけれども。
ここの家は作りが古いので少々妙な間取りだ。リビングに隣接し洗面所がありその奥がバスルームになっており、洗面所が脱衣所を兼ねる作りになっている。リビングと脱衣所はガラス張りの引き戸で磨りガラスの向こう側がレースのカーテンで仕切られている。リビングにいてもその中が見えることはない。
その姪が風呂に入る時私はリビングを追い出される。テレビを観ていても関係なく追い出される。姪に追い出されるのではなく妻に追い出される。気を遣いなさいよと追い出される。のんびりと映画でも観るなんてことはありえない状態になった。