表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BOSS!!   作者: 桜花
6/19

幹部、GET!!


 しばらくの沈黙の後、風間くんが、人差し指を立てた。

「日本基地によっていこう」

「……ヴェ」

「し~!!」

 言いたいことが正解だと言うことは分かった。

「のんちゃんは、たしか残業だから……。いける」

「のんちゃん?」

「いとこ。住まわせてもらってるの。今日は、7:30までに帰ればいいから、よってく」

 自宅に向かう道から、少しそれる。小学校の方を通って向かうらしい。



 懐かしい小学校を見ながら、校庭で、無邪気にはしゃぐ小学生達を見る。なんとなく、みんなと仲良くしていた頃を思い出して、立ち止まった。

 風間くんは、それを察したのか、私の視界に入らない、後ろの方に移動してくれた。

 私の黒髪が、湿り気のない風に揺れる。プリーツのスカートも、足にまとわりつく。私の後ろから、背を押すように吹く風。小学生のはしゃぐ声は、遠くに聞こえる。

 私、どこで間違ったんだろう。小学校の頃は、陽太がいて、夏紀も居て、一緒に遊んだのに。

「ようた……」

「あれ? 真希?」

 のぞき込んできた顔は、見知ったものでこそなかったが、面影はある。

「……陽太?」

「やっぱり真希だ! 俺、こっちの方に帰ってきて……。今は、第二に通ってるんだ」

 第二、というのは、“緑市立第二中学校”の略称だ。私の通う“みどり市立(あずま)中学校”(ちなみに略称は東中)の隣にある学校。東中区域の南の方になると、どちらの学校に行くか、選べるようになる。つまり、ものすごく近いって事。

 私の家は、東中よりは南だけど、家は選択できる範囲にはない。歩きで通える、中途半端な距離だ。

「小金井、知り合いか?」

「あ、風間くん。さっき言ってた、幼なじみ」

「よっ」

 陽太に答えるように、風間くんが、クラスで自己紹介したときのように笑う。それを見て、陽太が声を出して笑った。

「そんなにかたくなんなって」

 風間くんがちょっとびっくりしたように目を瞬く。私も、風間くんが緊張してるなんて分からなかった。

「え? ホントに初対面?」

「おう」

「ああ」

2人そろって答えたので、信用はする。風間くんが、小声で言ってきた。

「信用できるか?」

「できるけど……。え? え?」

「小金井から誘え」

「え?」

そんな、急に言われても……。それに、誘って迷惑じゃない?

 黙ってしまった私を見る風間くんと、陽太。口を開かない私を見かねたのか、風間くんがため息をついた。

「今、マフィアに入れ、って言われたら、どうする?」

「は?」

相変わらず楽しそうに笑ったまま、陽太は聞き返す。でも、風間くんは答えない。

「マフィアって、あのマフィア? なんだそれ。面白そうだな」

 ノリノリの陽太。

「遊びじゃない。命をかけて、ボスを守れるか、って聞いてるんだ」

風間くんは言うけど、日本では、マフィアは一般的じゃない。

 信じないのは当然だ。

「べつに、いいぜ。面白そうだし。それに、真希も入ってんだろ?」

「え?」

 素直に驚く私。

「だって、真希のいる前でそんな話するなんて、真希も仲間か、誘おうとしてたんだろ?」

「やっぱり……。幹部に、充分な素質がある。勘もいいしな」

風間くんは、満足げに笑う。

「やってくれるか?」

「おう」

きっと、陽太は遊び気分だ。でも、私だって似たようなものだし。知り合いが居てくれたことと、ノルマを達成できそうなのとで、少し安心した。

「よろしくな。俺、風間」

「よろしく、陽太」

「おう!」

 ――幹部、1人ゲット!

遅くなってすみません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ