禁断の楽園 2
『カフェ・ギムナジウム』は一階がカフェである談話室、二階が執務室、更衣室、休憩室、倉庫となっている。
今日の授業を終えた生徒たちが、更衣室で帰り支度をしている。
「あ~あ、またオススメメニューの配布用のお菓子、切れそうだから買わねーと。面倒くせー」
ロッカーをバタンと閉め、宇佐美ミツキが愚痴をこぼす。
「せめて森田さんが買って置いといてくれればいいのにっ」
「まあ、領収書を持って行けばその分、必要経費として下りるんだからいいだろ。どさくさ紛れに自分で食う分も買えるし」
普段着のジャージに着替えた、神楽坂理央が隣のミツキに言った。眼鏡キャラだが実は視力が両方とも一・五なので、眼鏡はあくまでも制服の一部だ。
「いらねーっすよ。チョコとかクッキーとかキャンディー限定とか。俺、甘い物嫌いだし」
横から剣虎牙が口を出す。
「ミッキーのお菓子目当てでオススメ注文する客が多いからじゃね? 前に注文が殺到して午前中には売り切れ、って伝説作ったほどだしさあ。ネットでも“ミッキーのお菓子、今日ゎチョコだったぉ”なんてさ~」
「面倒なだけっすよ、虎牙さん。前にネットで“ミッキーに直接あ~んってしてもらいたい”なんて見た時、こいつキメェって思ったし」
ふくれっ面のミツキを、虎牙は明るく笑って慰める。クールキャラだが本人はいたって明るく、飲み会の盛り上げ役だ。
「ミツキ、俺が買ってきてやろっか? 甘い物食うし」
「鷲一さん、やっさし~。お願いしちゃおかな」
天羽鷲一は後輩の面倒見もいい。そこは学院のキャラと同じなのだが…
「それバレたら大変だよな。鷲一兄さんは甘い物が嫌いなスポーツマン、だし」
レザーの上下に身を包み、行儀悪くロッカーを足で閉めた弟役・天羽鷹二が、からかうような口調で言った。
「やめてくださいよ~俺、甘い物好きでスポーツ苦手なんすよ」
「兄さんの方が実は年下、って事実もバレたらヤバいよね、あははははっ」
更衣室に虎牙の明るい声が響く。
虎牙は鷲一と鷹二を見比べて言った。
「そういや、鷲一くんと鷹二くん、まったく赤の他人なのに異母兄弟って設定もスゴいよね。院長、無茶ぶりするよ」
スマホをいじっていたアドニス・漣・水無月が顔を上げた。
「俺なんて純粋な日本人なのにギリシャ人とのハーフだぜ?」
「あれ? 漣ちゃん、また彼女からメール? 院長にはいいけど、ファンの子にはバレないようにしろよ。一昨年だっけ、子持ちってのがファンにバレて騒動になって「退学」になった人もいたしな」
理央がアドニスの肩に寄りかかった。
「違うよ。田舎の兄貴。親父が最近、調子悪いんだって」
ミツキもスマホをいじり、ゲームをしながら話に加わる。
「水無月さんの実家って、イギリスの貿易会社、じゃないよね?」




