魔法会話と決意
あれ?僕の髪ってこんな真っ白だったけ?
そんな疑問が浮かんだ。
「ねぇ!真日菜。」
「はーい?」
「ちょっと鏡貸して」
「え。良いけど..」
彼女が持っていた、コンパクトサイズの鏡を手にとる。
そこには、髪が真っ白になった、僕の姿があった。
いや、果たして僕と言っていいのだろうか。
髪は真っ白だし、おまけに目の色は赤色だった。しかも、若干身長が伸びていた。
推定身長:百七十㎝前後
少なくとも、前の僕の髪色は黒髪と茶髪の間。中間のはずだった。
そんなのがいきなり、意識が吹っ飛んだら髪と目の色が変わったいたのだ。
これも、体交換というやつか。
「えっと...何を驚いてるのか知らないけど。大丈夫?」
「え?あ..あぁ。」
ぎこちない返事をする僕に彼女は問いかける
「本当に大丈夫?すごく、心配しているんだから。」
「うん。平気。平気。大丈夫だから」
「そう?それなら良いんだけど、 じゃあ、この世界の事を説明しても良い?」
「うん。」
「何か分からない事があれば、話の途中まででも質問していいからね!」
それに対して僕は頷いた。
「この国の名前は、ノースランドと言うの。そうね...。わりかし、西側の国かしら。今、この世界ではノースランドに限らず魔法使いがいるわ。それまでは人間一色の世界だったんだけど、誰かが魔法を地中奥深くで見つけて、その人が魔法使いになったっていう、伝説があるの。」
「じゃあどうやって魔法使いの人口が多くなったの?」
「それは、まだ分からないの。各地で研究がされているけど。今、人間と魔法使いの関わりは友好と言ってもいいわね。」
「へぇ。」
「じゃあ、魔法使いの事について詳しく話してもいい?」
「うん。」
「魔法使いは、マホという大気中にある、物質を操って働かせて魔法を発動させるの。マホは種類があって、攻撃型・防御型・治癒型の3つがあるの。攻撃型のマホの色は赤色、防御型のマホの色は青色、治癒型のマホの色は緑色なの。あ。これつけてみて」
僕は彼女に手渡されたメガネをかけてみる。
すると、
「何か、丸くてふわふわしてて光ってる物体が浮いているな...」
「でしょ?それが、マホなの。」
「なんか、緑色のばっかいるけど」
「それは、私が拓海を治すために屋敷の全ての治癒型のマホをここの部屋に呼び出したんだから。」
「何かごめん..」
「良いの、良いの。屋敷の外からでも呼び寄せる事は可能だし、じゃあ話に戻るわね。 マホが集まると、マホリウムという結晶ができるの。マホリウムはもちろんマホを何千個、何万個も合わせてできた物だから、力はとっても強いの。デメリットとしては、同じ種類のマホじゃなきゃマホリウムは作れないっていうのだけど。マホリウムはよく、魔法使いの中では、お守りや切り札に使われる事が多いの。」
「じゃあ、魔法の中でも種類はあるの?」
「もちろん 数え切れない程に種類があるわ。私達のグループでは 拓海が鋼魔法の攻撃向きで、私が生命魔法の治癒型向き、莉菜が闇魔法の防御と攻撃向き、花が光魔法の攻撃と治癒向き、翔が氷魔法の攻撃と防御向き、空が風魔法の攻撃と防御向きね。」
「ちょっと待って!莉菜はわかるけど、花と翔と空って人は知らないよ」
「本当に、記憶が無いのね..」
「あ、ごめん.....。」
「良いのよ。記憶を失ったらしょうがない、また記憶を作れば良いもの。それに、拓海に知られた恥ずかしい記憶も無くなってるからね!」
「そっか。真日菜がそう言うなら記憶が失っても良かった。」
「でも、不思議ね。私達の事と自分の名前も覚えてないのに言葉と文字は覚えてる。この世界は記憶喪失になれば、死んだのも同然。体の動かし方も忘れて植物人間のようになってしまうから。本当に不幸中の幸いね。」
不幸中の幸い。僕がこの世界に目を開けずに思った事。もう、不幸中の幸いじゃ無くて不幸中の不幸だと思ったけど、彼女と話してるうちに僕は少なからず決意した。
僕は稲沢拓じゃ無く、鈴沢拓海として生きていく事を決めた。