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11.ぺス

朝だろうか。

ガチャガチャと鋼鉄の鍵を解錠する音のあとに、扉を荒く開ける音が汚い牢屋に響く。


「屑ども。いくぞ!処刑場に!」


僕はまた檻越しに手錠を架けられると、スナイフとともに鎧の兎達に囲まれて、連れて行かれる。

スナイフに昨日の元気はない。ただ一点に地面を見つめている。


連れて行かれた処刑場は大きな闘技場だった。普段はここで殺し合いが行われているのだろう。刃物や血の痕が残っていた。

闘技場を埋め尽くすのは兎達。そして、首輪を架けられた人間の姿をチラホラと見かける。

(本当に人間が兎の奴隷なのか…。)

頭では理解したつもりだったが、いざ間の当りにすると衝撃的な光景だった。


「皆様お待たせいたしました!本日も人間達の醜い殺し合いをお届けする前に…。愚かにも、兎を傷つけた罪によって2匹の人間を処分します!」

兎達から歓声があがる。


「まずはこのぺス。長年仕えておりましたご主人様を突然突き飛ばしました。ご主人様は、転んでしまい打撲を負いました…。」

兎達のブーイングが闘技上に反響する。


「本日はあちらの席で、悪いぺスの処分を見届けておられます!」

司会の兎が闘技場の一角を指し示す。

そこには太った兎と、首輪をかけられた綺麗な女性の姿があった。


「リツ…。」

その姿を確認しスナイフが呟いた。


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