昔の2人
(気まずい…)
おれは今、美咲と一緒に高校へ向かっている。
あんなシリアスな話をした後だ、もちろん2人の間に会話はほとんどない。
それなのに、何故一緒に行っているのか
理由は簡単だ。美咲が編入したのは、俺の通う桜花高校だったからだ。
美咲との再開を果たした後、俺は美咲を慰めて
泣き止むのを待ったあと
「じゃあ、俺は高校へ行くから」
と、言って美咲とわかれようとした。
しかし、美咲は
「あ、私も行くんで 一緒に行きましょう」
と言った。
俺は、初め何を言っているのか分からなかった。
しかし、あることに気が付く。
美咲の着ている制服は、毎日のように見ている
俺の通う高校の制服だったのだ。
「お前、桜高だったの!?」
「はい、気付いてなかったんですか?」
「気付いてねぇよ! 言えよ!」
「制服着てるから気付いてると思ってました。
てか、普通気付きますよ」
確かに普通は気付くと思い、これ以上は墓穴を掘ることになると思い、辞めておくことにした。
「まぁ、それなら行こうぜ」
「はい」
ここで、会話がおわってしまう。
そして、今に至る。
(めっちゃ気まずい)
さっきはノリで話せたが、いざ話をしようと思うと、何を話していいか分からない。
普通なら、留学について聞くべきだが
さっきした話を考えると、サッカーの話はしない方がいいと思った。
だから何を話そうか迷っていると、美咲の方から話掛けてきた。
「先輩は私がいない間、どうしてましたか?」
藪から棒な質問だったが、正直ありがたかった。
あの空気を耐えれるほど、俺の神経は図太くない。
この質問は、空気の悪さを感じ取って、美咲なりに気を使ってくれたのかもしれない。
「うーん、普通の生活かな
学校行って、帰って友達と遊ぶか、ゲームしたり
マンガ読んだりして、気付いたら2年経ってて、
美咲が帰って来たって感じ」
我ながら気のきかない返事だと思う。
気を使ってくれたのに、これじゃまた、会話が途切れてもおかしくない。
しかし
「勉強はちゃんとしてるんですか?」
と、また質問を投げかけてくれる。
だが、この質問はあまり考えたくない事だったので、冗談で誤魔化すことにする。
「俺みたいな天才は、勉強なんてしなくてもできる んだよ」
しかし、美咲は悪戯っ子のような笑顔をすると
「天才な人は、数学のテストで2点なんて取らないと思いますけど」
と言ってきた。
「なんでまだ覚えてんだよ! 小4の時の話だぞ!」
おれは、小4の時に、数学で2点をとってしまい
そのテストを、家の引き出しの中に隠しているたのだが、 美咲が遊びに来た時に、見つかったのだ。
美咲は、今になってその話を蒸し返してくるのだ。
「わすれるわけないじゃないですかぁ〜
先輩のあの時の焦りようは、今になっても笑えてきますよ」
「うるせぇよ」
「あ、でも2点とかとろうと思ってもとれないから、ある意味天才かもしれませんね」
「バカにしてんだろ!」
さっきまでの雰囲気が嘘のように
2人は楽しい雰囲気になっていた。
美咲は、さっきまで泣いていたのが、嘘のように笑顔になっていた。
俺も、口では怒っている風に言っているが
口元は笑顔になっていたと思う。
昔の2人に戻った様だと思った。
しかし、そんな楽しい時間も終わりが来る訳で
学校に着くと、2人は学年が違うから、教室がある階が違うのでわかれることになる。
「じゃあ、3年の教室こっちだから」
と、言い 教室に向かおうとする。
すると、美咲が
「せんぱいっ、今日の放課後、一緒に散歩しませんか?」
と、言ってきた。
俺は少々驚いたが、断る理由はなかったので
「いいぞ、それじゃ終わったら玄関で待ってるから」
と、言った。
美咲は、それを聞くと
「わかりました!それじゃ終わったらすぐ行きますねっ♪」
と、言い駆け足で教室へ向かって行った。
なぜ散歩に行くんだろうと思ったが、特に気にしなくていいかと思い考えるのをやめた。
そして、俺も教室へと向かったが、この時の足取りはとても軽く緩んだ顔をしていたが
自分では気付いていなかった。
この時には、もう朝のシリアスな会話のことなど、まったく覚えていなかった。
3話目書き終わりました!
誰も見てないけど小説書くのが楽しくて毎日書いてしまってるw
なんか今の所面白味がない気もしますが楽しいので書き続けたいと思います!
これからも上手くなれるように頑張ります!