表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

繋がり

始業式が終わり、今日は午前中で終わりだったので、美咲との約束通り玄関で待っていた。

少し時間がたってから美咲が来た。


「ごめんなさい!クラスの子と色々話してて遅くなりました!」


急いで来た様子の美咲は、着いたと同時にそう言った。


「いいよ、編入初日はそうなるだろ」


「すごい質問攻めにあいました…」


すごく疲れた様子で言う美咲の様子を見ると、

その光景が目に浮かんだ。


「まぁ、ハブられるよりはいいだろ」


「そうですけど、疲れます」


「少したったら落ち着くから我慢してやれよ」


「そうですね、誰だってこんな美女が編入してきたらテンションあがっちゃいますよねっ♪」


「自分で言ってんじゃねぇよ」


「おっ、否定しないって事は先輩もそお思ってるってことですか?」


「…… お前いつかほんとにハブられるぞ」


そんな話をしながら俺達は学校を後にした。


そーいえば、俺は今日の行き先をしらないと思ったので聞いてみることにした。


「そういえば、今日どこにいくんだ?」


「散歩だから場所は決めてません。

久しぶりに帰って来たので、街を見て回りたかったんです」


「なるほどな、じゃあ適当にぶらつくか」


「はいっ!

ちゃんとエスコートしてくださいねっ♪」


とてもきれいな笑顔でゆーから、少しドキッとしてしまった。


「俺がするのかよ」


「当然です!私は帰ってきたばかりで、何も分からないんですから」


「お前がいた頃とほとんど変わってないとおもうけど」


「まぁちっちゃいことはいいじゃないですかぁ」


「はやくいきましょっ♪」


そう言いながら、美咲は俺の手を引っ張って小走りする 。

俺は

「分かったから走るなよ」

と、言いながらも美咲についていく。




散歩しながらも他愛もない話をしていた。

てゆうか、会話の方がメインになりつつある。

まあ、楽しいからいいのだが


「こうしていると私達恋人同士に見えますかね?」


突然、美咲がこんな事を言い出した。

俺もそーかもしれないと思ったが、恥ずかしかったので茶化すことにする。


「せいぜい兄と妹だろ」


「あ、私のこと子供扱いしてるでしょ?」


「え、違うのか?」


「ちがいますぅ!私だって立派な大人な女性ですよっ!」


「大人な女性は自分から言わないと思うぞ」


「先輩が子供扱いするからです」


ちょっと不貞腐れたように言うのでここで辞めることにした。

充分イジって満足したとかでは決してないと言っておこう。


「はいはい、わるかったよ」


「むぅ〜、絶対思ってないですよね」


「思ってるって」


「ほんとに私だって大人になったんですから おっぱいだって結構おっきくなったんですからね」


そう言って、美咲は自分の胸を触り出す。


「なに言ってんだよ」


見てるこっちが恥ずかしかったので、適当に返すと

美咲は、隙を見つけたかのように反撃してくる。


「あれぇ〜、この年になっておっぱいで恥ずかしがってるんですかぁ〜?

これ位は大人なら普通ですよ?」


「うるせーよ、このビッチが」


「なっ!私ビッチじゃないですよっ!

まだ処女ですよ!てか、付き合ったことすらないですよ!」


ちょっとからかうつもりが予想外のことを言い出してしまった。


「いや、そこまで言わなくてもいいぞ」


「先輩がビッチとか言うからですよっ!」




そんな会話をしながら歩いていると俺達はある公園についていた。 俺達にとっては思い出の公園だ。


「先輩、ここ 懐かしいですね」


「そうだな」


ここは、俺達が初めて会った所だ。

そして、練習のない日は毎日のようにサッカーをしていた所だ。


俺は、サッカーに関わる所にはいたくなかったので、すぐに歩きだそうとしたが


「待ってください、少し話があります」


美咲の言葉によって止められてしまう。

美咲は、さっきまでとは違い、とても真面目な表情だった。


俺は、この時すでにサッカーの話だろうと予想していた。 あの時諦めてくれたと思っていたが、そうではなかったようだ。

聞きたくなかったが、聞かない訳にはいかないので、無言で美咲に向き合い話をすることにした。


「先輩、やっぱり私とサッカーしてください」


予想は的中していたが予想外だった。

まさかまた、サッカーしようと言われるとは思ってもみなかった。

俺の気持ちは考えてないのかと思った。


俺は流石に頭にきて、何か言おうとするが

美咲の言葉により遮られる。


「サッカー出来ないのはわかってます!

でも、選手としてが無理でも監督やコーチとしてならサッカーに関われると思うんです」


泣きそうになりながら言う美咲を見て怒りが冷める。


美咲が俺の気持ちを考えて無いはずが無い。

考えた上で、俺にサッカーから離れて欲しくないと思い、こうして覚悟を決めて話をしてくれているのだ。


しかし、監督やコーチという道は自分でも考えた。

考えたが、俺はサッカーをしているのを見ると

なんで自分は出来ないんだ、という身勝手な嫉妬心をいだいてしまうのだ。


「それは俺も考えたが今の俺はサッカーをしているのを見ても選手に嫉妬するだけだ

だからそれはできない」


そう言った時、美咲はとても悲しそうな顔をした。

そして


「そうですか」

と、だけ俯いて呟いた。


そして少しの間が空いた。

俺から何か言おうか迷ったが、美咲の言葉を待つことにした。


そして、意を決したかのように俺の目を見ると


「それでも、私は先輩とサッカーがしたい!

先輩にサッカーから離れないでほしい!」


と、言った


俺には、何で美咲がそこまで俺がサッカーに関わっていて欲しいと思うのか分からなかった。


「なんでお前はそこまでするんだ?

なんで、俺にサッカーから離れないでほしいと思うんだ」


「だって、私と先輩はサッカーを通して出会ったから、 サッカーを通して仲良くなったから…


だから、先輩がサッカーから離れたら、私との繋がりが無くなっちゃう!

サッカーは、私と先輩の唯一の繋がりだから!」


そう言って、美咲は遂に泣き出してしまった。


そして、俺は美咲の気持ちを理解した。

美咲は、俺がサッカーから離れるという事はサッカーをしている美咲自身とも離れると思ったのだ。

美咲の言うように、サッカーを通して出会い、サッカーを通して仲良くなった俺達だ。

少なくとも、昔の様な関係にはもどれないと考えるはずだ。

だから、美咲は俺がサッカーから離れるのを拒んだのだ。


そして、俺は自分を問いただす。美咲を放っておけるのかと

答えはすでに出ていた。


絶対にダメだ

そんなことはあってはならない


そう考えていると、不意に俺は思いだした。


桜の下で見た美咲の笑顔を


満開の桜のようなあの笑顔を


俺の退屈な日常を、変えてくれそうだと思った、あの笑顔を



そして、俺は決心した

サッカーから離れない事を

自分のためじゃなく美咲のために、どんな形であれサッカーを続けるということを


「わかったよ、サッカー続けるよ」


美咲は驚いた様に目を見開いた。


「…ほんとですか?」


「あぁ、本当だ」


「もう、サッカーから離れるとか言いませんか?」


「あぁ、言わない」


そう言い終わる前に、美咲は俺に抱きついてきた。

また美咲は泣いていた。

でも、今度の涙は嬉し泣きだった。




美咲が泣き止み終わると、2人でベンチに座った。


そして、今度は俺から話すことにした。


「てか、俺との繋がりがサッカーだけとか言うなよな、友達ってゆう繋がりもあるだろ」


「でも、それもサッカーを通してできた繋がりだから」


「まあ、そうだけどさ 俺はお前から離れたりしねぇよ」


少し間を置いて、ある事を俺は決意する。

これは、失敗すれば美咲との全ての繋がりが切れるかもしれない

でも、成功しても美咲との繋がりが1つ増えるだけ

そんな賭けだ。


それでも、俺は成功することを願って賭ける。

ただ1つの繋がりを増やすために。


「もしお前がそれでも不安って言うなら

俺はお前と『恋人』っていう繋がりを作ってもいいぞ」


喉がカラカラに乾いた。

美咲の顔を見るのが怖かった。

一秒がものすごく長く感じた。


そして、勇気を出して美咲の方を見ると

また泣いていた。

そして


「そうですね、その繋がりがあれば安心できるのでお願いしてもいいですか?」


美咲は、そう言った。


俺は喜びの余り頭が真っ白になった。

でも


「おう、任しとけ」


と、だけ言って大声で泣く美咲を抱きしめた。



こうして、俺はサッカーを続けることとなり

美咲と付き合うことになったのだった。



今回でかなり話が進みました!

自分的には1番よかったかなとおもいます

皆さんはどーでしたか?


まだ続くのでこれからも読んでくね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ