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BOSS!!   作者: 桜花
7/19

ヴェルデ日本基地

9/11 本文を編集しました


 ヴェルデファミリーの日本基地は、とあるビルだった。決して大きくはないが、小さくもない。一階では、イタリア風のおしゃれな小物を売っているらしい。階段から2階に上がり、中に入ると、マンションのように、いくつか部屋があった。4つある。

「どの部屋?」

「全部。ビルごとヴェルデのもの。3階に上がるぞ」

私の問いかけに、風間くんが答えた。

「3階?」

「隠し階段がある」

「なんか、本格的だな」

 のんきに陽太が言って、風間くんに一言で流される。

「当たり前だろ」

 ……ですよね。



 風間くんが、本棚から説明しながら本を何冊か引き抜くと、カチリと音がした。

「からくりで、一定の順番に本を抜くと、鍵が開くようになってるんだ」

「なるほど、重さで認識するのかぁ……」

「一回で見抜いたのか!?」

 私のつぶやきを拾った風間くんがびっくりして固まり、私のそれを見慣れている陽太は、かまわず本棚をずらし、階段に足をかける。

 慌ててついてくる風間くんに一言。

「な、真希はすげーだろ」

「ああ。さすがは我らがボス」

 ……勝手に言ってろ!!



 階段の先には、広い部屋があって、いくつかドアがある。そして、白いティーシャツにジーパンだけという、ラフな格好の男の人が、ソファーに座っていた。茶髪がかった髪を、比較的長く伸ばしていた。耳が隠れるくらい、量もある。

『よう、リディオ……と?』

『おい、アロンツォ。ボスの前だ、礼儀正しくしろ。……つーか、正装くらいしておけって言わなかったか?』

『言われたけどよ、リディオのことだから、今日じゃないと思ってた』

『バカ!!』

 しばらく、私には意味不明な会話が続く。時折舌を巻く聞き慣れない発音。……イタリア語?

「あの……」

『そういうことだから、とりあえず、あいさつしろよ』

私の言葉に反応した風間くんが、一言だけイタリア語で言って、こっちに向き直った。

「紹介する。ヴェルデファミリーの一員で、日本支部での補佐をしてくれる。アロンツォだ」

アロンツォさんが、再び風間くんにイタリア語で……聞いているのだと思う。最後に、クエスチョンマークがついているように感じる。

『誰がボス?』

『写真見せただろ、バカ! 女の子の方だよ!』

納得したらしいアロンツォさん。急に、私の前に跪いた。

「はじめまして、次期ボス。俺は、ヴェルデファミリーの一員、アロンツォ。ボスから、次期ボスの補佐をするようにと命を受けています」

「風間くん」

「リディオでいいです」

 風間くん……じゃなくて、リディオに言われ、言い直す。

「……リディオ、さっきのは、イタリア語?」

「そうです」

 ――イタリア語も勉強しなくちゃ。

「アロンツォ、こっちが、久保陽太(くぼ ようた)。セスト幹部の1人になった」

アロンツォさんは、陽太の前にも、私と同様に跪く。

「はじめまして」

さっき、自分に向けて挨拶されたときに言いそびれた言葉を、口にする。

「ちょっと、いいよ、敬語じゃなくて……」

「ダメです、ボス」

私の言葉を止めたのは、リディオ。

「アロンツォは、幹部ですらない。ボスにタメ口なんて、決してしてはいけないことです」

「いいじゃない、私に仕えてくれる人なら、私が指示を出して」

「今のボスは、クイントです」

 これには、黙るしかなかった。マフィア社会の格差を突きつけられた。仕方なく、リディオに言う。

「学校とかで敬語使ったりしたら、承知しないから!」

「承知しています。ボスの身元がばれるのは、セスト就任までは避けたいですし」

 ……あ、そう。

「よくわからねぇけど、とにかく、ボスの下に幹部がいて、幹部のさらに下に、たくさんのファミリーがいるわけだな」

 陽太の言葉に、かざ……リディオがそう言って頷く。

「そういうことだ。ボス、とりあえず、幹部の登録をしましょう」

 リディオはそう言って、2枚の紙を取り出した。



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