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最悪の再会

「なんで…… なんでなんですか……

なんで先輩が、サッカーできなくならなきゃいけ

ないんですか……」


サッカーをしようと言われ断った後に、事情を説明すると、美咲は泣き出してしまった。


おれは、サッカーができなくなってしまったのだ。

試合中の接触により左膝を怪我してしまい、医者に、サッカーは諦めた方がいいと言われているのだ。


さっきまでの笑顔が嘘の様に、美咲の大きな瞳から、涙がこぼれ落ちてくる。


「お前が泣くことじゃねぇよ

それに、おれはサッカーできなくなったこと

もう、何とも思ってないから泣くなよ」


胸がチクっと痛んだが、気にしないことにした、が


「嘘です、先輩がサッカーを何とも思ってないわ

けない 諦めれるわけない」


自分は騙せたとしても、美咲にはお見通しだったようで、すぐに否定されてしまう。


自分でも分かっていた 。俺はサッカーがしたい。

誰よりもサッカーが好きだ。


だが、出来なくなってしまったのは現実だ。

どんなにサッカーをしたいと思っても出来ない。

どんなにサッカーが好きでも出来ない。

これは紛れもなく現実なのだ。


それならどうするべきか

それは、自分を騙し 、周りに嘘をつき

サッカーから離れて、サッカーの事を忘れた方が幸せだと俺は思う。


だから、俺は嘘をつき続けた。


「2年も合わなかったら人は変わるんだよ

たしかに、前はサッカーが好きだったが日本代表

になってから、楽しいと思わなくなっていた

だから、ケガをしてなくてもいつか自分から辞

めてたよ」


俺の言葉を聞いた美咲は、一瞬驚いた顔をした

しかし、俺の目を見ると美咲は


「じゃあ、なんで先輩はそんなに悲しそうな顔を

してるんですか」

と言った。


言われて始めて気付いた 。

自分が、今とても悲しそうな顔をしていることを


桜を撮るために出したスマホの画面に映る俺の顔は 、どこか諦めたような 、そして、何かを思い出しているような、とても悲しい顔をしていた。


何か言い訳をしないと と、考えるがまったくいい案が思い浮かばない。

理由はわかっている。

自分を騙すことができなくなっているからだ。


だが、ここでサッカーを諦めるのを諦める訳にはいかない。

諦めてしまえば、サッカーがしたいのに出来ないから、毎日つらい思いをすることになる。

だから 、せめて絞り出したような声で


「そんな事ねぇよ」

と、だけ言う


しかし

「先輩 、目を逸らさずにちゃんと言ってください

それに…

その言葉は、自分の本心だと言えますか?

自分の心を騙していないと言えますか?」

と言ってきた。


その時 、俺は気付いた。

美咲の前では、嘘はつけないということを。

自分を騙すことすらできないということを。



だから、俺は決心した。

本心を話すことを。

その上で、サッカーを諦めるということを。


「そうだな、確かにこれは、俺の本心じゃないし

自分の心を騙している。

おれは、サッカーがしたい。

誰よりもサッカーが好きだと思っている。


でも、その思いは今の俺にとってはつらいだけだ。

だがら、諦める努力をしてる。

自分を騙して、周りに嘘をついている。


どんなにサッカーをしたいと思っても、サッカー

が出来るようになる訳じゃないからな」


この言葉を聞いた時 美咲は言葉を失っていた。

美咲が何を考えているかは分からない。


だが 、俺は言葉を紡ぐ。

美咲にも、サッカーを諦めることを認めてもらうために。

美咲にとって、つらい言葉だとわかった上で


「これで満足か?

お前が俺に言わせたかったことは聞けたか?」


この言葉を聞いた瞬間 、美咲は固まった。

自分のしようとしていたことが、

俺にとって、つらい事でしかないと気付いたからだ。

俺が何も考えずに 、行動せずに 、苦しまずに

サッカーを諦める訳がないと気付いたからだ。


そして、美咲は再び


「ごめんなさい…… ごめんなさい……」


と、言いながら泣き出してしまった。


俺は、これで美咲も諦めてくれるだろと思い


「別に怒ってはないから

分かってくれたならそれでいいから」


と、言い 俺の言葉で心を痛めている美咲を

慰めることにした。


そして、その時思った。

これで俺がサッカーに関わることは一生ないだろうと



こうして、俺たちの最高の再会は

最悪の形で幕を閉じた。



二話書き終わりました!

いかがでしたか?

楽しんでもらえていたらうれしいです


これからどんどん面白くしていこうと思うので

これからも読んでくれるとうれしいです!

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